車のエンタメ [2023.08.22 UP]
はたらくクルマ図鑑「加藤製作所のクレーン車」のヒミツ2
建設や土木などの現場で大活躍するのがクレーンだ。そして、そのクレーンとクルマが合体したものがクレーン車である。ではそのクレーン車には、どのような種類があるのか? そして、その仕組み、そして操縦方法とはどのようなものなのか? 「KATO」ブランドで知られるクレーン車の大手、加藤製作所を取材した。
●取材・写真・文/鈴木ケンイチ ●取材協力/(株)加藤製作所
死角をカバーするカメラなど、最新の安全装置が充実する
今回、取材したのは、加藤製作所の主力であるラフテレーンクレーンの「SL-600RfII」だ。
3軸の6輪車で、車両重量が約36トン。最大で60tを吊り上げられるのが車名の「600」の由来だ。加藤製作所のラインナップとしてはミドルクラスのモデルとなる。
搭載するのは7.7リッターの直列6気筒ディーゼルターボ。エンジン直結のトルクコンバーター部に油圧ポンプが備え付けられ、その油圧でブームやウインチを作動させる。
ラフテレーンクレーンは、クルマとクレーンの操作がひとつの操縦席で行えるのが特徴だ。
そのため運転席は数多くの操作用レバーがひしめいている。クレーン車の操作は、まさに両手両足を駆使しているのだ。
また、大きなブームがあるため、目視できない死角が多い。
その弱点をカバーする装置として、クルマを俯瞰して表示する「サラウンドビュー」のモニターや周囲の人を検知する超音波センサーなどが備わっている。
さらに転倒などの事故を防止する装置「ACS」なども用意されるなど、安全のための装備が充実しているも印象的であった。
ラフテレーンクレーン 「Roughter SL-600RfII」
SPEC
●主要諸元/寸法:全長12390×全幅2750×全高3730mm、車両総重量:35895kg、エンジン:水冷直列6気筒ディーゼル、総排気量:7697cc、最高出力:254kW、最大トルク:1400N・m、トランスミッション:前進6段・後退2段、駆動方式:2輪駆動・4輪駆動式切換式、ブーム長さ:10.1~40.0m、ジブ長さ:8.92~16.5m、最大吊り上げ荷重:60t、ジブ最大地上揚程:57.5m、補巻ラインプル性能:5.6t、最高速度:49km/h、価格:8400万円(税別)
エンジンは最後尾に搭載されている。
ブームを最大に伸ばすとなんと40mにも!
車体を安定させるアウトリガー。6段階にわけて張り出すことができる。作動は油圧だ。使用時、タイヤは270mm浮き上がる。
7.7リッターの直6ディーゼルはダイムラー製のOM936LA型。アドブルーにて排気ガスを浄化する。平成26年ディーゼル特殊自動車排出ガス規制適合。
エンジン単体とトルクコンバーター。トルクコンバーター部分に取り付けられた4個の油圧ポンプがエンジンの出力を取り出している。
フックは主巻と補巻の2系統があり、それぞれ操作できる。ブームの右にあるのがブームを延長するジブ。ジブは最長16.5mまで伸ばせる。
●今回取材でお世話になったのは……「株式会社 加藤製作所」
「KATO」ブランドの大手クレーンメーカーが加藤製作所だ。その創業は1895年。あと少しで創業130年を迎えようという歴史ある「はたらくくるま」のメーカーだ。鉄道用モーターカーに始まり、内燃機関車、トラクター、ショベルなどを幅広く手掛けてきた。中でも主力となるクレーン車(ラフテレーンクレーン)においては、国内トップを争う存在だ。
独自設計されたキャリアにクレーンを架装したものを「オールテレーンクレーン」と呼ぶ。
履帯を装着した車体にラチスブームを組み合わせる「クローラクレーン(ラチスブーム)」。
普通のトラックにクレーンを組み合わせたのが「トラック搭載型クレーン」となる。
取材したのは加藤製作所の茨城工場。茨城県五霞町にある建設用クレーンの主力工場だ。
エンブレムは「KATO」の「K」。街中で見かけるクレーン車の半分ほどが「KATO」製だ。
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