マニアック評価 vol.672
デリカD:5は根強いファンが多くいて、ミニバンにはライバル不在とも言える稀有な存在だ。2019年2月から、マイナーチェンジを受けディーゼルモデルが発売されているが、ようやく一般道、高速道路での試乗ができた。そのファーストインプレッションは、ここまで上質に進化しているとは!想像を超えたマイナーチェンジだ、とお伝えしたい。
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特に良かったと感じるのは静粛性だ。ディーゼルエンジンの静粛性もさることながら、風切り音やロードノイズといったものが車内への侵入が少ない。3列シートの後端からドライバーと会話するのに、何も苦労がない。聞き耳をたてることなく、普通に会話できるということは、静粛性が優れている証拠だ。このサイズのミニバンではトップレベルの静粛性だと言っていいだろう。
さて、このマイナーチェンジでは縦型ヘッドライトになり、顔のインパクトが強く、根強いファンからも賛否があるようだ。そしてこのマイナーチェンジでは搭載エンジンがディーゼルモデルだけがこの新型の顔になり、ガソリン車は従来のフェイスで併売するという変則的な販売になっている。その理由のひとつに、デリカD:5の現在の販売状況では95%がディーゼルモデルということが影響したということだ。ちなみに、エクステリアは試乗車が標準デザインで、エアロ装着したURBAN GEAR(アーバンギア)もある。
そのディーゼルの排気量は前型と同じ2.2Lターボなのだが、新規開発されたエンジンで、トランスミッションも6ATから8ATへとなり、パワートレーンを一新している。またAWDの制御も三菱のAWCコンセプトで制御変更が行なわれており、一層悪路走破性などの走行性能を向上させている。特に雪上での走行性能の違いについてはこちらで、新旧乗り比べでレポートしているので参考にしてほしい。
試乗は東名高速から新東名高速を走ってみた。120km/hの制限速度に変わり、従来より高速巡航が可能になったエリアを走行。エンジンはとても静かで、ディーゼル特有のガラガラ音はない。それとエンジンの反応がディーゼルとは思えないほど軽いのだ。これは開発目標のひとつであったようで、車両が軽快で、快速、快適であることを目指しているので、その部分では目標を達成していると感じる。
しかし高速走行時の直進の座りはもう少しはっきりあってもいいと感じる。車高の高いミニバンで視界もいいのでより安定感、安心感がある演出があってもいい。ステアリングの反応もいいので、逆に高速ではスローな印象になる方が女性などからも支持されると感じた。ちなみに100km/h巡航時は1600pmを示し、冒頭触れたように、すこぶる静かに走行できる。
そのハンドリングは素直な印象で操舵力も軽い。特に小回りが利くということでもないが取り回しは楽にできる。ワインディングでは車高の高さからロールを感じることはあるが、このあたりはピッチ剛性が高いとより安心感があるように感じるが、乗り心地を損なってしまっては意味がないので難しいところだろう。
ステアリングまわりでは、もともとチルトステアは装備されるもののテレスコピックは装備されていないので、その辺りも変更されていると車格に見合った装備と言えるだろう。
車格といえば、ミニバンはファミリーユースが多いライフステージのクルマに位置付けられる。そのためクルマには誰でもが運転しやすく、乗りやすく、快適にといった要件が要求されるため、クルマの個性より実用性での要求が高いと思う。しかし、デリカは従来からライバル不在なほど、個性を求められる存在だ。
それほど個性的であり、ファンも多い。そうしたところにポジションするモデルだけに、他のミニバンとは車格が異なっているわけだ。今回のマイナーチェンジで400万円を超えるモデルもあることを踏まえると装備類への充実も必要になるだろう。
インテリアの質感は高級になり、手で触れる部分にソフトッパッドが多用され印象がいい。もちろんシートも高級になり、全体的にひとクラス上の上質を目指していることが伝わる。モニターサイズも大きく操作はしやすくなり歓迎できる。
インテリア全体がピアノブラックとメッキ加飾、ウッド調パネルやカーボン調パネルなども使い、上級クラスをイメージさせる工夫が随所に見られ、フルモデルチェンジしたかのように高級感が増しているのだ。
最後に市街地走行をして試乗を終えたが、信号などでの停車時、アイドリング停止からの復帰、レスポンスが気になった。状況によるので、はっきりしないが、アイドリング停止した直後に再始動というシチューエーションでレスポンスが悪いように感じた。信号のようにアイドルストップ時間がある程度長ければ、即再始動していたので、状況によってはそうした顔を出す場面があったという程度だ。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
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