双方向充電でCO2削減を
text:AUTOCAR UK編集部
【画像】フィアット500e、ジープ・ラングラー4xe【FCAの電動モデルを写真で見る】 全64枚
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は、同社のEVを電力網の延長として利用するV2G(Vehicle-to-Grid)双方向充電施設を新たに開設した。
V2G充電(双方向充電としても知られる)は、EVからEVへ電気を流すことができるほか、バッテリーに蓄えた電力を、需要が高い時に売電することができる。
イタリア・トリノのミラフィオリ工場にある充電施設は、FCAのV2Gプロジェクトの中核をなすものである。
フランスのエネルギー貯蔵会社Engie EPSとイタリアのエネルギー供給会社Ternaとのパートナーシップにより建設されたこの施設は、「すぐに使用でき、ビジネスモデルがかなり短期間で再現できる」ことを目的としている。
V2G充電により、電力需要の多い時期には電力網を安定化させ、化石燃料への依存度を下げてCO2排出量を削減することができる。FCAは、これにより特に法人におけるEVの普及促進を期待している。
2019年末に開始されたこのプロジェクトは、2つのフェーズで構成されている。第一段階は、64台の車両を接続できる32基のV2G充電器による、ミラフィオリでの今回のオープンだ。
このフェーズでは、最近発表された新型フィアット500を使ってV2Gの技術を試験的に導入し、その実現可能性を実証する。
2021年から始まる第2段階では、FCAは施設を拡張して最大700台のEVを収容できるようにし、「世界最大のV2G施設」になるとしている。
アウディや日産もV2Gを検討
FCAの欧州担当COOピエトロ・ゴリエは、次のように述べている。
「わたし達は電気に強い関心を持っています。電気製品は、それを支えるエコシステムを形成する必要があります」
V2G充電を検討しているメーカーはFCA以外にも数社ある。7月には、アウディがSUVのeトロンでこの技術を試験的に導入すると発表。日産も同様のスキームを検討している。
ルノーは昨年、V2G充電用にゾエを採用し、欧州全域で15台を導入した。EV所有者の家に蓄電装置を設置する必要があった日産の以前のシステムとは異なり、ルノー・ゾエには蓄電装置が搭載されている。
また、FCAはトリノ市当局と協力して、トリノ・ジオフェンシング・ラボ(Turin Geofencing Lab)を導入している。
新型ジープ・ラングラー4xeプラグインハイブリッドでテストされたジオフェンシングシステムは、センサーを使用して、自車が渋滞区域に入ったことを認識する。そして、自動的にクルマを電気のみのモードに切り替え、排出量を削減するというものだ。
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