ジープがなにやら好調だ!
日本市場においてジープが右肩上がりで好調に売れ行きを伸ばしている。とくに2009年から遡ると、販売台数の伸びは顕著だ。ただ、2022年は部品不足や生産調整などで、残念ながら対前年比を超えることはできなかった。しかし現在は、2023年3月の単月で見ると、輸入車全体が対前年度7.9%、国産車が16.9%であるのに対して、ジープは87.1%の対前年比の成長を遂げている。これを1~3月の累計で見てみると、輸入車全体が6.3%、国産車が19.3%であるところ、ジープは36.9%となる。ジープがどうして日本で受け入れられているのか、そしてこれからEV化へシフトするジープの未来と最新モデルを紹介しよう。
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電動ジープの近未来とは
日本での好調な販売を牽引しているのが、「ラングラー」だ。2023年の1~3月の累計販売台数は1327台、アメリカとカナダを除くと日本が一番売れているのが現状だ。ちなみに中国が914台、メキシコが575台、アラブ首長国連邦が521台、ドイツが280台と続いている。
このタフでワイルドなイメージの強いラングラーであるが、EVとはもっとも遠いようなイメージに思われるかもしれない。しかしアメリカ合衆国では、プラグインハイブリッドのラングラーが一番売れている車種とのこと。環境にも優しいことはもちろんん、ジープならではのオフロード性能も認められてのことであろう。このラングラーのプラグインハイブリッドモデル(ラングラー4xe)は、2023年から日本に導入されている。
ジープ初の電動化モデルは、2020年後半に登場したプラグインハイブリッドの「レネゲード4xe」だ。それに続いて日本に導入されたのが、2022年10月に発表された「グランドチェロキー」の2列仕様のプラグインハイブリッドモデルである「グランドチェロキー4xe」となる。これらの2モデルにラングラー4xeと合わせて、3モデルが日本に正規導入されているジープの電動化モデルとなる。
今後の電動化モデルの予定としては、さらに3モデルが日本に導入される予定だ。まず、2024年上半期にジープとして初の電気自動車ジープ「アベンジャー」を導入する。レネゲードよりもさらにコンパクトなアベンジャーは、すでに欧州では発売されており、目の肥えた欧州のカスタマーにも高評価を得ている。ちなみに、アベンジャーは米国では発売されない。
次に2025年に、電気自動車ジープ「リーコン」が導入される。リーコンは、航続距離だけを求めるのではなくて、ドアが完全に外れたりラングラーと同じように楽しめるモデルとして期待されている。
3つ目がワゴニアブランドとして日本では初めて正規導入される、現在「ワゴニアS」というニックネームで呼ばれているモデルだ。ニックネームの「S」は3つのSに由来している。ひとつが「STRIKING(衝撃的な)」で、7本のグリルはキープしながらも未来的で衝撃的なデザインとなっていることを象徴している。。もうひとつが「SPEEDY」で、文字通り0-100km/h加速が3.5秒と俊足のSUVとなる。現在、600HPをターゲットにして開発が進められている。そして最後が「SEXY」。Dピラーからのラインなどが非常にセクシーなフォルムとなっているのが特徴だ。
モーターのみでの走行も可能
現在日本で購入可能なプラグインハイブリッドモデルのジープは、レネゲード4xe、グランドチェロキー4xe、ラングラー アンリミテッド ルビコン4xe(以下ラングラー4xe)の3モデル。3モデルの共通点は、エクステリアやインテリアにブルーのアクセントを採用している点が上げられる。ラングラーでは、「RUBICON」のステッチなどがブルーとなっており、ハイブリッドモデルであることを視覚的にアピールしている。
逆に言うと、それ以外では充電用ソケットや「4xe」のレターロゴなどがあるだけで、外観上はICEモデルとほぼ変わらない。3モデルともにドライブモードが3つ備わっている。HYBRIDモード(電気モーターとガソリンエンジンをともに利用するモード)、ELECTRICモード(100%EV走行を行うモード)、E-SAVEモード(ガソリンエンジンを優先的に使用し、バッテリーの充電レベルを維持するモード)である。
ただ、レネゲードだけは前輪と後輪が機械的につながってはおらず、エンジンでフロント、モーターでリアを駆動するシステムとなっているため、ELECTRICモードにすると完全にリア駆動のみとなる。いっぽうのグランドチェロキーとラングラーでは、ELECTRICモードでも四駆と二駆の切り替えを行うことができる。
短時間の試乗で分かる洗練さ
今回試乗したのは、グランドチェロキー4xeとラングラー4xeの2台。駆動にモーターが加わることで明らかにICEモデルと異なる特性を得たことが、都内のほんの少しの試乗だけでも体感することができた。
停止時からの加速がスムーズになったことは、もっともわかりやすい発見だろう。アクセルペダルの入力に対しての反応も、ラフな感じが払拭されて、ひと昔前のアメ車に慣れ親しんでいる人にとっては驚くほどの洗練さを備えるに至った。
もともと悪路走破性に定評のある2台だけに、電動パワートレインになったからといって飛躍的にタフな走りを手に入れたとは思えないが(現状、悪路での試乗は経験していないのであくまでも推測に過ぎないが)、微妙なアクセルワークが必要となるような悪路では、きっと扱いやすくなったのではないだろうか。
2台とも完全に電動モーターのみで走行することができるので、アウトドア志向の人にとっては静かに自然に分け入って行きたいときには非常に便利であることはいうまでもなく、早朝にガレージから出立する際も静かに自宅を後にできるのは嬉しい。
グランドチェロキー4xeに関しては、欧州高級SUVに匹敵するほど洗練された乗り心地であった。とくに内装に関してはデザインと質感ともに向上しているので、既存のグランドチェロキーオーナーは嫉妬するに違いない。ただし、車両価格もそれなりに高くはなった。LIMITED 4xeが1037万円(消費税込・以下同)、SUMMIT RESERVE 4xeが1185万円。しかし、コンペティターと目される欧州SUVに比べると、それでもバリュー感あるプライスであることは間違いない。グランドチェロキーがワンランク上の車格になったのだと思えば、それもまた納得してもらえるだろう。とにかく、試乗してみるとこれまでのイメージが払拭されることは間違いない。
* * *
さて、AMWでは、これらの魅力的なジープの4xeモデル3車種を引っ張り出して、それぞれに見合う日本百名山へ出かけてきました。グランドチェロキー4xeで蔵王山、ラングラー4xeで谷川岳、レネゲード4xeで美ヶ原へ。それぞれのピークで、挽きたて淹れたてのコーヒーを飲むためだけの山行旅をお届けします。
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