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皮肉な初代「ロードスター」エンジン ロータスとキアの2代目エラン 3世代比較(2) FFの可能性を証明

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皮肉な初代「ロードスター」エンジン ロータスとキアの2代目エラン 3世代比較(2) FFの可能性を証明

復活で800台が提供されたエラン S2

ゼネラルモーターズ(GM)がロータスを売却した翌年、M100型の2代目エランは復活を果たす。それを決めたのは、英国ブランドを買収した当時のブガッティ・オーナー、ロマーノ・アルティオーリ氏だった。

【画像】FFスポーツの可能性を証明 ロータスとキアの2代目エラン 最新エミーラとエレトレも 全142枚

グレートブリテン島東部、ヘセルの工場を視察中に、未使用のいすゞ製エンジンが大量に残されているのを発見。その理由に、疑問を抱いたことがきっかけだった。

かくして、新しい排出ガス規制に対応した触媒を、エグゾーストシステムに追加。ロータス・エラン S2として、1994年からM100型は生産が再開された。1995年までに、800台が提供されている。

ロイヤル・ブルーのS2は、ジャスティン・プレスランド氏の1995年式。ロータスの量産車5万台を記念した、特別仕様だ。専用色での塗装とホイール、控えめに張られたステッカーなどが、差別化として与えられている。

販売方法は特殊で、慈善団体のプリンスズ・トラストへ1度寄贈され、寄付金のキャンペーンを通じて抽選でオーナーが決まった。ハンドブックには、チャールズ皇太子の署名が残っている。

運転してみると、触媒の追加で最高出力は10ps低下しているものの、動力性能に目立った違いは感じられない。スペックを確かめると、高回転域のみパワーが絞られているのがわかる。最大トルクは殆ど変わらず、0-97km/hダッシュも同時間でこなす。

初代マツダ・ロードスターのエンジンへ

ジャスティンの特別なエラン S2は、走行距離4万2000kmほど。整備が行き届いており、シフトレバーの動きはタイト。ブレーキやクラッチの調子も素晴らしい。運転のしやすさへ配慮した、ロータスの結果を体感できる。

ステアリングホイールは、S2の方が僅かに小さい。このおかげで、フロントタイヤは一層機敏に反応し、繊細に操れる。少し上品な印象のS1と比べて、レスポンシブでエンターテイメント性が増している。

ヘセルに残されていた、いすゞ製エンジンを使い切ったところで、S2の提供は終了。そこへ目を付けたのが、少々古いクルマのライセンス製造を得意としていた、韓国のキアだった。1992年まで、独自に設計したモデルを生産してこなかったほど。

キアがパワーユニットに選んだのが、1.8LツインカムのBPユニット。皮肉にも、初代マツダMX-5(ロードスター)にも搭載される4気筒エンジンのコピーが、2代目エランのボンネットへ収まることになった。

同じくMX-5に搭載された、1.6Lユニットよりトルクが太いとはいえ、活発に走らせるには、しっかり回し切る必要がある。そのかわり、サウンドは胸を刺激する。積極的に変速する喜びも得られる。

トランスミッションはセフィア社製で、低い段ではレシオが高め。これに慣れれば、思い切り一般道で楽しめる。

ロータス・シャシーの輝きを保つ

今回ご登場願ったレッドのキア・エランは、英国のヘリテージ部門が管理する車両。過去には一般に販売された経歴を持つそうだが、現在の走行距離は1万8000km足らず。状態は素晴らしい。

見た目はロータス時代とほぼ同じながら、インテリアにはキア独自の改良が与えられている。デジタル時計が省かれた一方、小物入れは増やされている。

S2までレザー張りだったシートは、中央部分が1990年代らしい柄のクロス張りに。エアバッグ内臓のステアリングホイールは、既存品でエランには大きすぎるようだ。

サスペンションにも変更を受け、車高は40mm持ち上げられているが、キア・エランもロータス・シャシーの輝きを保っている。乗り心地はしなやかで、フロントタイヤのグリップ力は高い。

1996年に、AUTOCARは英国での試乗を計画しているが、1997年にキアは経営破綻。S2より遥かに安価に提供できていたものの、2度復活したM100型の生産も、完全に終了してしまった。

FFスポーツカーの可能性を証明

M100型の2代目エランは、ロータスを名乗るのに不足ないと筆者は思う。しかし、このブランドを求めた層に、合致するモデルではなかったのだろう。

開発技術者のロバート・ベッカー氏は、90%のドライバーが90%のパフォーマンスを発揮できるよう、エランを設計したと説明している。「ドライバーが、本当の能力を簡単に楽しめるように」。と。

しかし、ニッチなブランドのスポーツカーを購入したいと考えるドライバーは、それ以外の10%に該当したといえた。M100型は、GMが自らのブランドで提供するべきモデルだったのかもしれない。

少なくとも、ロータスがFFスポーツカーの可能性を証明したことは間違いない。ホットハッチ・ライクな操縦性がお好みなら、一度ステアリングホイールを握ってみて欲しい。今でも、お買い得なロータス製スポーツカーというポジションに、変わりはないから。

ロータス・エラン M100 3世代のスペック

ロータス・エラン SE(S1/1989~1992年/英国仕様)

英国価格:1万9850ポンド(新車時)/1万5000ポンド(約279万円)以下(現在)
生産数:3855台
全長:3802mm
全幅:1735mm
全高:1229mm
最高速度:220km/h
0-97km/h加速:6.7秒
燃費:11.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1020kg
パワートレイン:直列4気筒1588cc ターボチャージャーDOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:165ps/6600rpm
最大トルク:20.2kg-m/4200rpm
トランスミッション:5速マニュアル(前輪駆動)

ロータス・エラン(S2/1994~1995年/英国仕様)

英国価格:2万4500ポンド(新車時)
生産数:800台
最高速度:214km/h
0-97km/h加速:6.7秒
燃費:11.7km/L
CO2排出量:−g/km
最高出力:155ps/6000rpm
最大トルク:20.1kg-m/4200rpm
※:S1と異なる部分のみ

キア・エラン(ビガート/1996~2000年/韓国仕様)

英国価格:2万4500ポンド(新車時)
生産数:792台
最高速度:214km/h
0-97km/h加速:7.4秒
燃費:11.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1070kg
パワートレイン:直列4気筒1793cc 自然吸気DOHC
最高出力:137ps/6250rpm
最大トルク:15.7kg-m/5500rpm
※:S1と異なる部分のみ

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