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BMW Z8にクーペがあったなら スミット・ヴィークル・エンジニアリング・オレサへ試乗 前編

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BMW Z8にクーペがあったなら スミット・ヴィークル・エンジニアリング・オレサへ試乗 前編

E86型のBMW Z4クーペがベース

清々しい陽気の午後、スミット兄弟が筆者をアメリカ・カリフォルニアのパシフィックコースト・ハイウェイで待っていた。ここは気持ちいいカーブが続き、太平洋を望む絶景を楽しめる、世界でも有数のドライビングルートだ。

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前例がないほど魅力的なクルマだと兄弟が主張する、美しい黒いクーペも一緒に停まっていた。ブランドのファンならご存知かもしれないが、BMWは限定生産のZ8でクーペは作らなかった。

しかし、目の前にあるクルマは、まさにそれ。知らない人が見れば、2000年から2003年の間に作られた珍しい1台だと勘違いしそうだ。

ケス・スミット氏とウィレム・スミット氏は、お互いに優秀なエンジニア。航空宇宙産業ではテスラ社で、自動車業界ではレストモッドを得意とするシンガー社で、それぞれ実績を積んできたという。

まだ若い2人は仲が良く、熱烈なBMWファンでもある。そんな兄弟はある日、近年のレストモッド・モデルへの高い需要に気がついた。柔軟な発想力を持つ彼らは、スミット・ヴィークル・エンジニアリング社を立ち上げ、協力して1台のクーペを作り上げた。

その名を、スミット・ヴィークル・エンジニアリング・オレサという。Z8という2文字が並んでいない理由は、実際には2006年から2008年にかけて生産された、E86型のBMW Z4クーペがベースだからだ。

流麗なZ8クーペにしか見えない

筆者はデザインに関して造詣が深くないものの、オレサのスタイリングは美しいと思う。兄弟もデザイナーではないというが、今まで存在しなかった、とても流麗なZ8クーペにしか見えない。読者の印象はいかがだろう。

ボディサイズは、E86型Z4からリアセクションが250mm伸ばされている。全幅は50mm狭いという。全長が4350mm、全幅は1850mmと、比較的コンパクトにまとまっている。

Z8にそっくりなボディパネルは、兄弟オリジナルのカーボンファイバー製。シッカリしたプラットフォームを持つ、Z4に合わせてプロポーションが整えられている。非常にレアなZ8を素材に、モディファイされているわけではない。

E86型のZ4は、最初にロードスターとして設計され、その後にクーペが開発されている。そのため、ボディシェルは強固。ねじり剛性は3万2000Nm/degあり、Z8より遥かに頑丈なのだという。

スミット兄弟は、モノコック構造を変更することは考えなかった。衝突時の安全性も加味して設計された高剛性の構造を加工すると、良い結果が得られない可能性があるためだ。

そのかわりというべきか、メカニズムへは相当に手が加えられている。少量ながらオレサの販売を前提としており、中古車価格が高騰するZ4 Mと同等の能力では、実際に購買層が動くとは考えにくいためだという。美しいボディに包まれていたとしても。

エンジンはM3用のS65 V8ユニット

そこで兄弟は、2007年から2013年にかけて作られたE92型BMW M3が搭載する、自然吸気のV型8気筒エンジンに目を向けた。S65ユニットの内部を改良し、排気量は4.0Lから4.4Lまで拡大されている。

新しいECUがエンジンを制御し、最高出力は454psを獲得。レッドラインは8500rpmに設定された。当時のM3 GTSに並ぶ能力といっていい。トランスミッションは6速マニュアル。機械式のリミテッドスリップ・デフを介し、後輪を駆動する。

この大きなV8エンジンは、Z4のエンジンルームにギリギリ納まっている。そのためエグゾースト・マニフォールドは設計し直され、ステアリング系を避けるように、複雑にカーブを描く。

パワーステアリングは、近年のM5が搭載する小型のポンプで稼働している。可能な限りBMWの部品を利用する、というのも彼らのコダワリだ。

このプロトタイプの車重は、燃料を満タンにした状態で1450kg。利用する部品を改めることで、今後さらに軽量する予定だという。

賢明な2人は、インテリアにも幾つかの課題があると考えている。そもそもBMWはプレミアムモデルを量産するブランドであり、インテリアの仕立ても最初から素晴らしいからだ。少量生産のメーカーとは比べ物にならない。

オレサの車内は、各部の素材が改められ、新しいシートが載っている。だが、Z4との繋がりを隠せてはいない。タッチモニターがダッシュボードを占拠する前のモデルだから、少なくとも筆者は気にならなかったが、ターゲット層は特別を求めるはず。

この続きは後編にて。

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