燃費は1番のウリではない?
5代目プリウスのワールドプレミアが都内で開催された。
【画像】3つのパワートレイン【新型プリウスを詳しく見る】 全149枚
そこで配布されて資料は基本的にトヨタのホームページで公開されているものと同じであるが、その中に燃費値についての表記はない。
これは、今回公開された車両があくまでもプロトタイプであるためだ。
一般的に、ほぼ最終量産モデルであるとしても、プロトタイプとして扱われる場合、燃費値は公表されない。
日本では、国際的な燃料消費率を計測する走行モードであるWLTCモードに基づき、国土交通省の審査を受けて最終的な燃費カタログ値となる。
シリーズパラレルハイブリッドが2022年冬に、またプラグインハイブリッド(PHEV)が2023年春に販売されるが、その少し前になれば車両価格を含めて燃費値も公開されることになるだろう。
とはいえ、長年にわたって、いわゆる「エコカー」市場を先導してきたプリウスについて、新型登場となれば当然、メディアやユーザーの関心も燃費に向くのではないかと考える人が少なくないのではないだろうか。
ところが、今回の発表記者会見の中でも、また記者会見後にメディアの囲み取材を受けるトヨタ関係者からも、積極的にプリウスの燃費に触れることはなかった印象がある。
その理由はいったいどこにあるのだろうか?
中身はノアヴォクと同じ?
理由として考えられるのは、今回はパワートレインが豊富にあり、それぞれで燃費値は当然違うためではないだろうか。
5代目プリウスのパワートレインは大きく3つある。
シリーズパラレルハイブリッドでは、FF(前輪駆動)としてのエンジン排気量は1.8Lと2.0Lの2種類ある。
また、それぞれについて後輪をモーター駆動する、E-Fourが設定されている。
エンジン排気量が2.0Lのプラグインハイブリッド車(PHEV)も設定される。
パワートレイン開発担当者によると、上記の1.8Lシリーズパラレルハイブリッドは、先に販売が始まっている新型「ノア/ヴォクシー」用と基本的に同じシステムであるという。
同システムの場合、エンジン最高出力は95.2psでモーター最大出力は97.9ps。WLTCモード燃費は、「ノア」7人乗りFF・S-Zグレードの場合23km/L、市街地モードで22.2km/L、郊外モードで25.0km/L、そして高速道路モードで22.1km/Lである。
5代目プリウスとノア/ヴォクシーは当然、車重が違うため5代目プリウスの燃費もこれとは変わることになるだろうが、ノア/ヴォクシーと大きな差は生じないと考えられる。
一方で、2.0Lのシリーズパラレルハイブリッドはかなりパワフルだ。
燃費より「走り」を重視?
パワートレイン開発者によると、2.0Lのシリーズパラレルハイブリッドは、エンジン最大出力が152.3psでモーターの最大出力は112.8psである。
高出力化することで「エモーショナルな走り味を狙っている」というのだ。
つまり、走りの良さを追求することで、燃費とのバランスを取ることになることは明らかだ。
そのうえで、「今回は車両価格は未発表だが、1.8Lシリーズパラレルハイブリッドは、これまでもプリウスのようにアフォーダブル(手頃な)価格設定を考えている」とも表現する。
また、先代モデルとは違い、今回はシリーズパラレルハイブリッドと内外装ではタイヤサイズなど一部を除いて共通性を高めたプラグインハイブリッドの場合、エンジン最大出力は150.9psでモーター出力は163.2psとした。
2.0Lシリーズパラレルハイブリッドとプラグインハイブリッドでは、車両としての適合をするためエンジン出力が若干違い、またモーターは基本設計は同じだがシリーズハイブリッド用ではローターの磁石の配置を変えるなどの適合を図っている。
プラグインハイブリッド用の電池については、「RAV4 PHEV」用のリチウムイオン二次電子用のセルを採用した。電池容量は先代プリウスPHVと比較して2倍に増やした。
ユーザーの興味も変化……
具体的な数値は今回未発表だが、プラグインハイブリッド用の電池容量が2倍増えたことで、EVモードでの走行距離は、先代モデル比で50%以上伸びている。
これにより、日常生活の大部分をEV走行でカバーできるはずだ、とトヨタは説明している。
このように、5代目プリウスのモデル/グレードラインナップを見れば、プリウスだけが特化して低燃費になっているのではないといえるだろう。
トヨタ全体としてのシリーズパラレルハイブリッドとプラグインハイブリッドの技術を応用したシステムを投入することで、プリウスの製品価値を安定的に向上させているのだ。
もう1つ、別の視点で5代目プリウスの燃費ついて、ユーザー目線でいえば低燃費を期待するも現状である程度満足しており、これ以上はガソリンを使わないEVモード走行距離や、トヨタとしてのBEV(電気自動車)の電費に興味が移ってきているともいえるのではないだろうか。
ライバルとの間で単なる燃費値を競うような技術進化や、それを強調するマーケティング手法がそろそろ時代遅れなのかもしれない。
こうしたさまざまな視点で、5代目プリウスが燃費の良さを強調しないとはいえ、やはり燃費の良さはプリウスの大きな特長であることに変わりはない。
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みんなのコメント
アイドリングストップなんて小手先つかっても結局無駄に高いバッテリーとか買うだけだし