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公園の遊具になることも減りました! 年間で9100万本も出る「廃タイヤ」の第二の人生とは

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公園の遊具になることも減りました! 年間で9100万本も出る「廃タイヤ」の第二の人生とは

 この記事をまとめると

■クルマが走る際、タイヤはかせないモノのひとつ

まるで鮭のように捨てるところなし! クルマのリサイクルの実態とは

■年間9100万本もの廃タイヤが発生している

■廃タイヤがどのようにリサイクルされているかを解説

 廃タイヤは重量にすると1年間で98万7000トン

 クルマが走るときに、絶対になくてはならないモノといえば、その1つは「タイヤ」です。どんなにパワーがあっても、最新のEVでも、地面と接しているのは4つのタイヤのみ。そう考えると、タイヤの重要性がヒシヒシと伝わってくるかと思います。タイヤは残っている溝の深さが1.6mmになるとスリップサインが出てきて、そのタイヤは道路交通法で装着・使用が禁止されているため、交換することになります。

 この、もうクルマのタイヤとしては使えなくなり、外したタイヤを「廃タイヤ」と呼び、70年代くらいからしばらくは小学校の校庭や公園で、半分を地面に埋めて地上に出ている半分をカラフルな色で塗って、跳び箱のように遊べる遊具としてリサイクルされていたものでした。また、高いところからロープで吊るし、ブランコのような遊具になっている廃タイヤもありましたね。でもいつの頃からか、あまり見かけなくなったと思いませんか? 若い世代は知らない人も多いことでしょう。

 日本では現在、この廃タイヤがどれくらい発生しているかというと、JATMAの発表によれば2021年の1年間で9100万本、重量にして98万7000トンもの量になるそうです。でもそのうち90万4000トン、約92%がリサイクルされているというから、すごいですよね。これだけの廃タイヤが、現在はいったいどのようにリサイクルされているのでしょうか。

 もっとも一般的なのが、廃タイヤを燃料としてサーマルリサイクルすることと、再び再加工して新品同様にし、またクルマのタイヤとして使われるリトレッドタイヤと呼ばれるリユースリサイクル。ブリヂストンのリサイクルセンター大阪では、1カ月で乗用車用タイヤが約1000トン、トラックやバス用などが約300トン、燃料として使われているそう。廃タイヤを小さく刻んで、製鉄所や製紙工場などに輸送し、高炉で燃料として使用されています。

 そしてリトレッドのリユースでは、まずは傷や損傷がないかを専用の機械で検査して、クリアしたタイヤのみリトレッドに回されます。すり減ったゴムを取り除き、接着剤の役割をするゴムと一緒に新しいゴムを接着し、その後4時間ほど熱と圧力を加える工程を経て、ゴムの強度をしっかりとあげればリトレッドタイヤの完成。1日に最大154本のリトレッドタイヤを生産することができるそうです。

 もう1つ、まったく別のゴム製品に生まれ変わるマテリアルリサイクルも行われています。タイヤ内のスチールコードや強化繊維を取り除き、ゴムの部分のみを粉砕して粉にすることで、再生ゴムの原料や建材などの原材料として使用されるのです。このゴム粉を使ったフロアマットなどは、スポーツ施設や畜舎などでも使われているそう。もしかすると、スポーツジムなどで知らずに利用しているかもしれないですね。

 オシャレなアイテムに生まれ変わっている例も!

 また、一見するとオシャレで利便性が高そうなビジネスバッグやトートバッグなど、ファッションアイテムに生まれ変わっている廃タイヤもあります。大人の男性に人気のブランド「ノイインテレッセ」を手がける株式会社モルフォでは、タイヤのゴム層の中に織り込まれ、タイヤが受ける衝撃や荷重、充電空気圧に耐える役割を持つという「超強力ナイロン系」を使用したバッグをラインアップ。従来、タイヤに使用される強力ナイロン糸は、染料が入り込めず染色することが難しい素材だったのですが、特殊製法を施すことによって染色が可能に。一般的な66ナイロンに比べて約15%強い強度を持ち、撥水性も高いことからとても高機能なバッグが完成しているとのことでした。

 もう1つ、欧州をはじめとする美意識と審美眼の高い人たちがこぞって注目しているのが、バリ島発のブランド「indosole(インドソール)」が販売している、廃タイヤをリサイクルしたエコサンダル「エッセンシャル」。耐久性に優れ、クッション性がよく履き心地もいいのだそう。もともと、indosoleの創始者が初めてバリ島を訪れた際に、年間10億個以上のタイヤが行き場をなくして埋められている現状を知り、再利用できないかと試行錯誤して作られたものだといいます。世界中から集まったクリエイターによってデザインされる、シンプルながらオシャレで、カラフルなサンダルはとても魅力的。オシャレをしながら、環境保全にもなっているというのがいいですね。さらに、東京都府中市にある童里夢工房では、廃タイヤのソールに首都高速道路で使われていた横断幕を活用したリサイクルサンダルを製作。横断幕のどの部分が出るのかが1つ1つ違って、面白いサンダルになっています。

 そして最後は、DIY好きの人たちの間でちょっとしたトレンドになっているらしい、廃タイヤをオシャレな椅子などのインテリアにDIYするというもの。タイヤに好きな色を塗り、ホイールがあった部分にネットを張れば、カジュアルに座れるガーデンチェアに大変身。中には、ゴムの部分に縄を巻いて中央に天板を打ち付け、ちゃぶ台のようなテーブルにDIYしている人も。上級者になると、タイヤのゴムを切り抜いて、背もたれの部分やアームレストにすることもできるそう。自分の愛車に装着していて、もう使わなくなったタイヤを利用してインテリアできれば、そのドライブの思い出とともに楽しいお家時間が過ごせそうですね。

 ということで、再びタイヤとして使われるものもあれば、まったく別のモノとして第二の人生(?)を歩むタイヤもある、廃タイヤたち。不法投棄がなくなり、環境への負担もなくなるよう、ぜひ正しくステキにリサイクルされることを願います。

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みんなのコメント

11件
  • 「鮭の様に捨てるところなし」と言う割には古タイヤ廃棄にはお金をとられる。
    廃棄する側からもお金を取って、燃料として販売するときにもお金をもらう。
    まさに理想的なビジネスモデルだなぁ
  • すり減って無くなったタイヤのゴムはどこに行ったの?
    人は粉塵としてたくさん吸い込んでるに違いない。
    これは問題にならないのかな?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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