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名門ブランドの系譜が途絶える! 姿を消してしまったサラブレッドカー4選

掲載 更新 14
名門ブランドの系譜が途絶える! 姿を消してしまったサラブレッドカー4選

 先日、新聞誌上では「スカイライン開発中止、日産の象徴開発に幕」という衝撃のニュースが掲載されたものの、その翌週には日産の星野朝子副社長がその報道を否定。スカイラインファンはひとまずホッと胸をなでおろした。

 そのいっぽうで、クラウンもセダンは15代目をもって姿を消し、クラウンの名を冠したSUVのみの生産となるといった噂も……。

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 このように、メーカーの顔と言っても過言ではない伝統のあるブランド消滅の噂が後を絶たない状況となっている。

 今回は、名を変えて名門の系譜を引き継いだものの、期待に応えることができず、最終的にはその系譜に終止符を打ってしまった、悲しきクルマにフォーカスしていきたい。

文/藤原鉄二、写真/トヨタ、日産、FavCars.com

[gallink]

マークII(1968年~2004年)→マークX(2004年~2019年)

2019年4月には、特別仕様車 250S“Final Edition”、250S Four“Final Edition”が発売。同年12月に生産終了となった

 2019年12月23日にトヨタのマークXの生産が終了した。マークIIの系譜を受け継ぐマークXの消滅は衝撃的だった。

 マークIIはハイソカーブームの牽引役となったトヨタの誇るトップブランドのひとつ。その歴史は1968年までさかのぼる。当時、大衆車という位置づけだった初代カローラと、高級セダンのクラウンとの中間の層をターゲットに開発されたのがマークIIだ。

 マークIIの全盛期は1980年代後半~1990年代。その後のバブル崩壊以降、FRセダンの市場は徐々に縮小し、2004年11月に生産終了の決断が下された。

 しかし! マークIIはマークXと名を変えて復活。デビュー直後は、数少ないFRレイアウトを採用した「新世代のスポーツセダン」という打ち出し方や、テレビCMに俳優の佐藤浩市さんを起用するなどが功を奏して、セールスも好調。発売から1カ月で月間目標販売台数5000台に対し2万2000台を受注するほどの人気となった。しかし、その人気も長くは続かず……。

 2009年10月にはフルモデルチェンジが実施され、マークIIのスポーティグレード、ツアラーシリーズに相当するSports typeなども設定され、スポーツセダンユーザーにアピール。月販目標台数3000台の4倍を超える約1万4000台と、好調な立ち上がりを見せたものの、その勢いも尻すぼみとなっていった。

 追い打ちをかけるように、ミニバンやSUV人気の高まりでセダンの市場の縮小傾向には拍車がかかり、加えて、レクサスブランドのなかに競合車種も存在したことにより、マークXの存在意義に疑問の声も聞こえるようになった。

 ついには、フルモデルチェンジから10年という長きに渡りフルモデルチェンジが行われなかったこともあり、マークX消滅の噂も飛び交う始末。

 そして2019年、マークXは車種整理の対象となり、マークIIから通算して51年の歴史に幕を下ろすこととなった。マークXを含むマークIIシリーズ合計の販売台数は、51年間で688万1500台。これはとてつもない数字だ。

ブルーバード(1959年~2001年)→シルフィ(2000年~2021年)

2000年に登場したブルーバードシルフィ。この時、すでにブルーバードの名は残ってはいたものの、ブルーバードらしさは薄まっていた

 2021年10月、日産のミドルクラスセダンであるシルフィが生産終了となった。このモデルのご先祖様は日産の基幹ブランドのひとつであったブルーバードだ。

 ブルーバードが誕生したのは1959年。6代目まではダットサン ブルーバードの名で販売されていた。当時、トヨタのコロナとは熾烈な販売競争を繰り広げ、この状況は「BC戦争」とも呼ばれた。

 ブルーバードの人気を押し上げたのは、2代目以降に設定された「SSS(スリーエス)」で、最終モデルまで中心グレードとして君臨した。ちなみに、このSSSとは、スーパースポーツセダンを意味する。

 セールス的に最大のヒットを記録したのは、1979年に登場した6代目で、小型車(1.6~2.0リッター)クラスで27カ月に渡り、連続新車登録台数第1位をキープした。そして、このモデルがブルーバード最後のFR車となった。

 そして2000年8月、ブルーバードは新たにシルフィという名を配したコンパクトセダンとして生まれ変わった。とはいえ、実はベースとなったの当時のサニーだった。ということで、事実上ブルーバードの系譜統はこの時点で途絶えたと言えるだろう。その後約1年間はブルーバードとブルーバード シルフィは併売されていたが、2001年8月をもってブルーバードの生産は終了した。

 ブルーバードの名が完全に消滅したのは、2012年に登場した3代目からだ。ここで、ブルーバード シルフィからブルーバードの名は外され、ブルーバードは53年の歴史に幕を下ろした。

 後継モデルのシルフィは、ボディサイズを拡大して5ナンバーサイズから3ナンバーサイズへ、搭載エンジンも1.8リッター直列4気筒DOHCに統一された。この大幅な変更は、グローバルセダンとして海外で発売するための変更だった。

 しかし、セダン市場の縮小による影響は避けられず、2019年にフルモデルチェンジを実施したものの国内販売は振るわず……。2020年9月、シルフィはこの3代目で生産終了となった。実は、事前告知もなしの生産終了と、去り際は名門ブルーバードの系譜を継ぐモデルとは思えぬさみしいものとなった。

 しかし! シルフィはe-POWERを搭載して復活。ただし、残念ながらこれは中国での販売でのハナシ。日本での販売は今のところ予定されていない。

コロナ(1957年~2001年)→プレミオ(2001年~2021年)

2016年に実施されたマイナーチェンジでは、大きくデザインを変更。安全装備の強化も図られた

 カローラ、マークII、クラウンとともにトヨタの伝統的なセダンの一角をなす存在として1957年に誕生したのがコロナ。最大のライバルは日産のダットサン ブルーバードで、前項のとおり「BC戦争」を繰り広げた。

 デビュー当時は、トヨペット コロナという名称だったが、1978年のフルモデルチェンジからはトヨペットの名が廃され、トヨタ コロナが正式名称となった。マークIIのような爆発的ヒットはなかったものの、安定した販売台数を維持していた。

 しかし、マークIIやマークX同様、セダン市場の縮小が打撃となり、販売台数は徐々に低迷。1992年に登場した10代目からはGTなどのスポーツグレードが廃止され、モデルレンジが縮小されていった。

 最終モデルとなったのは、1996年に登場した11代目。このモデルから、コロナ プレミオと、車名にプレミオというサブネームが付いた。

 2001年12月、コロナの名は廃され、プレミオの名で販売が開始された。ここで、コロナは44年の歴史に幕を閉じることとなった。

 初代プレミオは、5ナンバーサイズの4ドアセダンというスタイルは踏襲しつつ、ホイールベースを120mm延長してクラス最長の2700mmに、車高も60mm高くして、既存の5ナンバーセダンのイメージを払拭する広い居住空間を確保。当時のSUVやミニバンブームに見劣りのしない実用性重視の設計が施された。

 2007年6月には2代目が登場。この2代目は、2021年の生産終了までの約14年の長寿モデルとなった。というと少し聞こえはいいが、設計はどんどん古めかしいものに。一部改良やマイナーチェンジで新グレードの追加や安全装備の拡充も図られたものの、ユーザーの心が離れてしまったのは必然とも言える。もちろん、5ナンバーサイズのセダンの需要の低下も低迷の大きな原因と言われている。

 最終的には、2021年3月末に生産終了が発表。コロナの姉妹車であったカリーナの後継モデルだったアリオンも生産終了となった。これで64年に渡り続いたコロナの系譜は途絶えてしまった。そして、プレミオとアリオンの消滅とともに、トヨタは5ナンバーセダンから完全撤退することとなった。

ローレル(1968年~2003年)、セフィーロ(1988年~2003年)→ティアナ(2003年~2020年)

2003年に登場したティアナ。「2004年度末までに100万台の販売増」に寄与する戦略車とリリースでも謳われているほど期待を一身に受けたクルマだった

 2003年2月、日産が世界戦略車としてリリースした高級FFセダンがティアナだ。セフィーロと、ローレルといったアッパーミドルセダンからバトンを引き継いだかたちでのデビューだった。

 セフィーロは1988年に誕生し、バブル経済の後押しを受けて大ブームを巻き起こした。コピーライターの糸井重里氏による「くうねるあそぶ。」のコピーや、歌手の井上陽水さんのCMでのセリフ「みなさんお元気ですか」も話題となった。

 いっぽうのローレルは、ブルーバードよりワンランク上のハイオーナーカーとして1968年に登場した。同じセダンのセドリック/グロリアやスカイラインよりも派手さはなかったものの、2003年1月に約35年間のローレルの歴史に幕を閉じるまで、控えめな高級感が受け、特に中高年層には根強いファンを持つブランドだった。

 これら日産の功労者とも言える2台の後継車とした登場したティアナへの日産の期待感はハンパなかった。

 2003年といえば、日産は史上最大の経営危機に瀕していた時期で、ゴーン元社長が2000年4月に打ち出した「日産リバイバルプラン」の次の中期プラン「日産180(ワンエイティ)」に乗り出した翌年。そういった深刻な事情も相まって、ティアナは「売れてほしい」ではなく、「売れなくてはならない」クルマだったのだ。

 初代ティアナの最大のアピールポイントは、内装の高級感。外観はおとなしめだったが、内装のゴージャス感はハンパなかった。コンセプトの「モダンリビング」というのも納得の出来だった。

 2008年にはフルモデルチェンジを迎え、2代目のコンセプトは「おもてなし」。そして、2014年の二度目のフルモデルチェンジを迎えることに。3代目は、内装の豪華さに加え、走行性能の向上や安全装備の拡充などもアピールされた。

 しかし、初代から最後モデルとなった3代目まで、お世辞にも「売れなくてはならない」ミッションは達成できたとは言えず、ついに2020年7月に日本国内での販売は終了を迎えることとなった。ここでセフィーロとローレルというご先祖様の系譜も途絶えてしまった。

 ただし、海外ではティアナの全面改良モデルであるアルティマが発売され、好調なセールスを続けている。

[gallink]

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みんなのコメント

14件
  • ローレルとティアナは違う車。
  • トヨペット・コロナからコロナへ
    コロナの上級車種としてコロナ・マークⅡ
    それがマークⅡとして独立?

    今や両車とも無くなってしまった…。

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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