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現実的に楽しめる旧車 MGBロードスター 英国版クラシック・ガイド 目立つ弱点なし 前編

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現実的に楽しめる旧車 MGBロードスター 英国版クラシック・ガイド 目立つ弱点なし 前編

現実的に所有できる英クラシック・スポーツ

MGの技術者だった、ドン・ヘイター氏による傑作の1台といえるMGBロードスター。これまでに作り出されたコンパクト・スポーツのなかで、最もプロポーションに優れたモデルとして数えることができる。

【画像】現実的に楽しめるMGB ロードスターとクーペのGT 後年のMG RV8 同年代のエランも 全89枚

さらに運転しやすく信頼性も高い。現実的にわれわれが所有できる、ブリティッシュ・クラシックの1台といえる。筆者のひいき目も、多少はあるけれど。

MGBは細かな改良を受けながら、18年間も生産が続いた。アメリカで制定された安全基準に合致させるため、通称ラバーバンパーと呼ばれるポリウレタン製の黒いバンパーも追加された。それでも好調に売れ続けたという事実は、高い評価の表れだろう。

クラシック・スポーツカーの多くは、走行距離に関係なくタイミングベルト交換が予防的に必要だったりする。長く乗らないでいると不調に陥る、古いクルマ特有の複雑な電気系統が搭載されていることもある。しかし、MGBにはそんな心配は御無用。

週末ドライブを楽しむような乗り方なら、MGBは快く自宅まで走りきってくれるだろう。現代においても、楽しさはまったく薄れていない。もちろん、定期的なメンテナンスは必要ではあるが。

最大で唯一の弱点といえるのがボディのサビだが、英国ではすべてのボディパネルが今でも入手可能な状態にある。ボディシェル自体も購入できる。気力と資金さえあれば、対応は不可能ではない。

価格は上昇傾向 再生産部品の品質は向上

初期のMGBが履いていたタイヤは、旧式のクロスプライ。1速目にはシンクロメッシュが備わっていなかった。ヒーターや折りたたみ式ソフトトップ、バンパーのオーバーライダー、オイルクーラー、フロント側のアンチロールバーはオプションだった。

ワイヤー・ホイールもオプションだったが、レザーシートは標準。バッテリーは電圧6Vのものが2本、フロントシートの後ろ側に載っている。リアシート・クッションも、追加費用で設置できた。ワイパーはシングルスピードだ。

1963年からオーバードライブがオプションで選べるようになり、燃費を伸ばしつつ快適な高速移動を実現。同時期にオーバーライダーが標準になる一方で、シートはクロス張りに置き換えられた。

1967年には中期型のMkIIへアップデート。ワイヤーホイールとオーバードライブを除く、多くのオプションが標準装備になっている。また、トランスミッションはオールシンクロになった。

クロスプライ・タイヤは1972年まで継続採用。1974年からラバーバンパーになり、サンバイザーは1976年に追加されている。

近年はMGBも価格が上昇傾向にある。その人気へ釣られるように、レストアされた美しい個体は一層高く評価され始めている。再生産される部品の品質も向上している。

それらと反比例するように、スクラップ送りになるクルマは少なくなった。1962年の誕生から60年を迎えたMGBの未来は、明るく輝いているように思える。

オーナーの意見を聞いてみる

「2016年に公務員を引退し、何か手掛けるクルマを探していました」。と話すのは、アイボリーのMGBを持ち込んでくれたアンディ・クロウリー氏だ。

「これまでクルマのレストアは経験がなかったので、新しい技術を学べ、多くの人と関係を築けるだろうと考えました。妻はまだ働いていたので、何もせずに家にこもっているのも嫌でしたし」

「メルセデス・ベンツSLKやポルシェ・ボクスターも良いなと思いましたが、現代的なモデルは複雑でもあります。2017年にこのMGBを購入し、4年を掛けてレストアしました」

「既にエンジンは降ろされた状態で、サイドシルは新品に交換されていました。フロアとインナーフェンダーには問題が残っていましたが、ボディ全体としては小さなサビの修理程度で済んでいます」

「自分でボディの錆びた部分を切り取り、修理用のパネルを制作して、溶接は友人にお願いしました。最後まで溶接技術は身につきませんでしたが、セルロース塗料での塗装は、わたしが自宅のガレージで済ませていますよ」

「レストアは楽しかったですし、仕上がったMGBでのドライブは本当に素晴らしい。多くの通行人が微笑んでくれることも、喜びの1つですね」

英国で掘り出し物を発見

MGBロードスター(英国仕様)

登録:1978年 走行:13万4900km 価格:7950ポンド(約132万円)

近年値下げされ、価格価値としては妥当に思える。走行距離はMGBでは短めだが、改ざんはされていないようだ。

インカ・イエローのボディに、ミニライト風アルミホイールが良く似合っている。ボンネットなど、塗装の状態も良好。トノカバーも付いている。黒く塗られたサイドシルは、好みが分かれそうではある。

ダッシュボードはトップパッドが新品に交換済みで、エンジンルームは初期の表面的なサビが見られる程度。売り手によれば、エンジン自体の調子はバッチリだという。

MGBロードスター(英国仕様)

登録:1975年 走行:13万400km 価格:1万7450ポンド(約289万円)

スチールバンパー最後の30台の1つ。1990年代半ばに徹底的なレストアを受けており、コニ社のダンパーやブルーのレザー内装、クロームメッキのワイヤーホイールなどが与えられている。

ステアリングホイールはモトリタ。ウインドディフレクターも装備する。エンジンは約1万6000km前にリビルド済みで、その際にステンレス製のエグゾーストに交換された。

オリジナルに拘る人向けではないが、見た目はとても良い。売り手は運転が楽しいと説明している。沢山の愛情とお金が注ぎ込まれたMGBといえそうだ。

中古車購入時の注意点などは後編にて。

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