現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > SC中、角田だけ同一周回に戻れなかった原因は自動システム。“アブダビ事件”経て導入……「誤作動なかったが今後議論される」とFIA

ここから本文です

SC中、角田だけ同一周回に戻れなかった原因は自動システム。“アブダビ事件”経て導入……「誤作動なかったが今後議論される」とFIA

掲載 3
SC中、角田だけ同一周回に戻れなかった原因は自動システム。“アブダビ事件”経て導入……「誤作動なかったが今後議論される」とFIA

 F1第21戦サンパウロGPを17位で終えた角田裕毅(アルファタウリ)。唯一の周回遅れでレースを終えたが、彼はセーフティカー先導中にポジションをふたつ失い、本来であればトップと同一周回に戻れるところ、それが許されないという不運に見舞われた。

 その原因は、FIAがセーフティカー先導時の隊列をコントロールするために導入している独自のシステムにあった。これは皮肉にも、昨年のアブダビGPで問題となった事象を解決するために作られたものだった。

■フェルスタッペン、F1サンパウロGPでペレスにポジションを譲らなかった理由を説明「僕なりの理由があったんだ」

 昨年のF1アブダビGPでは終盤にセーフティカーが出された際、タイトルを争うルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンの間に周回遅れのマシンが数台いたが、FIAはふたりの間にいるマシンだけを同一周回に戻すという措置をとった。その結果、レースはファイナルラップに再開することができ、前が開けたフェルスタッペンはハミルトンをオーバーテイクしてタイトルを勝ち取ったのだ。

 この一件は当時のレースディレクターであるマイケル・マシとFIA担当者にヒューマンエラーがあったと認められているが、現在ではこのような事態を避けるためにF1の計時システムが修正され、周回遅れのマシンに対してはリスタートまでに隊列を追い抜いて良いと自動的に通知されるようになっていた。

 今回55周目にセーフティカーが出された時、周回遅れだったのは15番手の角田、16番手のアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、17番手のニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)の3台。しかしタイミングスクリーン上に「以下の周回遅れのマシンはオーバーテイクが許可される」として表示されていたのは、アルボンとラティフィのカーナンバーだけだった。

 角田の担当エンジニアはそのメッセージに困惑しながら、無線で「君はオーバーテイクできる……スタンバイ、スタンバイ」と伝えた後、「ダメだ、オーバーテイクはできない」と続けた。既にカルロス・サインツJr.(フェラーリ)を追い抜いていた角田だったが、セルジオ・ペレス(レッドブル)の後ろで待機。その横をラティフィがすり抜けていった。

「何だよこれ、僕らは何をやってるの?」と無線でも困惑していた角田。周回遅れのままリスタートを迎えたため、リスタート時はホームストレート脇で大幅に減速して後続の隊列を先に行かせることになった。

 本来であれば他のマシンと同一周回でリスタートを迎え、ポジションアップの可能性もあった角田はレース後「そのまま隊列に並べと言われました。なぜかは分かりません。FIAは僕が5番手あたりを走ってると思ったんですかね!」とコメント。アルファタウリのフランツ・トスト代表は明らかに不満げで多くを語ることはなかった。

 ではなぜ、FIAのシステム上で角田のアンラップが許可されなかったのか? それは既に周回遅れだった角田がセーフティカー中にピットインし、その際にピットレーン上でトップのジョージ・ラッセルの前に出た状態でコントロールラインを通過したため。FIAのレギュレーションによって定義されている、アンラップできるマシンを判定するタイミングで、角田がその瞬間だけちょうど“同一周回”になっていたのだ。無論、FIAの自動システムはこういった事態まで想定できていなかったということだろう。

 FIAは声明の中で、システム自体は正しく機能していたものの、特殊なシナリオによって今回のような一件が起きてしまったと説明した。

「22号車(角田)はセーフティカー出動後に最初に第1セーフティカーラインを通過した」

「しかし、彼がピットレーンに入った時、セーフティカーの隊列よりも速く走ることができた。その際、コントロールラインを通過する際に同一周回に戻ってしまった」

「コースに合流する時に彼は再び周回遅れとなったが、セーフティカー先導が終了する時点でそうする(同一周回に戻る)資格を得られなかった」

「レースコントロールはF1側の計時と照らし合わせて、6号車(ラティフィ)と23号車(アルボン)だけがアンラップできると確認した」

 ただFIAは、この状況を見直して対処する可能性があると言及した。

「これは極めて珍しいシナリオで、システムの誤作動や手続き上のミスはなかった。こういった予測不可能なシナリオは起こり得る可能性があり、即時変更が必要なものもない」

「もちろん、これらは通常の手続きの一環として、今後のスポーツ諮問委員会で議論される」

関連タグ

こんな記事も読まれています

新型ヴェゼル詳細チェック&ライバル比較
新型ヴェゼル詳細チェック&ライバル比較
グーネット
暫定4位のマルティに30秒のタイムペナルティ。VSC中のピットストップ敢行と判定/FIA F2第7戦レース2
暫定4位のマルティに30秒のタイムペナルティ。VSC中のピットストップ敢行と判定/FIA F2第7戦レース2
AUTOSPORT web
ハンドリングは世界レベル!! リッター30km超えの[カローラ]はデザイン重視も意外な弊害って?
ハンドリングは世界レベル!! リッター30km超えの[カローラ]はデザイン重視も意外な弊害って?
ベストカーWeb
【大阪府】自己と向き合い勝運を祈る勝ちダルマの寺 ~男を磨くデイドライブ~
【大阪府】自己と向き合い勝運を祈る勝ちダルマの寺 ~男を磨くデイドライブ~
グーネット
【北海道】 住宅街にたたずむ古民家カフェで至福の一杯を ~男を磨くデイドライブ~
【北海道】 住宅街にたたずむ古民家カフェで至福の一杯を ~男を磨くデイドライブ~
グーネット
【兵庫県】レストランクルーズ船で贅沢なひとときを ~男を磨くデイドライブ~
【兵庫県】レストランクルーズ船で贅沢なひとときを ~男を磨くデイドライブ~
グーネット
【大阪府】豊かな感性とイマジネーション育む図書施設 ~男を磨くデイドライブ~
【大阪府】豊かな感性とイマジネーション育む図書施設 ~男を磨くデイドライブ~
グーネット
【大阪府】全国のバーテンダーが惚れ込む、プロ御用達の洋酒専門店 ~男を磨くデイドライブ~
【大阪府】全国のバーテンダーが惚れ込む、プロ御用達の洋酒専門店 ~男を磨くデイドライブ~
グーネット
[空飛ぶクルマ]6輪車で登場か!? 実用化なれば結構アリかも!! でも意外な欠点とは?
[空飛ぶクルマ]6輪車で登場か!? 実用化なれば結構アリかも!! でも意外な欠点とは?
ベストカーWeb
自動車界の生きた化石、モーガン「4/4」に中学時代から憧れて…念願かなって16年前に購入!「オリジナルのまま乗り続けるのが目標です」
自動車界の生きた化石、モーガン「4/4」に中学時代から憧れて…念願かなって16年前に購入!「オリジナルのまま乗り続けるのが目標です」
Auto Messe Web
定年間近のクルマ好きの方から「定年後にポルシェ911を買いたい」と聞かれてマジレスした話
定年間近のクルマ好きの方から「定年後にポルシェ911を買いたい」と聞かれてマジレスした話
旧車王
家の中で愛車を楽しむ!クルマを飾れるギャラリー付きマンション誕生 東京・千歳船橋
家の中で愛車を楽しむ!クルマを飾れるギャラリー付きマンション誕生 東京・千歳船橋
グーネット
シトロエン ありがとう「C3」! 日本販売ラストを飾る限定車「メルシー!」は人気カラー採用
シトロエン ありがとう「C3」! 日本販売ラストを飾る限定車「メルシー!」は人気カラー採用
グーネット
ホンダ ポータブル電源「パワーポッド e:」発売 着脱バッテリーで長時間の連続使用も可能に
ホンダ ポータブル電源「パワーポッド e:」発売 着脱バッテリーで長時間の連続使用も可能に
グーネット
ポルシェ 新型「タイカン」六本木ヒルズで初公開!大谷翔平選手とのコラボキャンペーンも
ポルシェ 新型「タイカン」六本木ヒルズで初公開!大谷翔平選手とのコラボキャンペーンも
グーネット
まるで走りはスーパーサルーン! アストン マーティンDBX707へ試乗 タッチモニター獲得で誘引力UP
まるで走りはスーパーサルーン! アストン マーティンDBX707へ試乗 タッチモニター獲得で誘引力UP
AUTOCAR JAPAN
なぜホンダ新型「ヴェゼル」は純正のタイヤ銘柄が増えた? 辛口モータージャーナリストがFFと4WDの走りの進化を検証します
なぜホンダ新型「ヴェゼル」は純正のタイヤ銘柄が増えた? 辛口モータージャーナリストがFFと4WDの走りの進化を検証します
Auto Messe Web
マクラーレン育成ボルトレートが初優勝。マシントラブル相次ぐ一戦に/FIA F2第7戦レース2
マクラーレン育成ボルトレートが初優勝。マシントラブル相次ぐ一戦に/FIA F2第7戦レース2
AUTOSPORT web

みんなのコメント

3件
  • ヤポーネだから仕方ない

    ホワイトだったら大問題だった
  • チームがレースディレクターに抗議する時間は幾らでも有ったぞ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村