BMW 3シリーズとの戦いへ挑む
text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
【画像】最新メルセデス・ベンツCクラス W206型 先代と比較 全91枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
6代目メルセデス・ベンツCクラス、W206型が正式発表された。ラインナップすべてのエンジンに電動化技術が採用された、ブランド初のモデルとなる。
見た目では、フラッグシップのSクラスと共通性を感じさせることが特長。ふんだんなハイエンド技術で、ライバルのBMW 3シリーズとの戦いを優勢に運びたい考えだ。
今回発表となったCクラスは、サルーンとエステート(ステーションワゴン)の2種類。欧州での発売は2021年3月30日からスタートし、夏には納車が始まる予定。
英国での価格は、サルーンで3万5000ポンド(504万円)から。ステーションワゴンでは3万5000ポンド(547万円)からが見込まれており、先代から若干上昇するようだ。
項目ごとに最新Cクラスの特長を確認していこう。
AやEとの共通性を高めたデザイン
短いフロントオーバーハング、スラントしたフロントノーズ、新しいヘッドライトなどを獲得。最新のAクラスやCLA、Eクラスなどとの見た目の共通性を強めている。
ボディ全体のプロポーションは、見慣れたものから外れていない。停まっていても走っているような躍動感を得るべく、デザインは全面的に見直しされている。
ボンネットには、2本のパワーバルジと呼ばれる峰が走る。フロントガラスの位置が後方へ移動し、FRらしいプロポーションに仕上がっている。
メルセデス・ベンツによれば、ショルダーライン(ボンネットからトランクへ伸びるライン)を強調するため、サイドのキャラクターラインは最小限に留めたとしている。ステーションワゴンは、機能性を保ちつつスポーティさを高めるため、傾斜を強めたルーフが特徴だという。
全長は65mm伸び、ホイールベースは25mmプラスの2865mm。主に車内空間が拡充され、ステーションワゴンでは荷室容量が30L増えている。
マイルド・ハイブリッドの1.5Lと2.0L
最新のCクラスでは、ベースグレードから今後発表となるAMG C63に至るまで、電動化技術を搭載した4気筒エンジンに絞られる。マイルドとプラグインのハイブリッド形式となり、燃費効率と高め、CO2の排出量削減に努める。
マイルド・ハイブリッド版では、電圧48Vのスターター・ジェネレーターを搭載。最大20psのアシストを得ると同時に、高速巡航時にはエンジンの停止も可能。再始動も目立たずに完了するという。
メルセデスAMGのF1チームと共同開発した、新しいターボも特長。レスポンスを向上させつつ、省燃費に貢献している。
ガソリンエンジンは、170psと26.7kg-mが与えられた1.5L 4気筒のC180からスタート。0-100km/h加速は8.6秒で、最高速度は231km/hとなる。C200では、同ユニットから203psと30.4kg-mが引き出される。
2.0Lガソリンが搭載されるのはC300。258psと40.7kg-mを獲得し、0-100km/h加速は6.0秒でこなすという。グレードによって異なるが、燃費はWLTP値で12.7km/Lから16.3km/L、CO2排出量は、141g/kmから180g/kmの間になるようだ。
従来から排気量が42cc増やされた2.0Lディーゼルも用意された。C200dの163psから始まり、C220dで199ps、C300dでは264psが与えられる。こちらもグレードによって異なるが、燃費は20.4km/L前後、CO2排出量は131g/kmから152g/kmになる。
C200とC300、C220dでは、四輪駆動の4マティックの選択が可能。軽量化しつつフロントへのトルク分配率を高め、動的性能を高めている。トランスミッションは9速ATが標準。メルセデス・ベンツはMTを順次廃止する計画を進行中だ。
プラグイン・ハイブリッドの300e
プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のC 300eは、まもなく発表される。荷室下に搭載するバッテリー容量を13.5kWhから25.4kWhへ増やし、電気モーターでの航続距離を倍近い54kmから99kmへ伸ばした。
127psを発生する電気モーターと、199psのガソリンエンジンが組み合わされ、システム総合での最高出力は308ps、最大トルクは56.0kg-mを得ている。「効率的なだけでなく明らかにスポーティ」だと、メルセデス・ベンツは自信を見せる。
300eは、電気モーターだけで140km/hまでの走行をまかなえる。55kWの急速充電器を用いれば、30分で充電が可能だ。
また衛生通信や地形データ、交通情報などを使用し、最も効率的なルート設定を行うナビもPHEV版の特徴。都市部では電気モーターを優先させて走行する、といった設定も可能だという。
Sクラスに影響を受けたインテリア
Cクラスの車内が、最新Sクラスの流れを汲むことは明らか。縦長のタブレット風センターモニターを獲得した点がわかりやすい。
ドライバー側へやや傾けられたセンターモニターは、標準で10.25インチ。Sクラス標準の11.9インチもオプションで選べる。メーター用モニターは、10.25インチか12.3インチとなる。
表示スタイルは3種類から選択が可能。必要不可欠な情報のみを残すモードのほか、クラシックと呼ばれる従来どおりの見慣れたもの、スポーティと呼ばれる赤が基調のものから選べる。光ファイバーを用いたアンビエントライトも搭載できる。
インフォテインメント・システムは第2世代のMBUX。最新の音声アシスタント、ヘイ・メルセデスのほか、音楽ストリーミング・サービスや無線アップデートをサポートする。
オプションで拡張ビデオ・ソフトウエアも実装できる。センターモニターに車両周囲の映像を描き出し、ナビゲーションを容易にするという機能だという。ヘッドアップ・ディスプレイの追加も可能だ。
デザイン面では、ジェットタービンのようなエアコン送風口の形状が改められた。シフトノブとロータリーダイヤルもなくなっている。インフォテイメント・システムは、ステアリングホイールのタッチセンサーで操作が可能となっている。
小物入れ内蔵のセンター・アームレストや、ドアパネルの造形も新しい。オプションでリアシートにもヒーターを内蔵できるほか、マッサージ機能も搭載できる。
後輪操舵システムを獲得したシャシー
最新のCクラスでトピックとなるのが、後輪操舵システムの採用。小回りと機敏性を高める目的で採用された。59km/hを超えるとフロントタイヤと同じ向きに制御され、高速域では安定性も向上してくれる。
サスペンションは、フロントが4リンク、リアがマルチリンク式を採用。「乗り心地やノイズなどの快適性やハンドリング、ドライビングの喜びなどを支える高度なサスペンション」だと、メルセデス・ベンツは主張する。
PHEV版では、リア側にエアサスが標準装備。スポーツ・サスペンションとアダプティブ・ダンパーもオプションとして用意される。
強化された運転支援システム
ドライビング・アシスタンス・パッケージはアップデートを受け、さらに先進的になったアクティブ・ディスタンスアシスト機能を獲得。車両全周で複数の車線を認識し、アクティブ・ステアリング機能を補強する。交通標識の認識機能も強化されている。
LEDヘッドライトはCクラスに標準装備。プロジェクターのように130万画素の細かさで警告記号やガイドラインを路上に描ける画期的なヘッドライト、デジタルライト・システムもオプションで搭載できる。
日本での発売日や価格などは、わかり次第お伝えしたい。
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