日本に上陸したばかりのプジョー「408」に小川フミオが乗った!
軽快な走り
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クルマはやっぱりスタイリッシュじゃなきゃ。そういうひとには、プジョーの新型車「408」がぴったりだ。2023年6月20日に、ガソリンモデルとプラグイン・ハイブリッドモデル、2車種が日本発売された。
ここで紹介するのは、1598cc4気筒ガソリンエンジンに、外部充電式のハイブリッドシステムを組み合わせた「408GTハイブリッド」。
ひとことで言うと、軽快な走りが味わえる。大きさを意識させず、加速もカーブを曲がる性能も、共にすぐれている。
65kmのEV走行モードにくわえて、モーターとエンジンの最大トルクの合計値は360Nmに達する。数値的にはまずまずだけれど、体感的にはじゅうぶんすぎるほどパワフルな走りが味わえた。
速いだけでなく、ドライバーの感覚に合った動きが気持ちよい。小径の四角いハンドルを切り込むと、ボディはそれに合わせてすばやく動く。
カーブでボディが大きく傾くことはない。では足まわりの設定は硬いかというと、けっしてそんなことはない。
高速走行時に路面からの突き上げは感じられないし、ぴたっと路面に張り付いたように走る。欧州生まれの面目躍如という感じだ。これこそが“猫足“と評する、プジョーならではの足まわりだ。
プジョーの独自性プジョーが、ステランティスという仏・伊・独・米の複数ブランドのグループに属する前は、シトロエンやDS、そしてオペルなどが属するPSAなるグループだった。
シャシーはある程度共用するものの、サスペンション設定は独自。プジョーはスポーティさを押しだしていた。その印象は408でも健在。シトロエンなどとは異なる。
プラグインハイブリッドシステムは、「e-save」モードを選ぶと、走行中に充電できる。12.4kWhのバッテリーを含めて、基本プラットフォームを共用するシトロエン「C5 X」と共通だ。
408のほうが、デザイン用語でいうところの“クリスピー”だ。鋭角のエッジがたったキャラクターラインは車体各所に入っている。
光線の具合によってはかなり表情豊かで、きびきびとした走りの印象と、ボディのイメージとはよく合っていると思う。
シートはおおぶりで、かつクッションは厚くて、座り心地がとてもよい。リヤシートも同様だ。
リヤシートへ乗りこむとき、ルーフラインが下がってきているため、頭をかがめる必要があるが、乗りこんでしまえば、C5 Xより5mm長い2790mmのホイールベースの恩恵で、落ち着いていられる。
ひとつだけ気になるのは、プジョー独特のメーターナセル。相変わらず(と、あえて書く)ハンドルのリムがパネルを隠してしまう。
せっかく2層の凝った表示なのだけれど、よくわからないのが残念。あれなら、上下に機能べつに表示をわけて、速度計や燃料計など、大事な計器は小さくてもいいからすぐ見えるようにしてほしい、と、私は思った。
燃費は、リッターあたり17.1km(WLTCによるハイブリッド燃料消費率)。このサイズのクルマにしては、けっして悪くない。
600万円超の価格は妥当「408GTハイブリッド」の価格は629万円。メルセデス・ベンツ「Cクラス」(596万円~)やBMW「3シリーズ」(568万円~)やアウディ「A5スポーツバック」(647万円~)と競合する。
ただし、Cクラスや3シリーズに対して、あらゆる快適&機能装備を搭載する408のほうが買い得感は強い。
スタイリングを中心に競合車を探すと、トヨタ「クラウン・クロスオーバー」(435万円~)もターゲットに入ってくるかもしれない。実際に比較検討しているユーザーもいるんだとか。
フランス車はなんとなく価格的にこなれているもの、という思い込みがある人もいるかもしれないが、1.2リッターガソリンエンジンのプジョー「2008GT」は423万8000円するし、1.6リッターガソリンのDSオートモビルズ「DS 7」は689万8000円。
やっぱり“いいもの”はそれなりのお値段。スタイリッシュで、独特のドライブ感覚を楽しませてくれるプジョー408も、それなりの対価を要求する。当たり前なのだ。
文・小川フミオ 写真・ステランティス・ジャパン 編集・稲垣邦康(GQ)
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