3月2日に発表されたボルボの新型EV(電気自動車)「C40リチャージ」のモックアップが日本に上陸した。実物を見た小川フミオがリポートする。
車名の「C」はクロスオーバーを意味する
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ボルボが日本で初めて販売するピュアEV「C40リチャージ」が、いちはやく東京にやってきた。といっても、デザイン・プロトタイプである。それが、3月4日に、ジャーナリストにお披露目されたのだ。
C40リチャージは、3月2日にスウェーデン本社で、オンラインで発表されている。「2030年までにすべてのモデルをピュアEVにする計画」と、述べた同社のホーカン・サムエルソンCEOの、衝撃的ともいえる発言とともに、「CMA」というコンパクトモデルのプラットフォームを使って開発されたこのモデルが姿を見せたのだった。
東京・青山通りに面した「ボルボスタジオ青山」では、リアビューを歩道がわに向けてC40リチャージが置かれていた。それをめざとく見つけて、「このクルマはニューモデルですか」と、ショールームをのぞく通行人もいる。先ごろ、ボルボ車の日本での販売が、5年ぶりに前年比を割り込んだことが話題になったとはいえ、青山を歩くひとには注目のブランドだということがわかった光景であった。
C40リチャージとプラットフォームを共用するのが、SUVであるボルボ「XC40」だ。欧州ではひと足さきに、このクルマのBEV(バッテリー駆動のピュアEV)仕様であるXC40リチャージが発売されており、C40リチャージはボルボにとってBEVの第2弾となる。
内容は、XC40リチャージと同様、前後に1基ずつのモーターを搭載する全輪駆動だ。スタイリングコンセプトはファストバック。薄く見えるルーフの前後長を多少切り詰めて、そのぶんリアハッチゲートを寝かすことで、クーペ的な印象をかもしだしている。車名の「C」はクーペでなく、クロスオーバーを意味しているという。
魅力的なスタイリング
ボルボスタジオ青山に持ちこまれたモデルを前に、離れたり近寄ったりしてじっくり眺めた。まっさきに感じたことはスタイリングの完成度の高さだ。4つの車輪と車体の位置関係を意味するプロポーションもいいし、ボディパネルには抑揚がしっかりつけられている。タイヤのまわりなど、ふくらませるべきところはふくらませて、力強さを感じさせるのだ。
プロファイル(サイドビュー)は、オーソドクスで、シルエットでみると、従来の(内燃機関搭載の)ファストバック車と変わらない。フロントにまわってみると、輪郭は、XC40などほかのボルボ車と共通しているものの、開口していないグリルが目をひく。あきらかに既存のクルマとちがう。
もちろん、駆動用バッテリーから出てきた直流電流を、モーターをまわすための交流に変えるインバーターや、バッテリーなどは高性能になるほど熱をもちやすく、冷却が大事になる。そこでボルボのデザイナーはブラインドグリルの下にスリットを開けて、空気が効率的にボンネット内に入ってくるようにデザインしている。
ボディ外寸の具体的な数字は公表されていないものの、SUVのXC40より全高は明らかに低くみえる。ハッチバックとSUVとの中間的な、いわゆるクロスオーバーというコンセプトで、とくに東京のような回転式駐車場が多い街中では使いやすそうだ。
もうひとつの特徴としてボルボがあげているのが、グーグルとインフォテインメントシステムを共同開発したこと。従来は「センサス」と呼ばれたインフォテインメントシステムは、アンドロイドオートモーティブOSで動くことになる。グーグルマップやグーグルプレイなどを、「スマートフォンが内蔵されているかのように使える」(ボルボ・カー・ジャパン広報担当者)という。地図データの更新もディーラーにおもむくことなく、オンラインでおこなえる。
ボルボのラインナップにあって「リチャージ」なるサブネームは、充電(チャージ)可能のパワーユニットの搭載車であることを意味する。プラグ・イン・ハイブリッド車もリチャージと名づけられているけれど、C40はあくまでBEVで、駆動用バッテリーを充電するためのエンジンを搭載するレンジエクステンダーモデル(たとえば日産「ノート」)をつくる計画もないそうだ。
オンライン販売の行方
3月2日のオンライン発表会では、サムエルソンCEOが「BEVはすべてオンラインでのみ販売する」と、発言したことも、大きな話題を呼んだ。「C40リチャージが日本で販売されるときも、例外なく、オンラインを通して、ということなります」とは、ボルボ・カー・ジャパンの言である。
「最初に売る100台については、新しいサブスク(サブスクリプションサービス=残価設定などをして毎月定額で決まった期間クルマに乗る契約形態)を検討しています。通常の契約は3年間などの長期設定ですけれど、C40リチャージでは、3カ月乗っていただければ、いちおう契約を終了できるようにするつもりです」
ボルボ・カー・ジャパンの広報担当者の言葉を聞くと、あたらしい時代を引き寄せようとの決意を、ボルボがかためているのが伝わってくるではないか。
「最近までボルボ・カーズのサブスクリプションサービスの名称として知られていた『Care by Volvo』は、総合的な利便性を高めることを目的とした、より幅広い顧客サービスへと拡大していきます。オンラインでボルボの電気自動車を購入するときには、サービス、保証、ロードサイドアシスタンス、保険(利用可能な場合)、家庭用充電オプションなどの項目を含む便利なケアパッケージが付帯されます」
試乗や納車や車両の点検など、オンライン化が進んでも、ディーラーやサービス工場との連繋は不可欠、と、ボルボ・カー・ジャパンではしている。
C40リチャージの生産開始は2021年秋からで、日本では2022年にデリバリーが始まる予定。おなじ年にはXC40リチャージの導入も予定していると、同社では話す。「2030年までに日本国内で販売するすべてのボルボモデルをEVのみにする」とはボルボ・カー・ジャパンのマーティン・パーソン代表取締役。
C40リチャージのディメンション(車体寸法)は発表されていない。プラットフォームを共用するXC40の全長が4425mmであることから、おそらくそれに近いものとなるだろう。比較的コンパクトなサイズである。
競合としてボルボでは「プレミアムセグメントSUV(たとえばアウディe-tron)」をあげているものの、そうしたSUVに実際にマーケットで正面からぶつかるのは、将来予定されている、より大型のプラットフォームである「SPA2」を使った車種となるはずだ。
そちらには、LIDAR(ライダー=遠距離にある対象までの距離やその対象の性質を分析する自動運転のためのセンシング技術)も採用されるようで、遠くない未来のマーケットで競争力を持つモデルになるだろう。
「ボルボ・カーズの未来は、電動化、オンライン化、成長の3本柱で定義されています。シンプルさと利便性は、私たちが行うすべてのことの鍵です」
ボルボ本社でグローバル・コマーシャル・オペレーションの責任者を務めるレックス・カーセマケルスは述べている。
C40リチャージの価格は現時点では不明。あまり高くしては意味がない、というインサイダーの言葉もある。いくらのものを、どうやってオンラインで販売して、どういうふうに充電システムなど構築するか……ボルボ・カー・ジャパンの挑戦をみるのが楽しみだ。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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みんなのコメント
でも私は、よりコンパクトなEV、XC20待ちです。
残念だこと。