4xe=日本車的にいうと「電気4WD」
text:Hiromune Sano(佐野弘宗)
【画像】ところで見た目はどう違う 「ふつう」と「PHEV」レネゲード【比べる】 全287枚
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)
その「4xe(フォー・バイ・イー)」というネーミングからも想像されるように、レネゲードのプラグインハイブリッドはジープらしく四輪駆動だ。
日本で4WDのプラグインSUVというと三菱アウトランダーPHEVやトヨタのRAV4 PHVが思い出されるが、レネゲード4xeの動力システムは良くも悪くも、三菱やトヨタのそれほど、内燃機関と電動機関が複雑かつ有機的に絡みあったものではない。
誤解を恐れずにいうと、レネゲード4xeのシステムは既存のガソリン車の「すきま」に巧妙にモーターを追加した(?)ようなものだ。
まず、フロント側では、既存のガソリン車にも使われる1.33Lターボ・エンジンがトルコン6AT(従来のFFガソリン車の6DCTとは異なる)を介して、そのまま前輪を駆動する。
ただ、そこには20psのモーターが追加されており、この部分だけ見るとFFのマイルドハイブリッドである。
定格出力20psのモーターはエンジンのアシストや蓄電のサポート、そして場合によっては直接リア・モーターに電力供給はするが、単独で前輪を駆動することできない。
対してリア側には定格出力60psのモーターが搭載される。前後のパワートレインは機械的にはリンクしておらず、日本車的にいうと「電気4WD」である。
リア・モーターは後輪の駆動と回生をおこなう。
充電は現時点で200V普通充電のみ
……と、ここまでで、ご理解いただいた向きも多いと思うが、レネゲード4xeのEV走行時はリア・モーターのみの後輪駆動となる。
駆動用のリチウムイオン電池は11.4kWhの容量をもち、満充電では最大48km(WLTCモード)のEV走行が可能だそうで、EV状態での最高速度は130km/h。
パワートレインの制御モードは3種類からボタンで選べるようになっており、走行状態に応じてエンジンとモーターを適切に配分する「HYBRID」モードのほか、基本的にEV走行する「ELECTRIC」、そしてリチウムイオン電池の残量キープする「E-SAVE」がある。
残念なのは、他社プラグインハイブリッドのように、エンジンで積極的に充電(して、いざというときにEV走行)するチャージモードが用意されないことだ。
リチウムイオン電池を使い切ってしまうと、ひと休みして充電するまでは、4xeは本来の走りに戻せないのだ。
このクルマの充電は現時点で200V普通充電のみで、日本の急速充電には対応していない。プラグインハイブリッドなのでガソリンを入れれば普通には走るが、やはり自宅や勤務先など日常の生活拠点に充電設備をもたないと、このクルマ本来の魅力は味わいにくいと考えたほうがいい。
4xeの2グレード それぞれどう違う?
日本仕様のレネゲード4xeには2グレードある。
どちらも既存のガソリン車でもおなじみのもので、舗装路での快適性も重視される「リミテッド」と、本格オフロード仕様の「トレイルホーク」である。
ガソリン車とはちがって、パワートレインのハードウェアは両グレードで共通だが、トレイルホークのエンジンほうが179psと、リミテッド131psより高出力型なっている。
ただ、車重はトレイルホークのほうが70kgも重いので、体感的な動力性能は大差ない。
HYBRIDモードでもリチウムイオンに電力が残っているうちに、街中や都市高速を普通に流すかぎりは、基本的にEVである。つまりはリア・モーターによる走行だが、パワーは十二分だ。
ただし、アクセルを深く踏み込んだり、走行モード(前記のパワートレインモードとは異なる)を「スポーツ」やいくつかあるオフロード系のモードにすると、エンジンが加勢して4WDとなる。
舗装路でも後輪駆動のEVから4WDになると、安定性が明らかに高まるのが面白い。
リミテッド/トレイルホーク選ぶなら
メーターのバッテリー残量表示が0%になってしまうと基本的にEV走行はしなくなるが、実際にはリチウムイオン電池の2割ほどの残量をキープする制御になっているという。
だから、アイドルストップからの発進はほぼ例外なくEVでスタートして、アクセルを深く踏み込めば、エンジンからリア・モーターに直接電力供給する電気4WDにもなる。
こうした場合では、いわゆるマイルドハイブリッド4WD状態で走るわけだ。
加速などはFFガソリン車よりは重ったるいが、変速はとてもスムーズで、レネゲードとしては最も高級感のある乗り味といっていいだろう。
ちなみに、車高が低いリミテッドのほうが、舗装路向けグレードと位置づけられているのは前記のとおりである。
ただ、実際にオンロードでも総じて乗り心地の印象はよかったのは、トレイルホークだった。
複雑な動力システムが追加された4xeが絶対的にかなりヘビー級であることは否定できず、トレイルホークは少しばかり重心が高いものの、より大きなサスペンション・ストロークがそれ以上に奏功していると思われる。
ジープ・レネゲード4xeリミテッドのスペック
※()内はトレイルホーク
価格:498万円(503万円)
全長:4255mm
全幅:1805mm
全高:1695mm(1725mm)
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:17.3km/L(16.0km/L)
CO2排出量:136g/km(148g/km)
車両重量:1790kg(1860kg)
パワートレイン:直列4気筒1331ccターボチャージャー+モーター
使用燃料:ガソリン
バッテリー:11.4kWhリチウムイオン
エンジン最高出力:131ps/5500rpm(179ps/5750rpm)
エンジン最大トルク:27.5kg-m/1850rpm
モーター定格出力(前):20ps
モーター最大トルク(前):5.4kg-m/8000rpm
モーター定格出力(後):60ps
モーター最大トルク(後):25.5kg-m/2000rpm
ギアボックス:6速オートマティック
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