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三菱 新型「アウトランダーPHEV」たっぷり詳細解説

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三菱 新型「アウトランダーPHEV」たっぷり詳細解説

三菱自動車は2021年10月28日、フルモデルチェンジした新型「アウトランダーPHEV」を発表した。新型アウトランダーのエンジン搭載モデルはすでに2月にアメリカで発表され、4月からアメリカ、カナダ、中米などで発売されているが、PHEVモデルは世界に先駆け、日本で初めて発表となった。

8年振りのモデルチェンジとなる新型アウトランダーの開発は2016年夏にキックオフされ、プラットフォームを一新するなど大掛かりな開発を行なった。三菱のフラッグシップSUVにふさわしいクルマとするために時間をかけて開発されているわけだ。

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新型アウトランダーが採用した新プラットフォームは、日産・ルノー・三菱アライアンスで決定されたCFM-CDプラットフォームで、同じプラットフォームを採用する日産の新型ローグ(エクストレイルの海外名称)とほぼ同タイミングでのニューモデル開発となっている。メーターパネルなど一部の部品は共用されているものの、クルマ全体の企画・開発・製造は三菱と日産、それぞれ独自で実施している。

新型アウトランダーのコンセプトは「威風堂々」とされ、グローバルに通用するフラッグシップSUVであり、PHEVモデルのリーダーに相応しい全方位での進化が図られている。

グレード展開は、最上級の「P」、「G」、ベースグレードの「M」。ボディサイズの拡大から装備、質感、走りのレベル向上など様々な点で従来モデルよりひとクラス格上げされたと考えることができる。

パッケージング

新型アウトランダーのボディサイズは、全長4710mm、全幅1860mm、全高1745mm、ホイールベース2705mmで、グローバルのC+セグメントのSUVサイズとしている。

全幅、室内幅の拡大によりフロントシートの左右間隔を広げ、ホイールベースの延長によりクラストップレベルのフロントシートとセカンドシートの足元スペースを確保。また、ミッドサイズSUVのPHEVモデルでは数少ない3列7人乗り仕様も新たに設定している。この7人乗りはグローバル市場からの要望が多かったこともあり採用されたという。

サードシートの設置に必要なリヤフロアスペースを確保するため、リヤモーターコントロールユニットをリヤモーターと一体化したコンポーネントとし、燃料タンクは容量を増加させながら、成形の自由度が高い樹脂製を採用している。

シートは、新開発の2層ウレタン構造として形状を最適化し、疲れにくいだけでなくコーナリング時のホールド性も大幅に向上させている。またシートのスライド量、ステアリングのチルト量/テレスコ量を拡大し、最適なポジションが選びやすくなっている。

ラゲッジルームは、開口部床面の幅を広げるとともに段差をなくしフラットなフロア面とし、荷物もスムーズに出し入れが可能としている。またトノカバーの設定位置やホイールハウス後方のトリム形状を改善することで、トータルの荷室容量は3列目使用時は258~284L(リヤウーファーの有無による違い)、3列目収納時は634~646L、2/3列目収納時は1373~1390Lとなっている。またリヤゲートはバンパー下のキック操作で開閉できる電動ゲートを採用している。

PHEVシステム

PHEVシステムは従来型システムを継承しながら各コンポーネンツの性能を大幅に進化させている。

電動車としての魅力を高めるためにEV走行頻度の向上、EV航続距離の向上、そしてEVらしい加速感の向上を行なっている。そのためフロントとリヤモーター、駆動用バッテリーの出力を約40%向上させ、市街地や郊外での走り、高速道路の合流や追い越しなどでも極力エンジンを始動させずにEV走行頻度を向上させている。

フロントモーターはジェネレーターとともにマグネット配置や巻線を最適化し、冷却効率の高い油冷システムなど最新技術を導入。最高出力は60kWから85kW(116ps)、最大トルクは137Nmから255Nmへと大幅に向上。またフロントモーターを制御するパワードライブユニットには650Vまで昇圧する昇圧機能を初採用し、フロントモーターへの供給電圧を高めることで駆動力を増大。ジェネレーターの発電効率もアップさせ燃費も向上させている。

リヤモーターはステーター側のコイルを角型断面とすることで巻密度を高め、最高出力を70kWから100kW(136ps)に向上。最大トルクは195Nmとしている。リヤ モーターコントロールユニットをモーターと一体化することでリヤのフロアスペースを確保するとともに、高周波ノイズを低減させている。

駆動用バッテリーは、電池パック構造の見直しやコンパクトな冷媒での冷却+温度調節システムの採用により、体積を小型化しながら容量を高めたリチウムイオン電池を採用。電池セル80個から96個へ増大させ総電圧350V、総電力量20kWh(従来は300V、13.8kWh)の大容量駆動用バッテリーを実現。

EV走行距離(等価EVレンジ)はMグレードがWLTCで87km、P、Gグレードは83kmとし、エアコンなどを使用した場合でも十分な航続距離を確保し、充電頻度も低減させている。またガソリンタンク容量を従来の45Lから56Lに増大させることで、EV走行とハイブリッド走行を組み合わせた総合航続可能距離は1000kmと、大幅に拡大させている。

搭載エンジンは、従来からの2.4Lの4気筒エンジンを継承し、アトキンソンサイクルによる低回転領域での燃費向上に加え、新たにエキゾーストマニホールド一体シリンダーヘッドやEGRクーラーを採用したことで、高回転高負荷領域での燃費向上を図りながら、最高出力は98kW(133ps)へ向上している。

PHEVシステムは、駆動用バッテリーに蓄えた電力を使ってモーターで走る「EV走行モード」、エンジンで発電して駆動用バッテリーに充電しながらモーターで走る「シリーズ走行モード」、エンジンの動力で走行しモーターがアシストする「パラレル走行モード」の3つの走行モードから、走行状況や電池残量に応じて最適なモードへ自動で切り替え、効率の良い走りを可能にしている。

また走行中、停車中に関わらずバッテリーに充電する「チャージモード」、バッテリー残量を保ちながら走る「セーブモード」、エンジンを極力始動させずモーターのみの走行を優先する「EVプライオリティモード」の選択が可能。

「EVプライオリティモード」では、ヒートポンプの採用(一部グレード除く)により、暖房時にもエンジンの始動を大幅に低減しEV走行の頻度を向上。また駆動用バッテリーの出力を高めたことで「マイパイロット」や「レーダークルーズコントロールシステム」使用時も「EVプライオリティモード」の併用を可能にし、よりEV走行の幅を拡大させている。

新型アウトランダーは新たにワンペダル操作でほとんどのシーンで加減速することができる「イノベーティブペダル オペレーションモード」スイッチを新設定し、減速するためにブレーキペダルに踏み替える頻度を大幅に低減させている。またこの機能は、車庫入れなどでモータートルクを自動制御してクリープする機能も備えている。

なお回生ブレーキは従来通り、パドルで強弱の選択ができるようになっている。

バッテリーの充電は、従来通り普通充電、急速充電、エンジンによる3種類を採用している。PHEVモデルながら急速充電に対応しているのはアウトランダーならではだ。充電時間は普通充電で満充電まで7.5時間、急速充電(105A以上)で80%充電まで38分、エンジン充電では停車中で80%充電まで94分となっている。

また、非常時などは100V/1500Wの電力を供給できる。さらにV2H出力機(パワームーバー:3kW機45万円/4.5kW機65万円)を使用して家庭電源に接続すると一般家庭電源(エンジン発電を含む)として最大12日間の電力供給が可能になる。

駆動システムは前後モーターによるツインモーター4WDで、さらに三菱独自の「S-AWC(スーパー・オールホイールコントロール)」と組み合わされている。S-AWCはスタビリティコントロール、ABS、前後のブレーキを独立制御するAYCを統合制御し、ハンドル角、ヨーレイト、駆動トルク、ブレーキ圧、車輪速などの情報に最適な車両コントロールを行ない、意のままのハンドリングを実現している。

特にブレーキ制御によるAYCは従来の前輪のみから、前後ブレーキ制御に拡張され、よりアンダーステアを抑えるなどコーナリング時のライントレース性が高められている。

走行モードは、センターコンソール上のダイヤルスイッチで選択でき、ノーマル、ターマック(舗装路・スポーティ走行)、グラベル(非舗装路)、スノー(雪道)、マッド(泥濘地)、エコ、パワー(加速重視)の7モードがあり、路面や走行状況に合わせた選択が可能だ。またダイヤルスイッチの中央部にはヒルディセント・コントロール・スイッチもある。ちなみにパワーモードでの0-100km/h加速は8.2秒で、従来モデルより2秒以上速くなっている。

ボディとシャシー

プラットフォームは新世代のCMF-CDを採用しており、エンジンルームのサスペンションメンバーからダンパー支持部、カウルトップまで連続した環状構造を採用。

アッパーボディではキャビンのウインドシールド回りと、リヤドア後方のフロアメンバーからリヤピラー、ルーフにも環状構造を採用するなどボディ構造も一新している。その結果、現行モデルとの比較でフロントのボディ剛性とねじり剛性を大幅に高めている。

衝突安全性能を高めるためにボディの主要骨格には三菱では初となる1470MPa級のホットスタンプ材を採用し、高強度化と軽量化を両立。

サスペンションはフロントがストラット式、リヤがマルチリンク式とし、従来より伸び側ストロークを拡大させ、乗り心地を向上させている。シャシーのコンポーネンツでは、前後のハブキャリアは三菱初のアルミ鋳造性、フロント・ロワアームとリヤのアッパーアームをアルミ鍛造としている。さらに前後スタビライザーは中空タイプとするなどシャシーの軽量を追求している。

シャシー全体ではサスペンションの剛性を大幅に高め、ロール剛性を向上させ、旋回時のロール角を減少させ、直進安定性とコーナリング時のトレース性能を高めている。

ブレーキは新採用の20インチ大径アルミホイール/ワイドタイヤに合わせ、フロント径350mm(現行車は296mm)、リヤ径330mm(現行車は302mm)の大径ベンチレーティッドディスクを採用。

ステアリング系は、デュアルピニオン式のEPSで、ステアリングギア比がロックtoロックが2.6回転とクイック化している。さらに三菱初の試みとしてエアバックモジュール自体をダイナミックダンパーとして使用し、ステアリングコラム自体の剛性向上と合わせて、不快な微振動をなくし、上質で気持ちよい操舵感を生み出している。

またステアリング操作に車体がリニアに、ダイレクトに反応することで、直進安定性、トレース性などが大きく向上している。

静粛性能向上も大きなテーマで、もともと静粛性の高いPHEVモデルはタイヤノイズが目立ちやすいため、リヤサスペンションのクロスメンバーはブッシュを介してボディに取り付け、良好なロードノイズレベルと乗り心地を向上させている。

さらにフロントドアには遮音ガラスを採用し、その他に風切り音を低減やリヤ モーターコントロールユニットをリヤモーターと一体化することで、電気自動車特有のインバーターからの高周波を抑制するなどにより、高い静粛性を実現している。

デザイン

デザインコンセプトは「ボールド・ストライド」で、存在感のあるたたずまい、大地を踏みしめる力強さを追求。フロントは「ダイナミック・シールド」を進化させながら、ボンネットの高さをアップし、厚みのある堂々としたフロントフェイスだ。

ランプ類は機能的に上下に分けて配置し、フロントグリルから左右フェンダーへと延びる薄型のランプはデイタイムランニングランプとターンランプ、ヘッドライトはその下の左右両端に配置し、より低い位置から路面を照らすとともに、ボディのワイド感を強調している。ライト類はすべてLEDで、ターンランプはエントリーモデルを除いてシーケンシャル式としている。

ボディサイドは、フロントからリヤまで厚みのある水平基調の堂々としたプロポーションで、張りのある面構成のボディにキャラクターラインを彫りこんでいる。さらに20インチの大径ホイールと張り出し感のある前後フェンダーとしている。リヤは飛行機の垂直尾翼をモチーフとしたDピラーとフローティング処理をしたルーフにより軽快な走りをイメージさせている。

またリヤエンドは新たにクロスカントリーSUVが装着していた背面式スペアタイヤをモチーフとした「ヘキサガード・ホライズン(6角形)」を採用。シャープな六角形の断面をデザインした特徴的なテールゲートを採用している。

空力的な処理は、リヤスポイラーや滑らかにラウンドしたリヤコーナー形状により車両背面の空気を整流するとともに、ボディ底面を広く覆うアンダーカバーが床下の空気の流れを制御して空気抵抗を低減している。

ボディカラーは、硬質で高輝度なダイヤモンドカラーシリーズとして、ブラックダイヤモンド、ホワイトダイヤモンド、レッドダイヤモンドの3色を設定。新たに設定したブラックダイヤモンドは、3コートの特別カラーで、ガラスを使った密度の高い光る層を追加することで、光の当たらないところでは漆黒、光が当たると強い輝きを放つ。カラーラインアップはダイヤモンドシリーズ3色に、ベーシックな5色、Pグレード専用の2トーンカラー2色を加えた全10色展開となっている。

インテリアは水平基調とし、力強さを感じさせるインストルメントパネル「HORIZONTAL AXIS(ホリゾンタル・アクシス)」を採用。フロアコンソールは幅広で存在感があり上質感のあるデザインとするなど、室内のトリムは触感や質感にこだわったソフトパッドを採用し、各所にステッチを採用している。

また各種のスイッチ類など操作系は、ひと目見て分かるはっきり感、触れて分かるしっかり感を追求した「MITSUBISHI TOUCH(三菱タッチ)」を具現化。、セレクターレバーはジョイスティックタイプとして操作性を向上。各種のスイッチやダイヤルは同じ触感となるように統一し、ダイヤモンドカットを施したデザインとしている。

Pグレードはサドルタンのアクセントカラーをトリムやステッチに配した上級本革(セミアニリン)シートを設定。インストルメントパネルとドアトリムも同色とし、リアルアルミニウムをシフトパネルに採用。またPグレードとGグレードには、ブラックとグレーの本革シートをオプションカラーとして設定。Gグレードにはスエードコンビネーション素材のブラックシートとピアノブラックの内装素材を、Mグレードにはファブリック素材のブラックとグレーのシートとピアノブラックの内装を設定している。

装備

運転支援システムとして、ミリ波レーダーとカメラを装備し、新たにレーダークルーズコントロールシステムとレーンキープアシストを統合した「マイパイロット」を新採用している。

マイパイロットは、ナビリンク機能により、速度標識を読み取って設定速度を自動で切り替えたり、ナビゲーションの地図情報を活用して高速道路のカーブや分岐などで適切な車速に自動で調整したりすることが可能。渋滞時でも停車後約30秒以内なら自動発進ができるようになっている。

また道路標識表示、衝突被害軽減ブレーキシステム、前方衝突予測警報、ペダル踏み間違い衝突防止アシスト(前後方向)、ブラインドスポットモニター、車線逸脱防止、アダプティブLEDヘッドライトなど最新のシステムを装備している。

メーターパネルは、12.3インチのフルカラー液晶ディスプレイを新装備し、メーター表示を好みに合わせて変更できるようになっている。メーター専用のスピーカーを配備し、表示や操作の切り替えを、ブザーなどバンダイナムコと共同開発した独自の効果音で告知するのが特長だ。

またメーター表示はドライブモードで選択した走行シーンがイメージできる画像や、センターディスプレイと連携したナビゲーションや地図情報、オーディオ情報など多彩な表示がカスタマイズ可能となっている。

インフォテイメントは9インチのディスプレイを採用し、スマートフォン連携ナビゲーションを実現している。もちろんAndroid Auto、Apple CarPlayと接続してアプリケーション機能を楽しむことができ、最新の交通情報の取得やソフトの更新がオンラインで可能になる機能にも対応予定となっている。

さらに新型アウトランダーは三菱初のウインドシールドタイプのヘッドアップディスプレイを採用。ウインドウ上の表示は10.8インチの大画面で、運転に必要な情報をフルカラーで投写できるようになっている。

コネクテッドサービスは、「三菱コネクト」を新採用。SOSコールをはじめ、リモート・エアコン、リモート充電、リモート・ボイスコントロール、自動ソフトウエア・アップデートなどが可能になっている。

この他に、オーディオはBOSEプレミアムサウンドシステムを新設定。従来にはない高品質のオーディオシステムを実現している。

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みんなのコメント

2件
  • これは…三菱渾身のモデルだ!はやく実車が見たい!!
  • なにもかも大きく立派になったんだな。
    新型アウトランダーと先代を並べると、
    先代がRVRくらいに感じるよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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