現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【ニューモデル情報通】Vol.7 タフ&ワイルドなアメリカン4WD「フォード・ブロンコ」の歴史

ここから本文です

【ニューモデル情報通】Vol.7 タフ&ワイルドなアメリカン4WD「フォード・ブロンコ」の歴史

掲載 更新 1
【ニューモデル情報通】Vol.7 タフ&ワイルドなアメリカン4WD「フォード・ブロンコ」の歴史

2020年7月13日に発表、2021年モデルとしてアメリカで予約を開始した新しいSUV、「新型フォード・ブロンコ」。クロスカントリーSUVを「RV」「ヨンク」などと呼んでいた時代の4輪駆動車のような、無骨でタフさが溢れるイメージは、オンロード重視の高級・高性能SUVがごく一般的になった現在では、むしろ新鮮に見える。そしてシンプルかつ高い機能性を具現化したようなデザインは、1966年登場の初代ブロンコを彷彿とさせる。

https://carsmeet.jp/2020/07/15/159539/

【知られざるクルマ】 Vol.7 アメリカに渡ったフランス車(1)「ル・カー」&「ルノー・アライアンス」

日本でも、すでに一部で話題になっているこの新型ブロンコは「6代目」を襲名するのだが、「そういえば初代以外の、2代目から5代目ってどんなの?」と思った人も多いだろう。そこで今回は、これまでのブロンコを遡ってみたい。

現在も高い人気を誇る初代ブロンコは、1966年に誕生

アメリカでは戦後間もない時期から、戦争で活躍したジープの民生版であるCJ(Civilian Jeep)シリーズが発売されていた。1954年から製造の「CJ-5」は、それまでのCJで最も成功した車種となったが、1961年、トラクターメーカーのインターナショナル・ハーベスターが発売した商用ピックアップの「スカウト」は、それを上回る人気を獲得した。その理由は、ジープよりはるかに乗用車然としたデザインと居住性から、レジャー用のレクリエーショナル・ヴィークル=RVとして市場が着目したことによる。

それを受けビッグ3は、早速、CJ-5とスカウトに対抗するライバル車を投入していった。まず動いたのはフォードで、1966年に「ブロンコ」の発売を開始。3年後にGMは「シボレー・ブレイザー(K5)」を、遅れて1972年になってクライスラーは「ダッヂ・ラムチャージャー(プリムス・トレイルダスター)」を登場させた。

ブロンコは全長約3.8m、ホイールベース2.3mほどの、とてもコンパクトな4輪駆動車だった。ラダーフレーム+副変速機という設計は、4WD車としては常識的なメカニズムだったが、スカウトを強く意識した、凝ったボディデザインを持っていた。シャーシはブロンコ用に開発した専用設計で、発売当初は、屋根なし・ドアなしの「ロードスター」、これに屋根を載せた「2ドアワゴン」、そして前席部分だけ屋根を持つピックアップを設定。エンジンは2.8L直6を載せていた。

ブロンコはレジャー・レクリエーション・オンロード用として人気を博し、1967年にはワゴンにスポーツパッケージのオプション設定も行っている。しかし1969年登場のシボレー・ブレイザー(K5)は、一回り以上大きな車体、はるかに強力なV8エンジンを積み、また乗用車的な装備・快適性も増していた。そのためブロンコも、1972年に最上級版として内外装を装った「レンジャー」を設定、さらにその後4.7Lもしくは4.9LのV8を搭載して対抗したが、ブロンコのフォロワーとして相次いで登場したK5ブレイザーとラムチャージャーの大きさが、アメリカにおけるRVの標準サイズに移行したため、コンパクトなブロンコで戦うのは難しくなっていた。

2代目からはピックアップの「Fシリーズ」の兄弟モデルになって大型化

1978年イヤーモデルから、ブロンコは2代目に。独立した車種から、ピックアップトラックFシリーズの「F-100」を短くした兄弟車となり、ボディパネルを含め多くのパーツを共用するようになった。そのため車体は一気に全長約4.6m、全幅に至っては2mを超えるほど大型化して、待望の5.8L/6.6L V8エンジンも搭載された。これは、ブロンコもようやくフルサイズ4WDの後発組と対等に戦えることを意味していた。

大きな車体とエンジン、さらに快適性を得た2代目ブロンコの販売は好調で、わずか2年のモデルライフながら販売台数は約18万台に達し、ライバルたちに一矢報いている。

フルモデルチェンジを受けて3代目に 同時期、小型版の「ブロンコII」が派生

2代目以降、Fシリーズ・F-100の兄弟車となったブロンコは、フルモデルチェンジのタイミングもFシリーズに合わせて行われるようになった。そのためFシリーズが7代目になった1980年、ブロンコも3代目へとスイッチしている。4代目F-100の途中、1965年から改良しつつ使い続けてきたシャーシとボディは、7代目Fシリーズでようやく全面刷新しており、ブロンコも近代的な設計とデザインを手に入れることになった。従来通りF-100とフロントドアから前を共用する3代目ブロンコは、こちらもこれまでと同じくリアに樹脂製のハードトップルーフを載せた3ドアワゴンのみを用意。エンジンは4.9L直6、4.9L/5.8LのV8を搭載していた。

ところで、2代目ブロンコがフルサイズに移行したことで、フォードでは初代ブロンコのクラスに穴が空いてしまっていた。そこで1983年、コンパクトピックアップ(コンパクトと言っても、アメリカでトヨタ・ハイラックスなどと同じサイズ)の「レンジャー」をベースにしたSUV、その名も「ブロンコII」を発売している。車名はブロンコだが出自が異なるため、“ブロンコ本家” との関連性はない。

3代目ブロンコをブラッシュアップし続けた、4代目・5代目

4代目ブロンコは1987年に発売を開始した。むろん、同じタイミングでFシリーズも新型が登場している。しかしこの代替わりは、いわゆる「ビッグマイナーチェンジ」で、基本的には3代目をキャリーオーバーしつつ、内外装の近代化やエンジンの性能向上が図られていた。そのため、ボディ形状はブロンコの伝統? ともいえる3ドアワゴンのみだった。

ブロンコは1991年に5代目に進化したが、このモデルチェンジも基本的な中身は3代目→4代目の引き継ぎで、さらに時代に合わせて改良したモデルにとどまった。いうまでもなく、Fシリーズピックアップも同時にモデルチェンジして、9代目を数えている。大きな変化は外観で、2段式のヘッドライトと大きなグリルが目を引くが、キャブ部分は1980年登場の3代目のままなので、いささかアンバランスなスタイルに。5代目ブロンコは1996年まで製造されたが、6代目は現れないまま、ブロンコの名前はフォードのカタログからいったんドロップすることになった。

そして2020年、24年ぶりにブロンコが復活

1996年の生産終了でブロンコの火は消えたかと思われたが、2004年のデトロイトモーターショーに、フォードは「ブロンコ・コンセプト」を出品した。あくまでもデザイン・スタディであったが、初代ブロンコをイメージさせるデザインは魅力的だった。ボディサイズも2代目以降のフルサイズではなく、初代に立ち返ったようなコンパクトSUVとして企画されており、初代ブロンコ的なモデルの復活を期待させた。

そしてついに2020年、24年ぶりにブロンコが帰ってきた。2灯式の丸いヘッドライトと四角いグリル、シンプルなボディと窓のグラフィックスは、初代ブロンコを彷彿とさせるだけでなく、車格も初代以来のコンパクトSUVに復帰。タフでワイルド、道具感に溢れた雰囲気も魅力的だ。しかも新型では、ブロンコ初のリアドア付きボディも用意されることになっている。

コンパクトな新型ブロンコは、ライバルの「ジープ・ラングラー」同様に、日本で発売したら人気が出ると思われるが、残念ながら2016年に日本市場からフォードが撤退しているため、ブロンコは正規輸入の予定がなく、フォードの再参入も計画が見られない。この魅力的なアメリカンSUV・ブロンコを契機に、再びフォードが日本に戻ってくることを大いに願いたい。

こんな記事も読まれています

時速6キロのお台場めぐり!トヨタの3輪BEV使った観光サービス「おさんぽ」スタート
時速6キロのお台場めぐり!トヨタの3輪BEV使った観光サービス「おさんぽ」スタート
グーネット
アウディの美点を「ギュッと凝縮」 更新版S3へ試乗 333馬力にトルクスプリッター 少し真面目すぎ?
アウディの美点を「ギュッと凝縮」 更新版S3へ試乗 333馬力にトルクスプリッター 少し真面目すぎ?
AUTOCAR JAPAN
日産「マーチ」ベースの「フェアレディ」!? 大人が驚く学生ならではの感性で仕上げたカスタムポイントとは
日産「マーチ」ベースの「フェアレディ」!? 大人が驚く学生ならではの感性で仕上げたカスタムポイントとは
Auto Messe Web
ルノーの名物イベント、今年は10月27日に決定! 「ルノー カングー ジャンボリー2024」開催概要を発表
ルノーの名物イベント、今年は10月27日に決定! 「ルノー カングー ジャンボリー2024」開催概要を発表
月刊自家用車WEB
宮田莉朋、無念のトラブルで勝利逃すも「全然ネガティブには思っていません」。原因はギヤボックス/ELMS第2戦
宮田莉朋、無念のトラブルで勝利逃すも「全然ネガティブには思っていません」。原因はギヤボックス/ELMS第2戦
AUTOSPORT web
ルクレール3位「マクラーレンの強さは予想以上。僕たちにはアップグレードが必要」フェラーリ/F1第6戦
ルクレール3位「マクラーレンの強さは予想以上。僕たちにはアップグレードが必要」フェラーリ/F1第6戦
AUTOSPORT web
800馬力のランボルギーニ「ウルスSE」は10種のドライビングモードで楽しめる! EVだけでも60km以上走れるクラス最速SUVです
800馬力のランボルギーニ「ウルスSE」は10種のドライビングモードで楽しめる! EVだけでも60km以上走れるクラス最速SUVです
Auto Messe Web
レッドブル&HRC密着:敗因はフロアのダメージとハードタイヤでの苦戦。勝つことの難しさを痛感したフェルスタッペン
レッドブル&HRC密着:敗因はフロアのダメージとハードタイヤでの苦戦。勝つことの難しさを痛感したフェルスタッペン
AUTOSPORT web
高速道路を走りながら「EV充電」現実に! 本線で「走行中給電」実証やります NEXCO東日本
高速道路を走りながら「EV充電」現実に! 本線で「走行中給電」実証やります NEXCO東日本
乗りものニュース
合法カスタムでも「デコトラ」では仕事ができない現代! デコトラ野郎たちは「マイトラック」で楽しんでいる
合法カスタムでも「デコトラ」では仕事ができない現代! デコトラ野郎たちは「マイトラック」で楽しんでいる
WEB CARTOP
盗難車犯罪の温床「違法ヤード」 解体された自動車が海外輸出される残酷現実、規制強化で本当に防げるのか
盗難車犯罪の温床「違法ヤード」 解体された自動車が海外輸出される残酷現実、規制強化で本当に防げるのか
Merkmal
知的なアスリート──新型マセラティ グラントゥーリズモ試乗記
知的なアスリート──新型マセラティ グラントゥーリズモ試乗記
GQ JAPAN
2年目は女子クラスも新設! 大学自動車部が大手メーカーのサポートで闘う「フォーミュラジムカーナ2024」が開幕!!
2年目は女子クラスも新設! 大学自動車部が大手メーカーのサポートで闘う「フォーミュラジムカーナ2024」が開幕!!
WEB CARTOP
[VW ゴルフ 50周年]重量増加スパイラルに逆行した第7世代
[VW ゴルフ 50周年]重量増加スパイラルに逆行した第7世代
レスポンス
3億円超のアルファ・ロメオの入手方法──新型33ストラダーレに迫る!
3億円超のアルファ・ロメオの入手方法──新型33ストラダーレに迫る!
GQ JAPAN
フェルスタッペン2位「今日のノリスは飛ぶように速かった」グリップに苦しみマシンにダメージも:レッドブル/F1第6戦
フェルスタッペン2位「今日のノリスは飛ぶように速かった」グリップに苦しみマシンにダメージも:レッドブル/F1第6戦
AUTOSPORT web
最高出力800PS、最大トルクは950Nm!ランボルギーニが初のプラグインハイブリッドSUV「ウルス SE」を発表
最高出力800PS、最大トルクは950Nm!ランボルギーニが初のプラグインハイブリッドSUV「ウルス SE」を発表
@DIME
【角田裕毅F1第6戦分析】“ベストなレースタイム戦略”で7位。メルセデスも寄せ付けない走りをHRC折原GMも高く評価
【角田裕毅F1第6戦分析】“ベストなレースタイム戦略”で7位。メルセデスも寄せ付けない走りをHRC折原GMも高く評価
AUTOSPORT web

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村