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3メーカーともにSUGOで2基目のニューエンジン投入。正常進化の中での各車の個別事情/第6戦SUGO

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3メーカーともにSUGOで2基目のニューエンジン投入。正常進化の中での各車の個別事情/第6戦SUGO

 本来なら8月末に第5戦を終えていたハズの2024年SUPER GTシーズンは、台風10号の影響でやむなく大会延期を決断し、第5戦鈴鹿サーキットでのイベントは12月の実質的最終戦に移動。結果的にラウンドが入れ替わるカタチとなり、この9月みちのく開催の第6戦SUGOから後半戦突入ということになった。

 これでGT500に参戦する3メーカー全15台は、揃って年間2基目のエンジンを今週末から投入することになり、ここからSUGOを経て"フルウエイト"の第7戦オートポリス、代わって"ハーフウエイト"の第8戦モビリティリゾートもてぎ、そして"ノーウエイト"の代替第5戦鈴鹿と、残る4戦を戦うことになる。

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⚫︎トヨタGRスープラ「勝てなかったけど、戦える」

 週末の金曜搬入日にパドックで聞く限り、各陣営とも新スペックは「正常進化」の表現が最適とのコメントで一致した。ランキング首位を行くトヨタ陣営、TCD/TRDで開発責任者を務める佐々木孝博氏は、この2基目で「信頼性に関して、少し懸念があった部分を対策してきた」と説明する。

「レースで不具合は出ていませんでしたが、オフテストから開幕までの間で確認できていた不具合で『ちょっとこのままの運用じゃ使えないね』という部分を、少し抑え側で使っていたのがシーズン前半戦でした」と続ける佐々木氏。

「後半の2基目に向けては部品を変えて対策をし、そのメドがついたので、だいぶ使い方は変えられる。やりたいことがちゃんとできる。チームもドライバーもいろんなサーキットのシチュエーションで、使いやすくなるのかな」

 選手権首位を行く36号車36号車au TOM'S GR Supraは、前戦となった第4戦の富士の段階で、すでに燃料流量リストリクターを2ランク絞られた状況ながら、決勝ホームストレートではライバル車両の"サイドドラフト(サイドスリップ)"を活用することで、驚異的なストレートスピードの伸びを披露。TGR(ターン1)で前を刺す場面さえ演じてみせた。

「あれはドライバーが探しながらやってくれていたのもあるし、第2戦(GW開催の富士)では最高速でだいぶ差をつけられていました。そこも『できるところで取り戻す』ということで、性能面でも本来は2基目から入れるモノを、あの時点で入れてもらった。だからある意味、性能向上シロはもう前回使ってしまっているのはあるんですが、そこを含めてやれることをやって、何とか少し差を縮められた。勝てなかったですけど、戦えることはわかりましたので」

⚫︎ホンダ・シビック・タイプR-GT「セットアップの幅を充分に持たせた」

 その富士で今季投入の新型CIVIC TYPE R-GTの初勝利を"ポール・トゥ・ウイン"で飾ったホンダ/HRC陣営も、このSUGOラウンドから特徴的な"左右非対称"熱交換器レイアウトを持つエンジンのアップデートを投入する。

「2基目、載ってるんだっけ?(笑)。基本的には1基目の正常進化という形で仕上げて持って来ているんで。テストでも、まあまあ良い評価をもらえている」と語るのは、HRCのGTプロジェクト兼エンジン開発を統括する佐伯昌浩LPL。

 必要な冷却性能の上限を見極め、今季よりラジエーター、インタークーラーを左右片側1枚ずつに"半減"させているHR-420Eだが、酷暑のなか初勝利を飾った8月の富士が、実質的に今季の最高気温条件でのレース……ということになりそう。とすれば、ここを乗り切ったことで今後はより出力方面に振ることも考えられる。

「いずれにせよ(年間2基運用では)寒いときから始まって、暑いときで終わって。暑いときで始まって、寒いところで終わる。そこに関してはセットアップの幅を充分に持たせたカタチで仕上げてきている。気温とか気象条件には関係なく、前半よりはステップアップしたもので、戦えるかなと思ってます」と佐伯氏。

「ただ(冷えてくることで)パワーに振れるかと言うとそこはなかなか難しいところで。(気化しにくい)CN燃料との絡みもあって、それなりにいいところでまとめられるようなスペックに合わせています。やっぱり今はチリツモの部分が多いので、本当に細かいところ。そういうところをやって来ています」

⚫︎ニッサンZ NISMO「あまり暑くない方がいいかな?」

 そしてランキングでは3号車Niterra MOTUL Zが陣営内最上位の3番手につけるニッサン/NMCも、従来から「2基目の投入は第5戦鈴鹿か、第6戦SUGOか」を状況次第で見極める予定だったが、全8戦を「ちょうど半分に分けるこのタイミング」での2基目搭載となった。

「基本的には2基目と言っても、シーズン中に大きな機能的な変更はありません。信頼性の点では、ちょうど分けるかたちでいいかなと思っています」と明かすのは、NMC(ニッサン・モータースポーツ&カスタマイズ)でエンジンと車両開発を統括する石川裕造氏。

「性能面ではできる変更は少し行なっていて、ちょっとは良くしているつもりです。適合の点では(この1カ月のブランクを)有効に使えた面はあり、もてぎのタイヤテストなどでも『大丈夫だね』と確認した上で持って来ている。ただ、エンジン自体はもう用意してあったもので、登場が1カ月遅れるということです」

 現行のRZ34型Zは、今季投入のNISMOも初代からの"最高速"という武器を受け継ぎ、富士での優位性を保って来たが、前述の"2ランクダウン"状態の36号車との対戦も経て、状況は「厳しさを増している」と分析する。

「富士での状態を見ると、暑さもありターボの使う位置がギリギリの回転数の方に行っていて、我々が今現在、使用しているスペックに対しては多少不利かな、とは見ていました。なので『あまり暑くない方がいいかな?』というのは少しあります(笑)。ただ、寒ければ寒いでまたCN燃料が(燃焼しにくい)……というのもあります」

「第2戦から第4戦の対比で言えば『サクセスウエイト以上につらい部分もあったかな』というふうには見ていて。各社さん1基目の最後だから、という使い方だったのかわかりませんが、結構厳しいものがありました」

「それに(36号車は)素晴らしかったですね。実は抜かれているシーンの分析などをすると(サイドドラフトによって抜かれる方も)影響を受けているんです。抜かれるクルマは通常よりスピード出なくなる可能性があって、そこは論文のとおりです。近寄って来られるとこちらの速度が落ち、前に出たクルマはさらにスピードが出るんです」

 このSUGOの週末は暑さの心配はなさそうながら、雨の影響が大きくなりそうな予報に。各陣営の開発成果が戦績にどう反映されるか。ラウンド順序入れ替えによる"未知の後半戦"が始まる。

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