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長所も短所もディフェンダーのまま ツイステッドT90 EVへ試乗 大胆にエレクトロモッド

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長所も短所もディフェンダーのまま ツイステッドT90 EVへ試乗 大胆にエレクトロモッド

先代ディフェンダーを電気自動車へ

英国で以前からランドローバー・ディフェンダーをモディファイしてきた、ツイステッド・オートモーティブ社。同社は、商標権の侵害を理由にランドローバー側から2回も訴えられている。だが、どちらの裁判も勝利したという。

【画像】純EV化されたディフェンダー ツイステッドT90 エレクトロモッド事例はほかにも 全83枚

少なくともビジネスは順調らしい。現在、ツイステッド社はアラブ首長国連邦とアメリカで、独自に手を加えたディフェンダーを販売している。本社は英国中東部のサースクにあり、ロンドンにもディーラーを構えている。

創業者のチャールズ・フォーセット氏は、2016年に先代のランドローバー・ディフェンダーを240台注文した。その頃既に、ランドローバー側は彼のビジネスに疑念を抱いていたが、クルマは販売したようだ。

現在、真新しいシャシーは40台ぶんが残っている。レストモッドのベース車両として。

今回の事例は、従来とは異なる購買層を惹き付けることになるだろう。シボレーのV8エンジンやフォードの4気筒エコブースト・エンジンではなく、駆動用モーターとバッテリーを搭載してくれるのだから。

内燃エンジン車を電気自動車へコンバージョンすることを、エレクトロモッドという。ディフェンダーのようなモデルの場合は、それが適しているとはいいにくい。それでもツイステッド社は、限定的な顧客が存在すると判断している。

現在、同社へ寄せられる新規ビジネスのうち、約20%は純EVに関するものとのこと。今後の増加は充分に考えられ、無視できない流れだといえる。

61kWhのバッテリーで225kmの航続距離

エレクトロモッドのために、技術協力したのがオランダの専門企業、プラウア社。標準のディフェンダーからエンジンを降ろし、トランスミッション部分が271psの駆動用モーターへ置き換えられている。従来の四輪駆動システムは、そのまま残される。

燃料タンクがあった部分とエンジンルーム内は、液冷されるリチウムイオン・バッテリーや制御機器が満たす。駆動用バッテリーの容量は、ショート・ホイールベースの90で61kWh。航続距離は、最長225kmがうたわれる。

ロング・ホイールベースの110なら、81kWhの駆動用バッテリーを搭載できる。急速充電器には対応していない。エレクトロモッドの結果、車重はノーマルのディフェンダー 90より300kg増えるという。

ボディやシャシー、インテリアなどは、ツイステッド社が得意とするアップグレードが施される。今回試乗したディフェンダー T90トラックキャブの仕上がりは、かなり印象的なものだった。

とはいえ、ディフェンダーの車内はそもそもさほど広くない。ツイステッド社が内装に手を加えスポーツシートを載せたとしても、運転席まわりの空間は限定的。ドアの近くに座ることになる。古くからのユーザーなら違和感はないだろう。

ディフェンダーらしさは、純EVのパワートレインにも通じる。市街地でも郊外の道でも、一般的な純EVとは異なる、独特の雰囲気が残されている。

印象は懐かしいディフェンダーのまま

シフトチェンジは不要で、運転自体は少し楽になっている。それでもステアリングホイールを回すと重いし、レシオはスロー。ショート・ホイールベースの90でも、最小回転直径は期待ほど小さくない。

低速域での乗り心地は、落ち着きがなくラフ。ツイステッド社が防音性や気密性を高めているものの、高速域では風切り音とロードノイズが盛大に車内へ響く。どれもが、懐かしいディフェンダーのままだ。

内燃エンジンがなくなったことで、ノイズやバイブレーションの存在感が強くなっている。洗練されたわけではない。以前より気になる、と思う人もいるはず。

駆動用モーターの最大トルクは122.1kg-mもあるそうだが、加速力はその数字から想像するほど鋭くはない。オリジナルのディフェンダーの駆動系が、そんなに太いトルクへ耐えられるとも考えにくいが。

エコ・モード時は、トルクの発生が穏やかになる。滑らかな加速を与えてくれる。

スポーツ・モードを選ぶと、より積極的に速度が増す。100km/h前後まではホットハッチ並みに勢いが良い。ただし、駆動系から不自然な振動が生じる場面があるようだ。アクセルの反応も、少々過敏だと感じた。

操縦性には曖昧さが残っている。従来よりまとまりはあるものの、現代のSUVに匹敵するほどではない。速度域の高いコーナーでは、充分な注意が必要。先代のディフェンダーから、明確に動的能力が引き上げられたわけではない。

不調和もあるが、予想以上の好感度

主要な自動車メーカーが次々に純EVを開発しているが、ツイステッドT90のように、メカニズム的に簡素なクルマを販売することはないだろう。20世紀と21世紀が共存し、不調和を感じるものの、予想以上に好感も抱いた。

興味を抱いた読者もいらっしゃると思う。ただし、ツイステッドT90の英国価格は27万ポンド(約4320万円)から。多くの人にとって、現実的な金額ではない。

ちなみに同社は、10万ポンド(約1600万円)以下で、持ち込まれたベース車の多くを純EVへエレクトロモッドしてくれるという。立派な新車の純EVが、買える値段ではあるけれど。

ツイステッドT90は、しっかりディフェンダー 90だった。長所も短所も含めて。このクルマが正解かどうかは、判断が難しいところでもある。

ツイステッドT90 EVディフェンダー(英国仕様)のスペック

英国価格:27万ポンド(約4320万円)
全長:3886mm(標準ディフェンダー90)
全幅:1778mm(標準ディフェンダー90)
全高:2032mm(標準ディフェンダー90)
最高速度:160km/h(予想)
0-100km/h加速:8.0秒
航続距離:225km
電費:3.5km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2250kg(予想)
パワートレイン:AC久磁石同期モーター
バッテリー:61kWhリチウムイオン
最高出力:271ps
最大トルク:122.1kg-m
ギアボックス:−

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みんなのコメント

1件
  • 長所‥‥飽きのこないデザイン

    短所‥‥とにかく壊れやすい

    以上
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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