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オフロードマシン テイスティング:’20アフリカツイン AS ES DCT〈後編〉

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オフロードマシン テイスティング:’20アフリカツイン AS ES DCT〈後編〉

小林直樹師範が徹底テスト

市街地、高速道路、ワインディング、林道のさまざまな路面を走破し、日常に近い乗り方から、そのマシンの限界性能までをテストライダー・小林直樹師範が徹底テスト。今回はフルモデルチェンジしたアフリカツイン・アドベンチャースポーツに乗った。その後編をお届けする。

オフロードマシン テイスティング:’20アフリカツイン AS ES DCT〈前編〉

●写真:長谷川徹 ●文:小川浩康 ●テストライド:小林直樹

「もっと遠くへ行く」ための快適性を最新電子制御で実現

(※前編より続く)

【ゴー・ライド(以下G)】トラクションコントロールはオンですか?

【小林直樹(以下小林)】もちろん。というか、ドライコンディションでは、トラクションコントロールを効かせるほどアクセルを開けられなかったよ。ジワーっとアクセルを開けていっても、コーナリングスピードはかなり速かった。サスが硬くなる「ツアー」だと、マシン姿勢の変化も少なくなるから、バランス修正も少なく、アクセルワークに集中できる。逆にサスの沈み込みを感じながらコーナリングしたい人は「オフロード」がいい。こうしてサスセッティングをスイッチだけで変更できるのも、最新のバイクの楽しさだよね。

―― オンロードマシンと遜色ないコーナーリングを楽しめる。

◆エンストしないDCTと足着きのよさが走破性に繋がる

【G】では、林道での走りはどうでしたか?

【小林】ちょっとでもマシンが動いていれば、車重は気にならなかった。足が着くという安心感は絶大だし、DCTはエンストしないから、不意のエンストからの転倒もない。ハンドリングも舗装路とダートで変わらずしっとりしているから、マシン挙動も変わらず落ち着いている。

「オフロード」にセットすれば、前後サスがしっかりストロークしているのが分かるし、路面からの衝撃もちゃんと吸収してくれるから車体は振られにくい。仮に振られたとしても、スタンディングしていればバランス修正もしやすい。ステップを踏み込んでやれば車体が素直に反応し、直立させやすいからだ。

さらにトラクションコントロールもマシン挙動が乱れるのを防いでくれる。アクセルを全閉にしなければ、エンブレもかかりすぎず、テールスライドしすぎるのも防いでくれる。だから、トコトコと林道を走破していけるんだ。

たとえば、行き止まりでアクセルターンでUターンするとかは、さすがに車体の大きさを感じるけれど、エンジンをかけたままマシンから降り、アクセルをジワーっと開けていけば、そんなに車重を感じずにUターンできる。リッタークラスのアドベンチャーマシンでは、林道でのUターンは躊躇するけれど、DCTのアフリカツインなら、エンストの不安なくUターンできるし、足着き性のよさもあるし、それが林道に入っていこうという気にさせるんだ。

―― どんな路面でも安定感のあるマシン挙動が「行ってみよう」という気にさせる!

【G】逆に気になる点はありましたか?

【小林】シールド越しの視界が、少し歪むのは気になった。ダートでは路面状況をしっかりと確認したいから、歪みなしに見たい。調整機能でもう少し下げられるといいね。

それとABSはリヤだけじゃなく、フロントもカットできるといいよね。今回は不自然な介入はなかったけれど、ギリギリのハードブレーキングをする時は、やっぱり自分でしっかりとブレーキコントロールがしたい。このマシンでウイリーやジャックナイフといったアクションライディングをやろうという人は少ないと思うけど、そうしたアクションライディングをしようとすると、ABSやトラクションコントロールが介入してくる。これはアフリカツインの電子制御が、マシン挙動を乱さず、安定して乗れるようにライダーをサポートする味付けになっているからだろうね。

安全に走るための性能が多数装備されていて、パッと乗ってもすぐに安心して乗ることができる。それが林道での走破性、市街地での取りまわしやすさ、高速巡航での快適性としてカタチになっているのが、新型アフリカツインだと思った。

―― 充実した機能を多数搭載し、安心して走行できる。

アフリカツインAS ESはこう味わう!

エンジン特性と連動してサスセッティングが変わるESは、オンロードとオフロードの両方で快適な走りを実現させるために開発された、というのがさまざまな道を走破して充分に体感できた。とくにDCTとトラクションコントロールの制御はIAライダーが行なっているようなスムーズさになっている。それがオフロードでも、大きな車体を軽快にコントロールさせてくれるから、操る楽しさを感じられるんだ。

そんなオフロード走破性と高速巡航性能のバランスのよさが、フルモデルチェンジでさらに洗練された。オプションのパニアケースに荷物を満載して高速道路を一気に移動。キャンプ場をベースにして林道探索をする。ESなら、そうした行動範囲を広げてくれる。

―― 【Honda CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES Dual Clutch Transmission】主要諸元 ■全長2310 全幅960 全高1520 軸距1560 シート高810/830(各mm) 車重250kg(装備) ■水冷4ストローク2気筒OHC4バルブ 1082cc 102ps/7500rpm 10.7kg-m/6250rpm 変速機6段 燃料タンク容量24L ■タイヤサイズF=90/90-21M/C 54H R=150/70R18M/C 70H ●価格:205万7000円 ※シート高は調節可能

―― アフリカツインはシートの差し替えでシート高を20mm下げられるが、写真はノーマルの状態でシート高は830mm。直樹師範の身長は170cmで、カカトが浮く程度。ハンドルも遠すぎず、近すぎず、平均的な日本人体型でも自然なライディングポジションが決まりやすい。スタンディングもしやすく、オフロードでのバランス修正もやりやすい。

―― 直樹師範が気に入った点は、「足着き性でも述べたけれど、自然なライディングポジションが決まるところ。ニーグリップ部分がえぐられていてガニ股にならず、それも車体幅をスリムに感じさせてくれる」という。それと、直樹師範はサスストロークが短い「日本仕様でも林道ツーリングでは不満はない」とのこと。

―― 工具を使わずに5段階で調整できるスクリーン。「林道では歪みが気になったけれど、それ以外では防風性の高さがありがたかった。走行風が身体に当たらないから疲れにくく、寒さも和らげてくれる」

―― 「周辺の明るさに合わせて輝度が変わる液晶パネル。常に視認性がいいので、安全性も高めてくれる。Apple Car Playに対応するなど拡張性の高さもいい」と言う。

―― 懐の広さを感じさせてくれるアドベンチャーマシンだ。

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