チームWRTの一員として厳しいル・マン24時間レースを戦い抜き、LMGT3クラスで2位を獲得したアウグスト・ファーフスは「最後には笑顔になれた」と語り、レースを振り返った。
ベルギーチームが走らせる31号車BMW M4 GT3をダレン・レオンとショーン・ゲラエルとシェアしたファーフスは、WEC世界耐久選手権第4戦として6月15~16日にサルト・サーキットで開催された『第92回ル・マン24時間レース』の最後に、クラス優勝を果たした91号車ポルシェ911 GT3 R(マンタイEMA)から1周遅れでフィニッシュした。
雨のル・マンを制したポルシェのリエツ「前にも似たような状況を戦った」自身5度目のGTクラス勝利
BMWにとっては2011年以来のル・マンでの表彰台獲得となったが、同時に姉妹車であるバレンティーノ・ロッシ擁する46号車M4 GT3がアハマド・アル・ハーティのドライビング中にクラッシュに見舞われ、ハイパーカーの2台(15号車・20号車BMW MハイブリッドV8)もアクシデントに巻き込まれるなど、ドイツのメーカーにとっては厳しいレースとなった。
ファーフスはレース後、「31号車のクルーたちは、持てる力を最大限に発揮し、序盤のエンジンセッティングの問題を乗り越え、難しいコンディションを戦い抜いて表彰台に上ったんだ」と長丁場の戦いを振り返った。
「土曜日の18時(スタートから4時間後)に聞かれたら、違うスピーチをしていただろう。『もし生き残ることができれば、夢のようだ』ってね」と彼はSportscar365に語った。
「実際、2位でゴールできたけど本来のペースは2位を目指せるものではなかったんだ。僕たちはうまくこなせたと思う」
「今回も自分たちが持っているものを最大限に生かすという点では、おそらくこのチャンピオンシップで一番だということを証明できた。僕たちよりもっとペースがあるクルマが何台もいたのに、僕らは2位でフィニッシュしたんだからね」
雨量がまだレースに大きく影響する終盤のスティントで、ゲラエルから31号車のステアリングを引き継いだファーフスは、トップを走る91号車ポルシェのリヒャルト・リエツを追いかけてリスクを冒すよりも、結果ために安全策を取ることにしたと認めた。
「残念なことに、レースの最後の30分間はコースコンディションが悪かった。あの瞬間はペースがなかったから、とにかく無事に(クルマを)持ち帰ることにしたんだ。スティントをこなすために燃料を節約しなければならなかったし、正直なところ何もできることはなかった。イモラのようにドライで走っていれば、もっと良かったかもしれない」
「いずれにしても、追いかけることはできなかったと思う。(91号車ポルシェの)トップスピードは、まさにクラスが違がっていた。でも、ル・マンに参戦し、BMWにとって困難な週末に表彰台を獲得できたことを誇りに思う」
31号車にとって今回の表彰台フィニッシュは、ノーポイントで終えたFIA世界耐久選手権第3戦スパ・フランコルシャン6時間レースからの立ち直るきっかけとなった。
2位でフィニッシュしたチームWRT/31号車のトリオは、75ポイントで並ぶ2台ポルシェ(91号車/マンタイEMAと92号車/マンタイ・ピュアレクシング)に肉薄。シーズンの半分を終えた時点でドライバー選手権、チーム選手権ともに、2ポイント差の73ポイントでランキング3位につけている。
■日曜は、ほぼふたりでドライブを担当
「最後には笑顔になることができたよ」と続けたブラジル人ドライバー。
「素晴らしい結果だと思う。本当に良かった。これでチャンピオンシップに近づいたんだ」
「ル・マンのためにレースをしたけど、チャンピオンシップのためにもレースをしていた。多くのポイントをポケットに入れられるというのは、とても素晴らしいことだよ」
「2台のポルシェと僕らのチャンピオンシップはまだ続いている。この勢いを維持していこう」
ファーフスは、大雨のために夜通しで4時間のセーフティカー(SC)が導入されたことがチームWRTの妨げになった可能性を示唆した。レース序盤にブロンズドライバーのレオンの最低ドライブ時間を完了させるという戦略的な決断が意味をなさなくなってしまったからだ。
「僕たちはレースの序盤を犠牲にして、後半に強い走りをする作戦に出たんだ。2時(土曜深夜26時)までにブロンズドライバーのタイムを消化できたのは僕らだけだった」
「もしレースがドライだったら、あるいはSCランがなかったら、(SC中に)多くのチームがブロンズのタイムをたくさん使っていたから、僕らが圧倒的なアドバンテージを持っていただろうね」
スティント分析によると、レオンがブロンズドライバーに義務付けられた6時間のドライビングを終えたのは1時過ぎで、残りの時間はファーフスとゲラエルが交互に31号車のステアリングを握っていた。
これは、ファーフスがSCの後ろでマシンをドライブしている間、クラス優勝を果たした91号車ポルシェは、ブロンズドライバーであるヤセル・シャヒンが同じ時間帯にドライビングタイムを消化したことを意味する。
「休めたのにもったいなかった」とファーフス。「(いま思えば)ブロンズをそこに置くこともできた。でも、それをどうやって予見するんだい?」
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