キャデラック エルドラドV8、eBayに出品。クラシックデータでコンディション2に認定されている巨大キャデラックが売りに出される。8.2リッターV8を搭載した1976年型キャデラック エルドラドほど大きなアメ車はなかった。
排気量8.2リッター!1970年代、これはアメリカの高級車メーカー、キャデラックが顧客を獲得するためのステータスシンボルだった。時代は変わった。現在の燃料価格では、誰もそんな排気量のV8を伴侶として養おうとは思わないだろう。しかし、1976年型「キャデラック エルドラド」が自動車史上における魅惑的な作品であることに変わりはない。
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だから、eBayが76年型「エルドラド」の、一見して特に美しいと思われる個体を売りに出したのは良いことだ。特筆すべき点: この車は本当に状態がよく、美しく維持されているという。価格:16,000ユーロ(約250万円)。
キャデラック エルドラドについて、広告にはこう書かれている
広告主は、この車を日常使用に適しており、「乗ってすぐに出発できる」と表現している。おそらく彼は、キャデラックが何の問題もなく日常車のように機能し、運転できるということを言いたいのだろう。クラシックデータのレポートによると、このロードクルーザーはコンディション2である。これは、日常使用に適しているというだけでなく、本当に優れているということだろう。
それによると、キャデラックはアメリカで塗装され、アンダーボディはドイツで溶接された。その後、エンジンの洗浄とフルードの全面的な新品交換が行われた。
ラジエーターホースとブレーキホースは新品。エアコンシステムは補充されている。新しい燃料タンク、新しい燃料ポンプ、新しいタイヤがある。シートと後部座席は張り替えられ、室内には新しいカーペットが敷かれている。
説明文によると、現地での確認を強く希望している。
クラシックキャデラックについて知っておくべきこと
米国の自動車は基本的に魔術ではない。メカニカルな面では、現代のヨーロッパの競合車よりも複雑ではないと考えられているため、専門家でないメカニックでも扱える可能性がある。
フレームや同様の部品は特大サイズになる傾向があり、そのため長期的に見ても壊れにくい。
ただし、他の米国車と同様、キャデラックの出自にも注意を払う必要がある。経験則: 冬のペンシルベニア州ではなく、乾燥したアリゾナ州の車であれば、ボディのどこかが錆びている可能性は低い。
電気部品はすべてチェックすべきである。しかし、これはこの年代の他の車でも変わらない。
強大な船が好む速度はゆったりとしたクルージングだ。そうすれば、燃料の渇きもそれなりに抑えられるし、不思議な設計の前輪駆動がメガエンジンのニュートンメーターを気にすることもない。
出品早々に出品者都合で販売が中止されたのが残念だ。
大林晃平: このエルドラド(本当はエルドラードと呼びたい)を見て、私の頭に直感的に浮かぶ言葉は、「銀幕のスター」という一言である。往年の、とつけてもいいが、とにかく他の者とは一線を画すような存在、それがこの当時のキャデラックだった。銀幕のスターと言って想像するときに、もちろんビバリーヒルズやベルエアに住んでいたようなハリウッド映画のスターを想うこともあるけれど、僕はなんだか世田谷や松濤などに住んでいたスターを思い描いてしまう。
そう、当時の芸能人の愛車はキャデラックであることが多く、石原裕次郎(フリートウッド ブロアムをハワイの別荘で愛用していた。今は日本に輸入されハワイナンバーのまま保管中)も、美空ひばり(ドゥビルの6ライトリムジンモデル。代官山の美空ひばり御殿で展示中)も、晩年までキャデラック愛用していたし、力道山(赤いエルドラド ブロアムを愛用していた。力道山は大変な自動車マニアで、メルセデスベンツ300SLを筆頭に、ジャガーXK120やシボレー ノマドなども所有していた)、ジャイアント馬場(ブルーノ サンマルチノから贈られた1967年式キャデラックを最後まで所有していたそうだ)も、キャデラック愛用者として知られていたし、アントニオ猪木もエルドラドで蔵前国技館の興行に通勤?していたという。「世界の茶番劇」と言われた、1976年の格闘技世界一決定戦でモハメド アリと闘った時も、武道館にエルドラドで乗りつけたのであろうか。
さてそんなスターの中でも、特にジャイアント馬場は、キャデラック以外には乗らなかったというし、日本でも富の象徴としての君臨していたキャデラックは、その昔は庶民とは程遠い高嶺の花の存在であったといってもよい。そしてそれは今のように、アルファードが芸能人ご愛用定番車になっている光景と比べ、なんとスターらしいチョイスであったことか。
そんな風にキャデラックからいろいろ連想してしまう旧い人間からすると、現在のキャディーの現状に物足りなさを覚えることは二つある。まず何回も今までAUTO BILD JAPN内で記してきたが、名前がなんとも今のキャデラックは味気ない。今回のエルドラドをはじめ、フリートウッド、セビル、アランテ、デビル・・・。さすがにシマロン(GMが1981年から展開した、Jカーシリーズのキャデラックブランド版。シボレー キャバリエ、ポンティアックJ2000などとほとんど変わらない内容にも関わらず、値段だけがしっかりキャデラックであり、他のモデルの2倍もした。結局大不評のうちに廃版となる)や、カテラ(オペル オメガベースのキャデラック、今や珍車の一台)だけは間が抜けた響きだったが、あれはまあ車そのものがキャデラックとは言えないから仕方ないだろう。
とにかく現在かろうじて生き残っているエスカレードという名称をのぞいては、ATSだのBLSだのCT6とかXT5とか、まるで韓国のアイドルグループ名のような、わかりにくさである。ちなみにCTはセダンやクーペに用いられ、XTはSUV系に使用されているというが、だからどうした、という味気なさだ。だからこそエスカレードという名称と、近年登場したBEVキャデラックのリリックはぜひ最後まで廃版にせず使い続けて欲しい。
もう一つ昨今のキャデラックを見て歯がゆいことは、今のキャデラックの持つ装備の先進性が中途半端なことである。自動車の歴史を紐解いてみれば、セルフスターターをはじめ、パワーステアリング、世界初の量産型V8エンジン(V16もだ!)、ダブルウィッシュボーンの全輪サスペンション、そしてエアコンなどなど、今の自動車に当然のごとく備えられている快適装備の数々は、キャデラックから装備され、普及したエクイップメントであることがわかる。それからすると、今のキャデラックの先進性は最新鋭のリリックを見ても、なんだか中途半端で面白くないし、他の自動車とあまり変わりがないことが残念である。
もう今や圧倒的な先進装備や快適装備などで尽くしたと言われればそれまでだが、自動車と言う概念を捨てて、まるで自宅のリビングルームでくつろいでいるかのような、快適で溶けちゃうような自動車がキャデラックから出てくれないものだろうか?
ハンドリングだなんだという人には、コルベットをもう一台買ってもらえば良いハナシだし(キャデラック一台ですべてを賄おう、というビンボー臭い人はいないだろう)、これからは中途半端なBEVでは生き残っていけないだろうからこそ、リリックには世界最高峰で最先端で、圧倒的にアメリカの快適さと威信を感じられるようなモデルで輝けるアメリカを体現してくれることを心から待ち望んでいる。
本当にこのエルドラドを見ればわかるように、キャデラックの豊かさとはアメリカの豊かさの姿であって、せせこましく、峠道での挙動がどうだとか、ニュルブルクリンクサーキットの名前を発言するような人を相手にする必要はない。だからこそ8.2リッターもあるくせに、140馬力であったとしても、そんな数値などまったくエルドラドの魅力とは関係ない。それよりも身体がとろける様な快適さと、90代のおばあさまが乗っても大丈夫なような指一本で回せるパワーステアリング、そして身体を包み込むフローレンス ノールがデザインしたミッドナイトセンチュリーのようなふかふかベンチシート・・・。現代のキャデラックの設計者は、今一度このエルドラドに乗ってみてほしい、マジでそう思う。
最後にワンポイントメモだが、キャデラックと言う名前は、デトロイトを開拓したアントワーヌ ロメ デゥ ラ モトスゥイール ドゥ カディヤックというフランス貴族に因んでつけられたもの。高島鎮雄先生がその名を、ソラでさらっと発言されているのを見て、私もと思い、必死で一か月かけて暗記したものの、結局誰一人ほめてくれないまま現在に至っている。
Text: Lars Hänsch-Petersen Photo: AUTO BILD Montage eBay/lustberg60
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物理的にすぐ動けなくなるわw