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伝説的マシンが527psで復刻 シェルビー・デイトナ・コブラへ試乗 エンジンはGMのLS3

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伝説的マシンが527psで復刻 シェルビー・デイトナ・コブラへ試乗 エンジンはGMのLS3

伝説的なレーシングマシンを復刻

1960年代に作られた、伝説的なレーシングマシンのナンバー付き車両を、公道で運転するという貴重な機会が新年早々やってきた。復刻版とはいえ、歴史的なモデルを直接的に体験できることなど滅多にない。

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多くのクルマ・マニアの羨望を集めてきたシェルビー・デイトナは、過去に少なくないレプリカが作られてきた。公式に認可を受けた、コンティニュエーション・モデルも存在する。だが、今回の例ほど見事な例はこれまでなかったと思う。

オリジナルのシェルビー・デイトナは、空力特性に優れるフェラーリ250 GTOへ対峙するため、ロードスターのシェルビー・コブラをベースに生み出された。キャロル・シェルビー氏が、より高い最高速度を求めて。

その指示を受けたシェルビー・アメリカンの技術者、ピート・ブロック氏は、基本的にコブラと同じパッケージングをベースに流麗なクーペボディをデザイン。コーダトロンカ・スタイルのテールを備え、空気を滑らかに受け流しつつ息を呑むほど妖艶だった。

果たして、シェルビー・デイトナは1965年のFIAスポーツカー世界選手権へ参戦。 セブリング12時間レースやル・マン24時間レースでは、クラス優勝を掴んでいる。製造数は僅かに6台。近年の取り引き価格は10億円を超えるというレアぶりだ。

エンジンは527psのLS3 エアコン付き

今回のクルマは、シェルビー・インターナショナル社の正式な認可を得ている。製造は南アフリカに拠点を置くハイテク・オートモビル社。英国ではル・マン・クーペス(LMC)社が販売を担う。過去のレプリカとは混同するべきではないだろう。

ただし、オリジナルを寸分違わず正確に再現したモデルとも違う。オリジナルのプロポーションを維持しつつ、快適性を求めてキャビンはわずかに広げられている。メカニズムでも、いくつかのアップデートが施されている。

本来、シェルビー・デイトナが搭載していたエンジンはフォードのV8だった。だが、筆者が試乗したデイトナ・コブラに載っていたのは、GMのLS3ユニット。エアコンとパワーウインドウも装備されていた。

希望すれば、5.0L V8のフォード・コヨーテユニットを指定することもできる。LMCのオリバー・ロウ氏の話では、LS3ユニットの方が排出ガス規制の基準クリアが容易なのだという。6.2Lの排気量から、527psを生み出している。

当時のレーシングカーは、公道モデルに驚くほど近かった。自走でサーキットへ向かい、そのままレースを戦ったマシンも珍しくなかった。21世紀に再現されたデイトナ・コブラはモダナイズされている。しかし、現代の水準では大きな忍耐が必要だ。

LS3ユニットは62.7kg-mという豊かな最大トルクを3000rpmから発するため、基本的にどのギアを選んでいるか気にせず、低回転域から滑らかに加速できる。しかし、交通量の多い市街地での運転は楽しいものではない。

常識的な速度域でも体験は濃密

キャビンは穏やかに運転していても騒がしい。LMCは、デモ車両の試乗車にオプション扱いのオーディオシステムを搭載しなかったが、その理由もうなずける。恐らくロクに聞こえないはず。そのかわり、V8エンジンの重厚なサウンドを楽しめる。

エアコンは備わるが、冬場でも涼しくはない。真夏には巨大なエンジンの熱がバルクヘッドを介して伝わり、車内の温度は下がりきらないと思う。パワーウインドウは付いているが、窓が開くのは10cm程度。気休めでしかない。

ダンパーはオーリンズの高級な調整式が備わるものの、乗り心地はハード。紳士的という表現とは対局にある。特に市街地にある速度抑止用のスピードバンプは、丁寧に乗り越えなければならない。

唯一、電動油圧式のパワーアシストが付いたステアリングの重み付けは現代的。リムの太い、レザー巻きのステアリングホイールを回す力が軽減されている。だが、クラッチペダルはスポーツジムのマシン級に重い。

郊外へ足を伸ばせば、その忍耐が報われる。サルテ・サーキットのような長いストレートはなくても、2023年の基準でも圧倒されるほど速いことを確かめられる。常識的な速度域でも体験は濃密で、限界領域まで迫る必要はない。

エンジンのレスポンスは即時的。アクセルペダルの角度とシンクロするようにサウンドが張り詰め、加速Gが鋭く立ち上がる。0-100km/h加速は3.9秒。2速で6500rpmのレッドラインまで引っ張ると、130km/hへ届いてしまう。

魅力に満ちた圧倒されるほど豪快な走り

そして何より、現代の高性能モデルでは味わえないレベルの、感覚的な興奮を享受できる。交通量の少ない開けた道を、英国の制限速度となる96km/hで運転すれば、160km/hで走っているような刺激に浸れる。

操縦性で気になったのはステアリング。負荷が高まっても、やや軽すぎるかもしれない。だとしても、フロントノーズの反応はシャープで正確だ。

リアタイヤは、トラクション・コントロールが存在しないことを考えれば落ち着いている。タイトコーナーへ突っ込みすぎると、フロントタイヤが外へ流れてしまう。侵入速度はしっかり探る必要がある。

とはいえ、デイトナ・コブラのマナーは至って後輪駆動。速度が上昇するとともにアンダーステアは収まり、高速コーナリングは印象的なほど安定していた。最高速度は328km/hがうたわれているが、確かに許容できそうに感じた。

英国価格は18万ポンド(約2880万円)とお手頃とはいいにくいが、現代のスーパーカーと同等の金額ではある。圧倒されるほど豪快な走りには、他に例を見ないほどの訴求力がある。復刻版ではあるが、単なるレプリカとは一線を画した魅力に満ちている。

シェルビー・デイトナ・コブラ(英国仕様)のスペック

英国価格:18万ポンド(約2880万円)
全長:4150mm(オリジナルモデル)
全幅:1720mm(オリジナルモデル)
全高:1180mm(オリジナルモデル)
最高速度:328km/h
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:9.6km/L(予想)
CO2排出量:−
車両重量:1400kg
パワートレイン:V型8気筒6161cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:527ps/5600rpm
最大トルク:62.7kg-m/3000rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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みんなのコメント

4件
  • えっLSって思ったら、排ガス対策そっちの方が楽なのか。コヨーテも積めるみたいだけど、今フォードにOHVってないのか?
  • カウンタックとかと同類の現代版リメイクか。この手の車て賛否が割れる傾向にあるよな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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