ボッシュはセミトレーラーの電動化を推進し、実用化させようとしている。IAAハノーバー国際モーターショー(商用車)で、ボッシュは、セミトレーラーに組み込むことのできる電動アクスルを発表する予定だ。
これは、これまでのアクスルを単に自在に回転させる手法に代わって、セミトレーラーのアクスルに電動装置を組み込むという発想を基にしたものだ。つまり、ブレーキ時に電気を生成し、トレーラーのパワーユニットに供給するという考えだ。冷凍トレーラーの場合、この方法によるコスト削減は年間あたり10,000ユーロ(130万円)にも及ぶという。。ボッシュは、この方法で得た電力を冷却ユニットに利用することで、年間で最大9,000ℓのディーゼル燃料を削減できると試算している。車両の始動、加速時に電気ブースト機能を利用することでさらに燃料の削減が可能だ。
2019年に導入予定。ラスト1マイルは電動で。ボッシュが電動トラックの普及を後押し
そして燃料の削減はそのままCO2排出量の削減につながる。また、ディーゼル式に比べて電動式の冷却ユニットは静粛性が大幅に向上するため、特に都市部のスーパーマーケットなどではメリットがある。ドライバーは騒音で近隣に迷惑をかけることなく、早朝や夜遅い時間に搬入することができるようになる。
「ボッシュは、トラックのリヤアクスルの電動化とスマート化を進めています。弊社のトラック向け電動化ソリューションは経済的なメリットが大きく、既存のトラック車両にいかにeモビリティを活用できるかを示すものとなっています」
と、ロバート・ボッシュGmbH取締役会メンバーのマルクス・ハイン氏は述べている。
これに加え、電動アクスルは、物流会社の駐車場におけるトレーラーの自動駐車実用化への重要な一歩になる。アクスルにパワートレインを組み込むことは、トラクターを切り離した状態のトレーラーが駐車場内を移動できるようにするということだ。
ボッシュのこのテクノロジーは、新車はもちろん、後付けソリューションとして既存車両にも導入できる。そのため潜在需要は極めて大きいと考えられる。欧州だけでも、自動車総重量(GVW)10トンを超える100万台のトレーラーのうち、約4分の1は毎年新車登録されており、このうち5台に1台は冷却ユニット装備車となっている。
エネルギーの回収:乗用車用コンポーネントを応用
電動アクスルの開発は、他の多くの商用車向け部品の開発とは対照的に、乗用車の部品がベースになっている。たとえばドイツの郵便・物流会社で使用されているStreetScooter社が開発した配達車両など、SMG180という電気モーターはすでに世界中で何十万台ものハイブリッド自動車や電気自動車に組み込まれている。電気自動車とは異なり、この電動アクスルに組み込まれたモーターは常に間欠的に動作し、たとえば、下り坂運転やブレーキ時などエネルギー回収が可能な場合のみ始動する。乗用車の分野ではすでに十分確立した技術であるこのエネルギー回収により、ブレーキ時に発生したエネルギーを無駄にせず、高電圧バッテリーに蓄積することができる。そしてこの電力は、坂道発進時にモーターに供給したり、トレーラーの冷却ユニットの電源として利用したりすることが可能なため、燃料消費を大幅に削減できる。このような必要に応じて作動するアプリケーションには、ほかにもメリットがある。
電気モーターは、エネルギーの回生時、または車両の始動時や坂道発進時の1時間あたりのほんの数秒か数分を除き、ほとんどの時間作動しない。そのため、このアプリケーションには商用車に求められる耐久性の高い部品ではなく、乗用車用のコストの低い部品を利用できるわけだ。コストは低く抑えられているが、モーターにはトレーラーの移動や建設車両の始動をサポートする十分なパワーがある。
物流ステーションにおける自動駐車:電気モーターが有能なアシスタントに
電動アクスルは自動運転においても非常に有能なアシスタントとして機能する。モーターをアクスルに組み込むだけで、物流ステーション内でトレーラーを自走させることができる。
「ボッシュの電動アクスルを利用するとトレーラーの自律運転が可能です。トレーラーを電動化することは、物流ステーションにおけるトレーラーの自動駐車実用化へ向けた重要な一歩となります」
ハイン氏はこう述べている。またトレーラーの電動化により、運送会社の敷地内のような私有地や物流ステーション内での遠隔操作による電気走行も促進される。現状では、このような作業はトラック運転手が自分で行なうか、または特殊なトレーラー用のシャント装置を利用する必要がある。しかし、電気モーターを組み込むことで、トレーラーは短い距離であれば走行可能な自動運転車両として利用できる。さらに車両と物流ステーション内のさまざまなポイントにセンサーを設置すれば、貨物を積載したトレーラーを自動で駐車させることも可能になるだろう。
電動アクスル:Q&A
Q:アクスルの電動化にはどのような部品が必要ですか?
A:ボッシュはインバーターとビークルコントロールユニット(VCU)を供給しています。電気モーターとして別体型モータージェネレーター(SMG)があります。あるいはローター、ステーター、レゾルバーなどを能動部品としてアクスルに組み込むことができます。エネルギーを蓄積するためのバッテリーシステムも必要です。
Q:アクスルの電動化にはどのくらいコストがかかりますか?
A:弊社で正確なコストを計算することはでき兼ねます。ただし、ボッシュの見解として、最長でも2年間の運用でシステムに対する投資は回収できると考えます。冷凍トレーラーのようなアプリケーションで電動アクスルがもたらすコスト削減の効果を考慮すると、この目標は十分に現実的であることも確信しています。
Q:電動アクスルの代表的な応用例にはどのようなものがありますか?
A:現時点で最も成果がはっきりしているのは冷凍トラックで、特に都市部への食品配送にメリットがあります。冷却ユニットを電動化することで、中期的な経済効果が期待できるだけでなく、静粛性を大幅に軽減できます。また、内燃機関による排気ガスの心配も不要になります。建設業からは、特にぬかるんだ土地などの掘削現場における車両の始動アシスタンス機能に非常に高い関心が寄せられています。
Q:燃料削減についてはどの程度の効果がありますか?
A:現在、冷却ユニットに使用されているディーゼルエンジンの電気ユニットへの転換が進められており、ディーゼル燃料の1時間あたりの消費量は2~3リッターとなっています。このデータに基づくと、年間で約9,000リッターの消費量となります。始動時、加速時、坂道発進時に電気アシスタンス機能を利用すれば、さらに削減できる可能性があります。この削減量は4%に上ると推測されています。
Q:なぜボッシュはデュアルモーター方式を採用しているのですか?
A:2基の電気モーターを使用することでかなり多くのエネルギーを回収でき、比較的追加コストを抑えて大きなメリットが得られ、また燃料削減効果も大きくなることが期待されるためです。また、デュアルモーターアクスルは物流ステーションでの自動走行により適しています。アクスルの両端に1基ずつ電気モーターを組み込むことで、トレーラーの回転半径を大幅に小さくすることができます。顧客からさらにコスト削減を求められた場合は、1基だけで電動化することも可能です。
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