MotoGP日本GP終了から数日、マルク・マルケスのホンダからの早期離脱が発表された。これまで陣営のエースとして活躍してきたライダーを欠くことになるホンダだが、この先の彼らはどうなっていくのだろうか?
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■ドゥカティ進化のキーパーソン、ダッリーニャがホンダからの”引き抜き”オファー認める。加入噂のマルケスには「対処できる」とも
マルク・マルケスが今シーズン限りでホンダを離れる、という旨の正式発表があったのは、日本GPが明けた水曜の10月4日。2024年もレプソル・ホンダ・チームに残留するのか、それとも噂されるとおりドゥカティのサテライトチーム、グレシーニ・レーシングへ移るのか、という彼の去就は、シーズン後半戦の大きな注目の的だった。だが、マルケスがどれほど口を閉ざしていても、彼自身の様々な言動や周囲の反応などを見ればその矢印が示す方向はほぼ明らかだったこともあり、今回の正式発表は大きな驚きを持って迎えられるというよりも、むしろ、必然的な結果として冷静に受け止められた感が強い。
たとえば、日本GPの1週間前に行われたインドGPで、マルケスは「ホンダのバイクは1周あたり、0.1秒や0.2秒ではなく0.6秒くらい改善しなければならない」と、突き放したようなハードルの高い課題を述べていた。また、このウィークにはドゥカティ・コルセのスポーティングダイレクター、パオロ・チアバッティが、マルケス加入の可能性があることを述べている。
日本GPの決勝レースで3位に入った際には、マルケス自身が「この表彰台で内心の決意が変わることはない」と話し、その発言の直後に2位のフランチェスコ・バニャイアが「バイバイ、ホンダ」と混ぜっ返した。さらに、ドゥカティ・コルセのジェネラルマネージャー、ジジ・ダッリーニャはテレビ局のピットレーンインタビューでマルケスの自陣営合流をかなり明瞭に示唆していた。
これだけの材料が揃っている以上、ホンダ残留というカードがマルケスの手元に残っているとは考えにくかった。だからこそ、ホンダ離脱の発表は冷静に受け止められたのだろう。
来シーズンにドゥカティへ移籍するマルケスは、当初の情報だとMoto2時代から長年連れ添ったクルーチーフのサンティ・エルナンデスを帯同する、という情報もあったが、最終的には誰も連れて行かず、たった独りでの移籍となる模様だ。かつてバレンティーノ・ロッシがジェレミー・バージェスとともにホンダからヤマハへ移籍して以降、多くのライダーが気心の知れたクルーチーフを伴ってチームを移ることは半ば慣例のようにもなっていた。今回、マルケスがエルナンデスを連れて行かなかったのは、グレシーニレーシングの人々の仕事を保証することに加え、将来的に他陣営へ移る可能性のある技術者に自分たちの機密を知られることをドゥカティ側がよしとしなかったため、という事情もあるのかもしれない。
来シーズンのドゥカティは全8台のラインナップのうち4台が最新ファクトリースペック(GP24)、4台が実績のある前年度仕様(GP23)というマシン供給体制になる、と言われている。グレシーニレーシングの場合はドゥカティ陣営のなかでも、いわば「普通のサテライト体制」であるため、マルケスはいわゆる1年落ちのバイクを使用するものと思われる。ただ、その1年落ち仕様のなかでも、供給されるのは2023年最終進化形なのか、あるいは最終アップデート前のバージョンで実績と品質をさらに保証できるものなのか、ということについては、内部で協議中のようだ。あるいはドゥカティのことだから、ひょっとしたら臨機応変な対応を見せて最新ファクトリースペックを用意することも、あながちゼロとは言いきれないかもしれない。
いずれにせよ、2024年のドゥカティ陣営は、現チャンピオンで現在もランキング首位に立つフランチェスコ・バニャイア、彼を3ポイント差で追うホルヘ・マルティン、進境著しいマルコ・ベツェッキ、というトップ争いの常連にさらにマルケスが加わることになるわけで、現在でも圧倒的に優勢な勢力が、さらに強力無比になることは明らかだ。
■マルケス失ったホンダの今後は?
その一方で、マルケスがいなくなるホンダ陣営の2024年は、どのような戦力状況になってゆくのだろう。
レプソル・ホンダ・チームのマルケスが抜けたシートに収まるライダーが誰になるのかはまだ発表になっていない。陣営のライダーラインナップで確定しているのは、ジョアン・ミル、ヨハン・ザルコ、中上貴晶の3名。かつてのホンダは、マルケスのフィードバックを重視して彼の好みに偏重したバイクに仕上がっていた、とはよく言われることだ。
HRCの関係者に訊ねれば、全選手の意見を聞き入れているともちろん言うだろうし、実際のバイクがどの程度「マルケススペシャル」的な傾向が強かったのかということについても、外部の者には知るよしもない。ただ、ひとつヒントになるのは、かつてマルケスにどのシーズンのバイクが一番よかったかと訊ねたときに、「シーズン最多の13勝を挙げた2014年」と回答したことがあったが、様々なバイクを試乗してきた経験を持つ元GPライダーがこのバイクに乗った際、「ものすごく乗りにくくてびっくりした」と述べていたことは、非常に示唆的だ。
ホンダの技術者たちが、高い開発能力を持った専門家集団であることは疑問の余地がない。その彼らがミル、ザルコ、中上たちの意見をまんべんなく取り入れてゆくことで、2024年以降のホンダはきっとオールマイティな乗りやすさを備えたバイクに仕上がってゆくだろう、という見方もある。だが、ホンダが強さを発揮していた過去を振り返ってみると、扱いやすいバイクだから勝っていた、というわけではかならずしもなさそうだ。
たとえば、2004年と2005年のホンダはロッシとヤマハに勝てない苦しいシーズンが続き、2006年はロッシと最終戦まで争った末、ニッキー・ヘイデンがチャンピオンを獲得した。このときのヘイデンが駆った990ccV型5気筒のRC211Vが「ニュージェネレーション」と呼ばれるスペシャル仕様であったことは、広く知られる話だ。その後、2007年以降の800cc時代もホンダは苦戦が続いた。その800cc最終年の2011年に移籍してきたケーシー・ストーナーが、初乗りのRC212Vで開幕戦から優勝を飾って快進撃を続け、タイトルを獲得したのは、まさに彼の天才ゆえだ。その後、1000cc時代を迎え、2013年にRC213Vで最高峰デビュー飾ったマルケスがこの年と14年を制し、2016年から19年まで連覇を続けたのは周知のとおりだ。
このように近年のホンダのMotoGP史を振り返ってみると、そこにはやはり、卓越したライダーとその技倆を最大限に引き出す特別なマシンがあったことがわかる。では、2024年以降のホンダ陣営は、どのライダーを前面に押し立てて、果たしてどんなスペックで戦ってゆくのか。つまり、ドゥカティの牙城に迫り、堅牢な城塞をつき崩すための、明確な旗印を立て、目標へ向けて一心不乱に進むことがはたしてできるのかどうか。それが、ことの成否を大きく左右するのだろう。
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みんなのコメント
「新しいマテリアルを評価する時にマルクは嘘を言って僕の意見を邪魔してくる」
「競い合うのはライバルチームなのに、先ずはチームメイトを目の敵に」
「ホンダの勝利を目指してお互い協力すべきなのに、他のチームメイトではこんな事は無かった」
と今年のインタビューで答えていた。
ホンダを離れたダニはKTMでテストライダーを勤めマシンの開発に専念。
KTMの成績が右肩上がりなのを観ると、マルクが好き勝手したRCVが他のライダーに扱い辛いのも納得。
他のライダーの意見を聞かなかったからこそホンダは凋落した。
別れた方がお互いに良い結果を産むと思うよ。
ただ、他のライダーからバイバイホンダなんて馬鹿にされるのは正直かなり腹が立つし本当に情けなく感じる。
F1でFアロンソからGP2エンジンと馬鹿にされた時を思い出す。
今は心からホンダやヤマハの復活を願っています。