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マスタングの“同士撃ち”で盟主T8陣営が4戦3勝。ニック・パーカットも4年ぶり勝利/RSC第2戦

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マスタングの“同士撃ち”で盟主T8陣営が4戦3勝。ニック・パーカットも4年ぶり勝利/RSC第2戦

 今季2024年もGMシボレーとフォードがしのぎを削るRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップにて、おなじみとなったF1オーストラリアGP併催の第2戦『メルボルン・スーパースプリント』が3月21~24日にアルバートパークで開幕。この華々しい舞台にて、ブロック・フィーニーとウィル・ブラウン(レッドブル・アンポル・レーシング/シボレー・カマロZL1)の2枚看板を擁するトリプルエイト・レースエンジニアリング(T8)陣営が、4ヒート中で3勝を飾ってライバルを圧倒する結果となった。

 豪州大陸に上陸したF1サーカス一行が2024年シーズン第3戦『フォーミュラ1・ロレックス・オーストラリア・グランプリ』を開催するのにあわせ、グランプリ前週から“アデレード・モータースポーツ・フェスティバル”が催された現地では、元ハースF1代表のギュンター・シュタイナーが2010年のスーパーカー王者ジェームス・コートニーのドライブで“ホットラップ”を経験したのに続き、日本でも活躍したリアム・ローソンがその「正しい側(ドライバーズシート)」に座った。

元ハースF1代表がジェームス・コートニーのサイドシートを体験「年齢を感じたよ(笑)」/RSC

 ニュージーランド出身の“Kiwi”で、今季レッドブルF1のリザーブに専任する22歳は、最新のGen3規定フォード・マスタング・スーパーカーのステアリングを握り午前は幸運なファンを、午後はコートニーを“サイドシート”に伴って市街地コースでのラップを重ねた。

「僕は間違いなく、ジェームス(・コートニー)に対してもっともハードにプッシュした。他の誰よりもね」と笑顔で明かしたローソン。「彼が僕の隣に乗ってきたときは、かなりのプレッシャーを感じたよ。子供の頃にカートレースを始めたとき、彼は僕のヒーローだったからね。素晴らしい経験だった」

 昨年は“聖地”マウントパノラマにてレッドブルRB7のデモンストレーションも担当したローソンだが、今後のキャリアにおいて“やりたいことリスト”の筆頭に、シリーズが誇る『バサースト1000』を挙げている。

「そうだね(耐久カップ登録の)コドライバーのような仕事だとしても、いつか飛び込むことができたら素晴らしいだろう。それは間違いなく夢だよ。すべてのドライバーに自分がやりたいレースのリストがあるのは明らかだが、バサーストは僕自身が見て育ったレースだ」と続けたローソン。

 この週末、自身がドライブしたブランシャード・レーシング・チーム(BRT)は、今季バサーストで耐久カップ登録のシートに空きがあるチームのひとつだったが「2024年に出場できるか」と尋ねられたローソンは「今はあまりレースをしていないけど……あぁ、何だって可能さ」と含みを持たせた。

■新車がウォールの餌食に

 こうして始まったRSCのレースウイークは、フォード陣営のドライバーたちが次々とシボレーのドライバーに挑戦状を叩きつけるも、横綱相撲を見せるT8のふたりがそれをことごとく跳ね返すような展開に。

 幕開けのレース1ではアントン・デ・パスカーレ(ディック・ジョンソン・レーシング/フォード・マスタング)がひさびさの躍動を見せてポールシッターのフィーニーを出し抜くも、すぐさまブラウンやマット・ペイン(グローブ・レーシング/フォード・マスタング)にパスされポジションを失い、オープニングラップ終了時点で早くもフィーニーが定位置を取り戻していく。

 その後、タイヤ交換義務のない20周スプリントのファイナルラップまで3番手のポジションを守ったペインだったが、最終局面でドライビングミスから大きくコースを逸れ、代わって表彰台を得るかに見えたニック・パーカット(マット・ストーン・レーシング/シボレー・カマロZL1)も、昨季までの僚友チャズ・モスタート(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/フォード・マスタング)に追突し、無情の5秒加算ペナルティが課せられるドタバタ劇に。

 これでワン・ツー・フィニッシュを達成したフィーニー&ブラウンの背後にはペインが返り咲き、続く同日のレース2でも今度はフィーニーが最後から2周目にミスをして順位を落とし、勝者ブラウン、2位マーク・ウインターボトム(チーム18/シボレー・カマロZL1)、そして3位にペインが入り、良くも悪くも残る週末2ヒートの活躍を予感させる連続表彰台となった。

 明けた日曜はそんなフォード陣営の期待が“悪いほう”へと裏切られる1日に。最初のレース3はそのペインがポール発進の権利を手にすると、隣に並んだキャメロン・ウォーターズ(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)がターン1でのホールショットを奪っていく。

 そのままラップ全域にわたりバトルを展開した2台だったが、まだ2周目の最終コーナーで絡んだマスタングは壮絶なクラッシュという結末を迎え、ともにウォール脇で立ち往生したことからセーフティカー(SC)が出動する事態に。

 ライバル同士の潰し合いを横目に楽な展開となったT8陣営は、リスタート後も波乱なくレースを進めフィーニー&ブラウンのワン・ツーを再現。前日レース2はタイヤトラブルで後退したモスタートが3位表彰台を得た。

■同士討ちふたたび……

 クラッシュ直後の現場で後輩のドアを開け、ポールシッターを叱責していたウォーターズは、開幕戦のマシン損傷によりこれが新車の初戦だったことも踏まえ、ふたたびウォールに乗り上げるほどのダメージに「そうだね、本当に本当に最低だ」と失意を口にした。

「手前のターン11からオーバーテイクに向けた駆け引きが続き、最終コーナーに向けて横に並ぶことができた。彼は僕がそこにいることを知らなかったのかどうかは分からないが、知らなかったとしたら、それは空間認識能力がかなり劣るということになる」と続けたウォーターズ。

「たとえば、真新しいクルマが壁に埋め込まれて、明らかに彼のものにも損傷があり……そんなのはただのクソだ、ああ。本当にクソ喰らえだ」

 続く最終レース4でもペインの“悪目立ち”は収まらず、今度はポールからのスタートを切ったモスタートとの勝負で一時は首位浮上に成功し、レース中盤までトップランを守り続ける粘りのドライビングを披露する。しかし、ブレーキングを誤ったモスタートがロックアップしてペインの後部に衝突、両者は芝生の上に飛び出し、これで万事休す。

 このアクシデント後に首位浮上を果たしたのがパーカットで、背後でポジションを入れ替えながらプレッシャーを掛けてくるブラウンとフィーニーを振り切り、自身4年ぶりの勝利を掴み取った。

「信じられない、ちょっと言葉が出ないよ。マットやチーム全員にいくら感謝してもしきれない」と感極まった様子で語り、最後のダウンラップは燃料切れでティム・スレード(プレミエアー・レーシング/シボレー・カマロZL1)に押されて戻ってきたパーカット。

「昨日の(元僚友に追突した)レース2では『もう辞めよう』と思った。でもその翌日に勝てたなんて、本当に素晴らしいことだ。(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドに在籍した)この18カ月間、あらゆる瞬間、あらゆる種類のネガティブコメントを憎んできた。だから正直に言うと、マット・ストーン・レーシングに足を踏み入れた瞬間『ここが自分がいるべき場所だ』と悟ったんだ……」

 これでブラウンが575ポイント、フィーニーが558ポイントで続く2024年のRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ。続く第3戦は4月20~21日に隣国ニュージーランドの新規会場、タウポ・モータースポーツ・パークで争われる。

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