現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【1000万円のクルマが今や100万円台!!】はたして激安中古車を買っても大丈夫なのか???

ここから本文です

【1000万円のクルマが今や100万円台!!】はたして激安中古車を買っても大丈夫なのか???

掲載 更新
【1000万円のクルマが今や100万円台!!】はたして激安中古車を買っても大丈夫なのか???

 例えば車両本体価格250万円ぐらいの実用車の1年落ち中古車を、総額180万円ぐらいでお得に手に入れる。それはかなり「堅実で賢いお買い物」だといえます。

 しかし人生というのは「堅実ならそれでOK」といえるほど単純なものでもありません。人間は、時に「勝負に出る」「でっかい花火を打ち上げる」みたいな馬鹿げたこともしてみたくなる生き物だからです。

【装備や性能をガチ比較】10年前と比べて新車価格は高くなった? 割安になった??

 それゆえ、時にはこんなことも思ってしまいます。

「新車時は1000万円を軽く超えていたあの高級車が、今や100万円台の格安中古車になっている。……そんな(元)高級車に乗り回すという、でっかい花火を打ち上げてみたいものだ」。

 これは冒頭で例として挙げた堅実な買い物とは真逆の、まったく堅実ではない「冒険的な買い物」です。しかし、冒険なだけに、どこか惹かれる部分があるのも事実です。

 ということで、「新車時は1000万円を軽く超える高級車だったが、今や100万円台で買える車種」には、はたしてどんなモノがあるのか? 買っても大丈夫なのか? ちょっと真面目に考えたいと思います。

文/伊達軍曹
写真/ベストカー編集部

候補1/ポルシェ911カレラ ティプトロニックS(タイプ996/前期型)

空冷993型、964型に比べると極端に安い通称「涙目」のヘッドライトを持つ996型の前期型(後期型は2002年~2004年)

■新車時価格:1070万円
■中古車相場:180万~280万円
■100万円台で狙える年式:1998~2001年式

 世界を代表するスポーツカー「ポルシェ911カレラ」だけあって、新車時価格は余裕で1000万円オーバー。

 しかし996カレラの前期ティプトロニックSは人気薄なため、中古車は180万円ぐらいから楽勝で探せます。仮に中古車価格が183万円だとすると、新車からの値落ち率は実に83%です。

 これだけ安いと思わず買ってみたくなるのが人情というもの。なにせ総額200万円も出せば曲がりなりにも「ポルシェ911オーナー」になれるわけですから。中古車が納車されたら、ぜひ友人の家にアポなしで乗り付けたいものです。

 クルマに詳しくない友人であればびっくりして腰を抜かすか、もしくは「お前、何か犯罪にでも手を染めたのか?」と心配されることでしょう。

 しかし、安いのには理由がありました。996カレラやターボを除く997型前期モデルに起きるインターメディエイトシャフトの構造上の欠陥という爆弾です。

 これを修理するのに150万~200万円かかるといわれています。同じ996型でも後期型であれば、ディーラーのサービスキャンペーンで対策済みエンジンに載せ替えていたりもするのですが、この前期型は対象外で、なおかつ100万円台の格安物件は自主的な対策整備が施されていないことも考えられます。

 だからといって「爆弾」は必ず爆発するわけではありません。100万円台の996型前期モデルでも、ぜんぜんフツーに乗れる場合だってあるでしょう。しかし、そうなるかどうかは誰にもわからないのです。

候補2/メルセデスベンツSクラス(W221型)

憧れだったベンツSクラスがいまや100万円台で買える幸せ。本当に買っても大丈夫なのでしょうか?

■新車時価格:1396.5万円(2006年式S550ロング)
■中古車相場:70万~490万円
■100万円台で狙える年式:2005~2009年式

 ポルシェ911カレラが世界を代表するスポーツカーだとしたら、メルセデスベンツSクラスは「世界を代表する高級サルーン」でしょうか。

 そんなSクラスの新車価格は安いやつでも1000万円ぐらい、高いやつで2000万円ぐらいという感じです。

 しかしW221こと先代Sクラスの中古車は、100万円どころか「車両価格70万円ぐらい」から探せちゃうのです。それもベースグレードではなく立派な「S550ロング」が、です。

 上記の相場が「70万~490万円」となっていることからわかるとおり、実際の相場は上下に幅広いのですが、格安系の物件は80万~150万円あたりに集中しています。

 実際の市場でありがちな「S550ロング/128万円」を例にとると、新車価格からの値落ち率は実に91%。10分の1以下にまで落ちているという計算ですね。

 例えば2008年式S550ロングの中古車が車両価格が128万円だとすると、諸費用が含まれた乗り出し価格は148万円ぐらいですので、これはもう軽の新車を買うより安い金額です。それゆえ、ある意味「気軽に買える」ともいえます。

 しかし、100万円級の先代Sクラスをお買いになるのは自由ですが、「気軽に買う」のはあまりオススメしません。

 というのも、ここまで安くなっている元高級車の中古車というのはたいていの場合、ろくな整備もされないまま歴代オーナーに乗られ、そして販売店も特に部品交換は行わず、内外装をキレイにしただけで売りに出すケースが多いからです。そのため結局は納車後に消耗部品の交換が必要になったります。

 そしてSクラスの部品というのはやっぱり高額です。なにせSクラスですからね。そこを承知で買うならば、それもいいでしょう。

 もしくは、ごく希に「けっこう整備されているのになぜか安い」という掘り出し物のSクラスもなくはないので、「自分はそんな掘り出し物に当たるはず」という強運を信じて進む道もあります。

候補3/BMW 7シリーズ(E65型)

2001年にデビューした第4世代の7シリーズに爆弾は潜んでいないのか?

■新車時価格:1180万円(2005年式750Li)
■中古車相場:30万~150万円
■100万円台で狙える年式:2001~2009年式

 メルセデスベンツSクラス同様「世界を代表する高級サルーンのひとつ」といえるBMWの7シリーズ。Sクラスが東横綱だとしたら、こちらは西横綱でしょうか。特に5.4LのV型12気筒エンジンを搭載した750Liは横綱感満点です。

 しかしそんな横綱7シリーズも、E65こと先々代であれば今や超絶格安。100万円どころか車両35万円ぐらいから探すことができます。

 その場合の乗り出し価格は50万~60万円ぐらいになりますので、スズキ ワゴンRの中古車を買うのと変わらないというか、年式によってはワゴンRのほうが高いでしょう。

 とはいえV12の750Liはさすがに35万円ではなく98万円ぐらいになるのが一般的です。その場合の新車価格からの値落ち率は92%。これもベンツのSクラスと同じく「新車価格の10分の1以下」になっているということです。

 そして100万円級の先々代7シリーズを買うにあたっての注意点も、先代Sクラスと同じです。

 すなわち買うのはご自由ですが、買った後にたぶん結構な修理代がかかります。なにせ部品代が高いので。

 でも、なかには「当たり」の格安中古車がないとはいえませんので、ご自身の強運に自信がある人は突撃してみるのも悪くないでしょう。責任は持てませんが……。

候補4/ジャガーXJ(X350型)

フォード傘下に入ってから誕生した最後の丸目、アルミボディのX350型XJシリーズ

■新車時価格:1140万円(2006年式4.2ソブリン)
■中古車相場:30万~160万円
■100万円台で狙える年式:2003~2010年式

 「買うのはご自由ですが、たぶん後からお金がかかると思いますよ」というクルマが多いなかで、こちらジャガーXJのX350系は希望が持てるかもしれません。それまでのX300系と比べるとずいぶん信頼性が上がった世代ですから。

 2003年から2010年まで販売されたこちらのジャガーXJは、XJらしい丸目4灯のヘッドライトを採用した最後の世代。

 それまでのXJはスリムな体型でしたが、こちらX350系はボディを拡大して後席の居住空間を拡大したため「デブになった」「エレガントじゃなくなった」とも言われました。

 しかしアルミ製のモノコックボディを採用したため、軽量化には成功しています。

 新車時価格は769万円から1680万円で、売れ筋のXJ8 3.5は895万円。それが今や「30万円スタート」といった相場ですので、かなりの激安っぷりが炸裂しています。

 ありがちな「車両68万円のXJ8 3.5」を基準にすると、新車からの値落ち率は約92%。こちらもメルセデスベンツSクラスやBMW7シリーズとほぼ同じぐらいの値落ち率になっています。

 格安な中古車は乗りっぱなしでノー整備だった場合も多く、高級車ゆえ「壊れたときの部品代はメチャ高い」という部分もSクラスや7シリーズと同じです。X350の定番の故障はエアサスとエアを送るエアコンプレッサーです。

 しかしジャガーXJは、ベンツやビーエムと比べるとマニアックな人が所有していたケースも多いクルマです。

 それゆえ、数ある格安中古車のなかに「当たり」が混じっている可能性は大いにあります。

 つまり「人気薄モデルなので高い値段こそ付けられていないが、これまでしっかり整備されてきた優良個体」に出くわす可能性もある、ということです。

 整備記録の内容と販売店の雰囲気、スタッフの人相風体などを参考にしながら、そんな「当たりのXJ」を探し出してみてください。

 これは今回、4車種共通して言えることでもあります。気軽に買おうとせず、じっくりと探してみてください。そうすれば1000万円級高級車の「蜜の味」はまだまだ味わえると思います。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
AUTOSPORT web
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
AUTOSPORT web
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
ベストカーWeb
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
AUTOSPORT web
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2483.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

123.8963.8万円

中古車を検索
Sクラスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2483.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

123.8963.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村