現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 同じアスファルト舗装でも「公道」とは別モノ! レーシングドライバーが語るサーキット舗装の秘密

ここから本文です

同じアスファルト舗装でも「公道」とは別モノ! レーシングドライバーが語るサーキット舗装の秘密

掲載 20
同じアスファルト舗装でも「公道」とは別モノ! レーシングドライバーが語るサーキット舗装の秘密

 この記事をまとめると

■日本の道路舗装率はひと昔前まで30%に満たないほど低かった

【日本にもまだ沢山ある】普通のクルマで砂利道を延々走っても大丈夫?

■一般道では耐久性重視の設計をしているほか、「高機能舗装」といった舗装も増えている

■サーキットはミューの高い舗装がされておりラバーグリップも発生しやすい

 一般道とサーキットで路面はどれほど違うのか

 クルマ好きな人達の間でたびたびテーマとして取り上げられる「サーキットと一般道の舗装ってどう違うの問題」。これまでの経験を踏まえて解説してみたい。

 一般的にクルマが走る道の多くは舗装がなされている。少し前までは日本の道路舗装率は28%以下(国交省調べ)の低さだとして話題になってきた。それを踏まえて自動車メーカーやタイヤメーカーも舗装路だけでなく砂利道など未舗装道路にも対応できるクルマ作り、タイヤ作りを進めてきたものだ。日本の道路の多くが農道や林道などで占められていることが舗装率を引き下げる要因になっているともいえるが、近年は生活圏の道路舗装率を中心に車両開発が行なわれるようになり、舗装路への適合性がより高まっているといえる。タイヤの扁平率が小さくなり、車高や空力など舗装路での性能に特化した仕様のものが多くなってきた。

 しかし、舗装路と言っても一様ではなく、またサーキットなど一般道とは異なった舗装を敷いているケースも多い。

 一般的に舗装にはアスファルトやコンクリートが用いられ、高速道路などでは数十トンの重量に耐えられる高強度の混合素材が用いられることもある。また、雨天に雨水を吸収しハイドロプレーン現象の発生を抑える「高機能舗装」なども部分的に用いられている。高機能舗装は乾燥時にはタイヤのロードノイズを吸収してくれるので騒音対策としても用いられるものだ。

 これらを敷設しても経年変化や交通量で表面の状態は変化し、一般的なタイヤでも路面とのミューの変化が大きい。敷設したばかりの高機能舗装では豪雨時でも乾燥舗装時と変わらないほどのグリップ力を得られるが、舗装路面が通常のアスファルトに変わると突然スリップしてしまうというケースが多々ある。

 このように一般道では舗装面を注視し、グリップレベルを読み間違えないように気をつけないと危険だ。自動運転機能なども前方の路面を判別する機能が備わらないと安心して任せることができないのだ。

 他銘柄のラバーを拾うとグリップが落ちることも!

 ではサーキットの舗装はどうなのだろうか。

 通説として言われているのは一般道よりミューが高いということだ。とくに2輪のレースが開催されるサーキットではミューが高まるように路面の表面を工夫している。基本的にはアスファルトを基盤に用い、砕石などを骨材として混合して敷設している。ゴム製のタイヤコンパウンドに骨材が食い込むことでミューを高めているわけだ。

 だがこうした舗装路面は劣化も早い。サーキットでは多くのマシンが同じようなラインを通り、タイヤのコンパウンドゴムが路面に塗り込まれるように付着していく。ゆえに走行ラインは黒く着色したように見える。初めて行くサーキットでも路面のブラックラインを追って走れば、ほぼ正しい走行ラインを見出だせる。

 またレースウィークになれば多くのマシンが走るので路面表層にコンパウンドゴムがコーティングされたように塗り重なり、それでさらに高いミューを発揮できるようになる。「路面がインプルーブ(「良くなる」の意味)される」までタイムアタックを待つ、という策が取られる理由だ。

 対してラインを外れると、骨材が浮き出ていて路面の剛性が低下しミューが下がってくる。常に安定した路面を保つためにはメンテナンスが重要だが、コストもかかるので表面の清掃程度で済まされてしまうことが多い。骨材の浮き出た部分は逆に雨天では水はけがよくグリップが高まる。ウエット時に意図的に通常の走行ラインを外し、普段誰も走らないラインを取るとタイムが向上するのはそのためだ。

 また路面インプルーブも複数のタイヤメーカーが競うカテゴリーでは台数の多いメーカーのタイヤにとってはインプルーブするが、少数のメーカーにとっては他社のラバーをピックアップしてしまい、ミューの低下に振動の発生などの問題を引き起こしてしまう。ワンメイクのタイヤで競うカテゴリーとは分けて考える必要があるのだ。

 また夏場の高温下で路面温度が60℃を超える高温時には表層の硬度が低下しミューが下がる。冬の低温時には骨材の混在剛性が高くミューが上がり、さらに湿度も関係する。サーキットの舗装は一様に見えても、生き物のようにミューが変化するので、その変化を見抜き、適切なセットアップとドライビングを見出だせた者が勝者になり得るのだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

欧州 CO2規制を緩和、自動運転開発にテコ入れ 「今こそ行動起こすとき」
欧州 CO2規制を緩和、自動運転開発にテコ入れ 「今こそ行動起こすとき」
AUTOCAR JAPAN
【サウジアラビア】トヨタ最新型「クラウン“マジェスタ”」がスゴイ! 約840万円の334馬力「ハイパワーモデル」! 5年ぶり復活の「高性能仕様」どんなモデル?
【サウジアラビア】トヨタ最新型「クラウン“マジェスタ”」がスゴイ! 約840万円の334馬力「ハイパワーモデル」! 5年ぶり復活の「高性能仕様」どんなモデル?
くるまのニュース
新東名‐市街間の「ボトルネック」7日ついに解消! 大井川を渡る“静岡の大動脈”に橋を追加
新東名‐市街間の「ボトルネック」7日ついに解消! 大井川を渡る“静岡の大動脈”に橋を追加
乗りものニュース
標準装備を厳選して戦略的な価格を実現したメルセデス・ベンツGLC/GLCクーペのエントリーモデルが日本デビュー
標準装備を厳選して戦略的な価格を実現したメルセデス・ベンツGLC/GLCクーペのエントリーモデルが日本デビュー
カー・アンド・ドライバー
【2025年F1チーム別プレビュー/ウイリアムズ】2026年に集中も、サインツという資産を得て上昇は必至
【2025年F1チーム別プレビュー/ウイリアムズ】2026年に集中も、サインツという資産を得て上昇は必至
AUTOSPORT web
VW、小型EV『ID. EVERY1』を2027年に市販へ…価格は2万ユーロから
VW、小型EV『ID. EVERY1』を2027年に市販へ…価格は2万ユーロから
レスポンス
サイバートラックが異次元カスタムで覚醒!? ドイツのチューニングメーカー“マンソリー”が手がけた「イーロンゲーション」とは
サイバートラックが異次元カスタムで覚醒!? ドイツのチューニングメーカー“マンソリー”が手がけた「イーロンゲーション」とは
VAGUE
外装のアクセントカラーは460億通り! 「ベントレー・コンチネンタルGT」オプションの無限の可能性
外装のアクセントカラーは460億通り! 「ベントレー・コンチネンタルGT」オプションの無限の可能性
LE VOLANT CARSMEET WEB
日産「崖っぷち」からの大逆転なるか? 800億円赤字、工場閉鎖…「技術の日産」再興でスバル化戦略? e-Powerの未来どうなる
日産「崖っぷち」からの大逆転なるか? 800億円赤字、工場閉鎖…「技術の日産」再興でスバル化戦略? e-Powerの未来どうなる
Merkmal
東京ガス、EV充電サービス「EVrest」に新料金メニュー…充電器ごとの柔軟な設定が可能に
東京ガス、EV充電サービス「EVrest」に新料金メニュー…充電器ごとの柔軟な設定が可能に
レスポンス
【RQ決定情報2025】スーパーフォーミュラの新チームをサポートする『KDDIレースアンバサダー』のメンバーが発表
【RQ決定情報2025】スーパーフォーミュラの新チームをサポートする『KDDIレースアンバサダー』のメンバーが発表
AUTOSPORT web
ホンダe:HEVと日産e-POWER 元エンジニアが判定「長所」と「短所」をガチで比べるとどっちがいいの?
ホンダe:HEVと日産e-POWER 元エンジニアが判定「長所」と「短所」をガチで比べるとどっちがいいの?
ベストカーWeb
「マイクロバス」はトヨタの商品名だと知ってた? 60年以上むかしのトラック「ダイナ」ベースのバスがとってもおしゃれ! 昭和懐かしのクルマを紹介します
「マイクロバス」はトヨタの商品名だと知ってた? 60年以上むかしのトラック「ダイナ」ベースのバスがとってもおしゃれ! 昭和懐かしのクルマを紹介します
Auto Messe Web
ユーザーがクルマの「リコール」を放置すると車検に通らない場合も! そもそも「リコール」ってどんな場合に出されるもの?
ユーザーがクルマの「リコール」を放置すると車検に通らない場合も! そもそも「リコール」ってどんな場合に出されるもの?
WEB CARTOP
ホンダ「WR-V」一部改良! 高級インテリア採用&精悍すぎる「ブラックスタイル」登場! 値上げ実施も“全車250万円台以下”をキープ!
ホンダ「WR-V」一部改良! 高級インテリア採用&精悍すぎる「ブラックスタイル」登場! 値上げ実施も“全車250万円台以下”をキープ!
くるまのニュース
2025年2月の新車販売ランキング、スペーシアが2位浮上 N-BOXはトップ変わらず
2025年2月の新車販売ランキング、スペーシアが2位浮上 N-BOXはトップ変わらず
日刊自動車新聞
ママチャリとロードバイクが合体!? トップチューブレス設計のスポーツバイク「ママチャリロード2」発売
ママチャリとロードバイクが合体!? トップチューブレス設計のスポーツバイク「ママチャリロード2」発売
バイクのニュース
テストでは最多周回を走り込んだメルセデス。弱点の克服を実感「開幕戦には完全な準備ができたマシンを持ち込む」
テストでは最多周回を走り込んだメルセデス。弱点の克服を実感「開幕戦には完全な準備ができたマシンを持ち込む」
AUTOSPORT web

みんなのコメント

20件
  • カタカナ外来語が多くなるのは、題材の性質上、仕方ないが、ピックアップとかインプルーブまで外来語にする必要はなく、日本語にした方が読みやすいと思います。
  • 外人が田舎を見て驚くのは田んぼ道がアスファルト舗装されていることだそうだ。
    今では砂利道を探すのも難しいほど日本の舗装率は驚異的な高さである。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

413 . 0万円 838 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

350 . 0万円 350 . 0万円

中古車を検索
ランチア テーマの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

413 . 0万円 838 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

350 . 0万円 350 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村