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山本尚貴が事故後初めてのテストに臨む。「戦える身体に戻せるという自信をもつことができた」

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山本尚貴が事故後初めてのテストに臨む。「戦える身体に戻せるという自信をもつことができた」

 1月23日から、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで開催されているスーパーGTのウインターテスト。8台のGT500車両が参加しているが、今回STANLEY TEAM KUNIMITSUの100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTに山本尚貴が乗り込み、2023年9月17日の第6戦スポーツランドSUGOでのアクシデント後、初めてのGT500ドライブを果たした。

 山本は2023年スーパーGT第6戦の決勝レース中に激しくクラッシュ。病院に搬送された後、再度精密検査を受け、外傷性環軸椎亜脱臼および中心性脊髄損傷という大きな怪我を負い、2023年11月まで入院生活を送っていた。その後、スーパーフォーミュラの合同テスト/ルーキーテストやホンダレーシングサンクスデー、さらに年が明けた1月の東京オートサロンとイベントに姿をみせていたものの、ドライブはまだできていなかった。そんななか、山本は1月23日から始まったセパンでのウインターテストで、約4ヶ月ぶりにGT500マシンのコクピットに戻った。

スーパーGTセパンウインターテストは2日目。各陣営が順調にメニューをこなす

 走行初日、9時からスタートしたセッション1では、続々とピットアウトしていく8台のGT500車両のうち、STANLEY CIVIC TYPE R-GTのコクピットには4ヶ月ぶりに見るイエローとグリーンのヘルメットがあった。いきなり走り出しからのドライブに喜びと驚きを覚えつつ、セッション1終了後、山本にさっそく取材を行った。

 身体について聞くと、山本は「大丈夫です。今のところですが」と言葉を選びながら話した。その「今のところ」の意味は、「午前はちょっと乗っただけですし、一日経ったらコメントも変わるかもしれません。二日経ったらまた変わるかもしれないので」ということだ。ドライブ直後では分からなくても、時間や走行距離が伸びれば、身体に変調が起きるかもしれなかった。

「午前中乗らせていただいた中では、思っていたよりもちゃんと走れたと思いますし、それほど違和感はないので大丈夫かと思います。ただ距離を走ったらどうなるか分かりませんし、ひと晩寝たらどうなるか分かりませんから」

 とはいえ、4ヶ月ぶりのレーシングカーのコクピット。走り出しは思うところはあったのではないか……? と聞くと、「仕事をしに来ていますし、切り替えてすんなり入れました。感傷に浸るわけでもなく、ヘルメットを被ったら今までどおり“スイッチ”はちゃんと入れられたので、そこは良かったです」と山本は答えた。

 しかし、直後「とはいえ、いつもどおり何も考えずに……ではなかったです。いろいろ思うところはありました」と続けた。

「やっぱりこの場所が大好きですし、幸せだな、と思いながら走ることができました」

「走ることは楽しみにしていた一方で不安もありましたけど、思っていた以上に乗れていました。ここからプロとしてちゃんと良いクルマに仕上げて、レースで勝てる体制を築ければと思っています」

■「今回テストに来て良かった」開幕に向け掴んだ課題と手ごたえ
 山本からは、改めて走行2日目の1月24日のセッション4終了後に取材して欲しい……という相談をうけた。24日夕刻、サーキットに降り出したスコールが止んだ後、山本を訪ね改めて身体について聞いた。

「身体に問題はないです」と山本は語ったが、「ただその問題がないというのは、自分が想定していた範囲内で問題がない……というだけで、やはり筋力としてはかなり落ちてしまっていました。今までのようにしっかり耐えられていたわけではありません」と続けた。

「それは、本来もう少し安静にすべきところを、医師の指示に従ったうえで、早めに乗りたいと自分がリクエストしていたんです。『これであれば大丈夫』と言ってもらっていたのですが、復帰としては少し早いタイミングでした」

 しかし、そうして臨んだ今回の早期復帰は、山本にとって大きなプラスになるものだったという。「やはり筋力が落ちてしまっていたので、トレーニングも強めなければならないな、と思いました。でも、やはりレーシングカーに乗らないとつかない筋肉もありますし、そういう意味でも早く乗りたかったんです。乗って刺激も入れられていますし、これから毎週のようにテストがあるので、身体は開幕までにはしっかり間に合うのではないかと思っています」と2日間の走行を終え、山本自身として掴んだ手ごたえを語った。

「今回テストに来て良かったな、と思っています。日常生活だけでは良いか悪いかの判別がしきれませんし、トレーニングでも100%に戻し切れていないなか、実際に乗ってぜんぜんダメなのか、そうではないのか、辛いと分かっていた中でしたが、その中では比較的乗れた方だと思っています。順調に回復できていると思いますし、これからトレーニングと走行距離を重ねていけば、十分開幕に間に合うことが確認できて良かったです」

 セパンでは、仲間のホンダドライバーたちと和気あいあいとした笑顔をみせつつテストを過ごしていた山本。23日には、サーキットを訪れていたGTアソシエイションの坂東正明代表を見かけると、わざわざ足を運び感謝を伝えるシーンもみられた。オートスポーツwebで既報のインタビューにも多くの反響があったが、最後に改めて山本に、ひさびさのドライブを終えた上でファンへのメッセージをお願いした。

「4ヶ月ぶりに実車に乗って、身体の確認と、速く走ることができるのかの確認を含めてテストに臨みました。しっかりと戦うことができる身体に戻せるという自信をもつことができたので、しっかり治した姿を公式テストや開幕戦で皆さんに観ていただけると思います」と山本は語った。

「今年、ホンダはクルマが変わった初年度なので、シビック・タイプR-GTが優勝して、チャンピオンを獲れる姿を皆さんに観てもらえるよう、開幕から頑張りたいと思います。ぜひ応援よろしくお願いします! とお伝えしたいですね」

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