現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【ブルータス、お前もか!】 型式申請における不正調査 トヨタで6つの事案が発見された

ここから本文です

【ブルータス、お前もか!】 型式申請における不正調査 トヨタで6つの事案が発見された

掲載 13
【ブルータス、お前もか!】 型式申請における不正調査 トヨタで6つの事案が発見された

国土交通省からの一斉の調査指示

国土交通省は、昨年のダイハツ工業の不正事案を踏まえ、自動車メーカー各社に型式指定申請において不正の有無を改めて精査するように、1月に指示を出した。

【画像】トヨタの型式認証不正 発表時の詳細をみる 全5枚

その結果、トヨタをはじめマツダ、ヤマハ発動機、本田技研工業、スズキにおいて不正行為が判明したと、国土交通省は2024年6月3日に発表した。

その発表を受け、トヨタは国土交通省の発表と同日に「型式指定申請における調査結果について」という記者会見を実施した。

記者会見の冒頭で、トヨタの豊田章男会長は「日野、ダイハツ、豊田自動織機に続き、グループ内で問題が発生しておりますことに対して、トヨタグループの責任者として、お客様、クルマファン、すべてのステークスホルダーの皆様に、心よりお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした」と頭を下げた。

今回の不正が判明したのは、2014年以降、すでに生産を終了しているものも含め、7車種において国が定めた基準と異なる方法で試験を実施していたという。その中で、現在も生産している「カローラ・フィールダー」/「アクシオ」/「ヤリス・クロス」は、この日より出荷・販売を停止するという。

ただし、トヨタからは「対象となる車両は、すでに生産を終了しているものも含め、車内での徹底的な検証において法規に定められている性能に問題ないことを確認しております。従いまして、対象車両にお乗りのお客様はただちに使用をお控えいただく必要はありません」と説明している。

7車種、6事案における不正の内容とは

では、トヨタにおける7車種の型式指定申請の不正の内容は、どのようなものか? それが以下の6つになる。

1 「エアバッグをタイマー着火した開発試験データを認証申請に使用」
2 「規定と異なる衝撃角度」
3 「選定と左右逆の打点、左右片側試験を両側に代用」
4 「規定と異なる台車重量」
5 「規定と異なるブロックで試験」
6 「出力点の制御調整」

この6種類のうち、1と2、4の試験では、よりシビアな状況での開発試験におけるデータを使用した。3の試験は左右逆でも差が出ないことを確認していたという。

5は、古い試験方法を使用してしまった。そして最後の6は、狙った出力が出なかったため、コンピューターに細工をしてしまったという。他の5つに比べ、この最後の6だけは、恣意的な内容であり、トヨタとしても他と性質が異なると説明している。

内容的に、「性能が足りないのを誤魔化す」という不正ではなく、型式指定申請における手続き上のルール違反という内容と見ることができるだろう。そのため、早々にトヨタは「対象車両に乗っている人が使用を控える必要はない」と明言できたのだろう。

不正発覚に対してトヨタは、今後どうするのか?

今回の不正発覚に対して、トヨタ会長である豊田氏は、会見後半に行われた質疑応答で「正直、残念な気持ちと、ブルータスお前もか! という感じじゃないでしょうかね」と心中を説明した。

また、「再三、申し上げているように、トヨタは完璧な会社じゃないんですね。今回の、国交省のリーダーシップのもと調査に全面協力させていただく中で、トヨタからも問題が出てきたことは、ある面、私自身は、ありがたいことだと思っております。

間違いをしたときには一度立ち止まり、現地現物で何が起きたのか確認することで、“我々には、まだカイゼンの余地がある”という気付きを得ることができたと思っております」という。

今回の問題に対して、トヨタは「TPS自主研究会」を立ち上げ、認証業務の見直しを実施したという。そこでわかったのが、認証業務とは非常にリードタイムが長く、そして内容があいまいで属人的であることであった。

そこで、今後に向けて業務の標準化やプロセスの明確化を、本年中を目標に進めてゆくことにしたというのだ。

「ぜひともこれをグループ全体の共通の物差し、共通のカイゼン思想の風土づくりに結び付けるいいチャンスが到来したと思っておりますので。ぜひとも、もうちょっとお時間をちょうだいしたいと思っております」と豊田会長は述べる。

今回の騒動をきっかけに、業務を見直し、二度と不正の発生しない体制を作り上げてくれることを祈るばかりだ。

こんな記事も読まれています

自動車メーカーの「認証不正」でも話題となった「JNCAP」って何? 実は「国の基準」と違う? 認証とJNCAPでズレも… 今後の課題とは
自動車メーカーの「認証不正」でも話題となった「JNCAP」って何? 実は「国の基準」と違う? 認証とJNCAPでズレも… 今後の課題とは
くるまのニュース
新車販売に不正問題はさほど影響なし! ダイハツも復活してこの先6月から9月までは「新車がお買い得」な時期が続く!!
新車販売に不正問題はさほど影響なし! ダイハツも復活してこの先6月から9月までは「新車がお買い得」な時期が続く!!
WEB CARTOP
三菱自の株主総会でファン熱望「ランエボ作って」 国内商品拡充を願う声
三菱自の株主総会でファン熱望「ランエボ作って」 国内商品拡充を願う声
AUTOCAR JAPAN
フィアット600 詳細データテスト 500より増した実用性と快適性 フィアットらしい元気さは不在
フィアット600 詳細データテスト 500より増した実用性と快適性 フィアットらしい元気さは不在
AUTOCAR JAPAN
【G7サミットの裏で】露国防省の公式動画に自衛隊「高機動車」  中古車店も堂々と販売する異常事態
【G7サミットの裏で】露国防省の公式動画に自衛隊「高機動車」  中古車店も堂々と販売する異常事態
AUTOCAR JAPAN
ダイハツ、グランマックス/タウンエース/ボンゴトラックで新たな不具合発覚 その他すべての車種は基準適合確認
ダイハツ、グランマックス/タウンエース/ボンゴトラックで新たな不具合発覚 その他すべての車種は基準適合確認
日刊自動車新聞
スペーシアが5月の新車販売でトップに! N-BOXの首位陥落の理由は「ダイハツの不正問題」と「WR-Vの好調」にあり
スペーシアが5月の新車販売でトップに! N-BOXの首位陥落の理由は「ダイハツの不正問題」と「WR-Vの好調」にあり
WEB CARTOP
罰金“計180万円”!? 「“ニセ”ナンバー」で暴走行為! 課せられる「罪」の重さは想像以上! 偽装ナンバーの見分け方とは
罰金“計180万円”!? 「“ニセ”ナンバー」で暴走行為! 課せられる「罪」の重さは想像以上! 偽装ナンバーの見分け方とは
くるまのニュース
オービスを光らせてバックレ! 乗り逃げ転売! 個人間カーシェアで本当にある「とんでも話」5つ
オービスを光らせてバックレ! 乗り逃げ転売! 個人間カーシェアで本当にある「とんでも話」5つ
WEB CARTOP
営業マンよ、なぜ避ける?アヴェンシスが持つ”クセ”について迫ってみた!
営業マンよ、なぜ避ける?アヴェンシスが持つ”クセ”について迫ってみた!
ベストカーWeb
19インチも選べるスポーツモデル VW「ゴルフGTI」 270馬力のハイブリッドも登場
19インチも選べるスポーツモデル VW「ゴルフGTI」 270馬力のハイブリッドも登場
AUTOCAR JAPAN
【いよいよ明日発売】乗ってどうだ? BYDシール 中国試乗で見えた走りのパフォーマンス
【いよいよ明日発売】乗ってどうだ? BYDシール 中国試乗で見えた走りのパフォーマンス
AUTOCAR JAPAN
【今さら聞けない】フィアットの屋台骨「パンダ」 45年の歴史をおさらい、4代目はどんな「ファミリー」に?
【今さら聞けない】フィアットの屋台骨「パンダ」 45年の歴史をおさらい、4代目はどんな「ファミリー」に?
AUTOCAR JAPAN
【全長以外は同じ?】 90とはどう違う ディフェンダー110 V8カルパチアンエディション
【全長以外は同じ?】 90とはどう違う ディフェンダー110 V8カルパチアンエディション
AUTOCAR JAPAN
ルノーが中国企業と組む理由 次期「トゥインゴ」でVWと決裂、コスト削減を急ぐ
ルノーが中国企業と組む理由 次期「トゥインゴ」でVWと決裂、コスト削減を急ぐ
AUTOCAR JAPAN
値落ちしにくい911 定番の3シリーズ 今なら半額!な有能「中古」モデル(4) スポーツカー/最高評価モデル編
値落ちしにくい911 定番の3シリーズ 今なら半額!な有能「中古」モデル(4) スポーツカー/最高評価モデル編
AUTOCAR JAPAN
【今日発売】BYDシールに国内最速試乗 AWDで537ps・航続およそ600kmにして実質537万円の戦略価格
【今日発売】BYDシールに国内最速試乗 AWDで537ps・航続およそ600kmにして実質537万円の戦略価格
AUTOCAR JAPAN
【欧州で先行試乗】たゆまぬ進化がもたらす未来への予感 マクラーレン アルトゥーラ・スパイダー
【欧州で先行試乗】たゆまぬ進化がもたらす未来への予感 マクラーレン アルトゥーラ・スパイダー
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

13件
  • tma********
    豊田章男の他人事発言には笑ったな。
    社長時代に明確に「不正をやれ!」とは言ってなくても、
    不正をしてまでも開発をやらざるを得ないプレッシャーを自ら与えていたんだろうに。
  • tak********
    【ブルータス、お前もか!】って、保有ユーザーや販売店の方々が言うならわかりますが、当最高責任者が言う事では無いのでは?他人事すぎるでしょ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村