IT畑出身のCEO ソフトウェアを重要視
ボルボのCEOであるジム・ローワン氏は、社内で開発中の次世代ソフトウェアが、自動車と安全性のイノベーションを推進する「3点式デジタル・シートベルト」になると語っている。
【画像】安全性とサステナビリティを追求するボルボ【最新の電動モデルを写真でじっくり見る】 全54枚
昨年3月、ホーカン・サミュエルソン前CEOの後任として選ばれたローワン氏は、それまでIT業界に身を置き、最近ではダイソンに務めていた人物だ。
彼はAUTOCARの取材に応じ、ボルボの新しいフラッグシップであり、初のEV専用モデルであるEX90に、自動車業界の技術的責任をリードしていってほしいと述べた。
ボルボは2025年までに年間120万台(うち、EVは60万台)を販売するという目標を掲げている。その鍵となるであろう9万6255ポンド(約1550万円)のEX90は、「ソフトウェア主導型」のクルマと表現される。
量産車に初めて標準装備されたLiDARシステムなど、さまざまな先進技術により、EX90は最終的に「監視されない運転」が可能になると謳われている。
ローワンCEOによると、EX90は、ボルボがパートナー企業と協力しながらも、重要な技術の開発を社内で行う方法を示しています。
「自動車メーカーは、次世代半導体とその設計における重要性を理解し始めています」
EX90の「アプリケーション層」、つまりLiDAR、レーダー、カメラ、その他のセンサー類は、1秒間に254兆回の演算(TOPS)が可能なNvidia Odinチップで制御される。10年前の自動車用チップの処理能力が1TOPS程度であったことと比較すると、大きな差がある。
「半導体とアプリケーション層をつなぐソフトウェアスタックこそ、ボルボが本当に大切にしている部分です。当社にとっては、3点式のデジタル・シートベルトのようなものです」
「ボルボでは、700人以上のチームが知覚とセンサーフュージョンのソフトウェアを書いています。他の企業では外注しているケースもありますが、当社は絶対的にコアな部分だと考えているので、社内にとどめています」
Z世代に向けた新しいアプローチ
ローワンCEOは、ボルボが「40種類のモデルを持つ、忙しない企業になることはない」とし、「理にかなった顧客層に目を向ける」と語った。
「さまざまな車両と用途を必要とする顧客がいます。わたし達は、できるだけ多く取り込もうと考えているのです」
その鍵を握るのが、次世代EVプラットフォームである。EX90は新しい「SPA2」プラットフォームを採用しているが、来年発表予定のコンパクト・クロスオーバー(EX30と命名される見込み)は、小型車用の「SEA」プラットフォームを使用する可能性が高い。
新型のコンパクト・クロスオーバーは、今まであまり力を入れてこなかった、若いZ世代の顧客に向けたモデルとなる。この若い顧客層を背景に、ボルボはサブスクリプション販売に乗り出している。
ローワンCEOはこう説明する。
「もし、価格競争力のある小型SUVを、リーズナブルな価格で3か月間のサブスクリプション・ベースの所有権を提供したら、彼ら(若い顧客層)はディーラーにすら行かず、オンラインで購入することでしょう。保証しますよ」
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