■クラシックカーの価格変動を示す「HAGI」とは
収集価値のあるクラッシックカーの価格変動を示す指数として、「HAGI」指数と呼ばれるものがあることをご存知だろうか。
本物のランボルギーニが700万円台で落札! 注目「ミウラ」は8700万円
HAGIとは「ヒストリック・オートモービル・グループ・インターナショナル」の意である。
ランボルギーニのクラシックカーの場合は、「HAGI LPS」と表記するが、LPSとは、ランボルギーニのヒストリック部門でもある、「ランボルギーニ・ポロ・ストリコ」を示している。
LPSが最新のHAGI指数として加わったのは2017年のこと。この指数に反映されるのは収集価値のあるクラッシックカーに限られるが、ランボルギーニの場合には「ディアブロ」を含め、ほとんどのモデルが指数に反映されている。
このような指数は、市場の金融動向などによって常に変動することが一般的だが、全般的な動きでみると、ランボルギーニのモデルは上昇基調を示しているのが特徴である。
ランボルギーニ・ポロ・ストリコでは、社内的に2019年の同時期に比べ、1.5から5.6%の下落と予想していたが、HAGI LPSによれば、逆に0.37%の上昇を見せた。フェラーリなどのライバルが、2020年の年初と比べ4%以上の下落という結果になったのとは対照的な結果である。
LPSによれば、クラッシック市場でもっとも値上がりが激しいのは「ミウラ」、続いて「カウンタック」ということになるようだが、ミウラの高騰ぶりはとくに2000年代に入ってからは驚くべきものがある。しかもそのミウラに何らかの付加価値が加わった個体であれば、さらに価格は高騰している。
そこで、RMサザビーズが開催した2010年10月「オートモービル・オブ・ロンドン」、そして2015年の「アリゾナ・オークション」に出品された、同一モデルの落札価格を比較しながら、その現実を探ってみたいと思う。
2010年の落札から5年という時間を経て、再びRMオークションの舞台に戻ってきたミウラは、シャシナンバー:4892、エンジンナンバー:30640の1971年式「ミウラSVJ」である。
事故により現存しないワンオフモデル、「J=イオタ」のレプリカとしてファクトリーで生産されたものの1台だ。
出荷時の記録によれば、ボディカラーはホワイト、インテリアカラーはブルーとされているが、現在ではそれぞれガンディメタリック、タンレザーへと姿を変えている。
■たった5年で、9000万円が2億円オーバーになった「ミウラSVJ」とは
そもそもJの始まりは、V型12気筒エンジンをミッドシップするという基本設計のミウラをレースの世界に投入すれば、きっと大きな成功を収めるはずだという、当時まだ20代のジャン・パオロ・ダラーラ、パオロ・スタンツァーニ、そしてボブ・ウォーレスの夢が原動力だった。
だが社長のフェルッチオ・ランボルギーニはそれを許すことはなく、Jはあくまでもウォレスの個人的な趣味の1台として工場の片隅で組み立てられていったのだった。
●長らく日本にあった有名な「ミウラSVJ」
だがJの存在は、ランボルギーニ本社を訪れるカスタマーの目に徐々に触れていくようになる。
Jと同じテイストのレプリカを作ってほしいというリクエストは絶えず、結局ランボギーニはミウラSVJ、あるいは1台のみの「ミウラSVR」を生産することを決断したのだ。
ここで紹介するのはそのSVJの1台である。この個体が製作されたとき、ランボルギーニのセールス部門トップは、後にチゼタを設立するクラウディオ・ザンポッリであった。最終的にこのシャシナンバー:4892の個体には、ザンポッリ、そしてボブ・ウォーレスからの価値ある書簡が添えられることになった。
この1971年式ミウラSVJは、かつては日本に長く存在していたことから、それを知るファンもきっと多いはずだ。2007年にはランボルギーニに戻り、ここで徹底的なレストア作業を受けることになる。
2010年、ロンドンで開催されたオートモービル・ロンドン・オークションでの落札価格は、72万8000ポンド(当時のレートで約9400万円)。さらに5年後の2015年アリゾナ・オークションでは189万7500ドル(同2億2580万2500円)で落札されている。
そしてVAGUEで既報したとおり、今夏開催された「パッション・オブ・ア・ライフタイム」では、正真正銘の「イオタ」エンジンを搭載した「ミウラSV」が、エスティメートを遥かに超える4億6000万円で落札されたばかりである。
ランボルギーニ、とくにミウラの高騰ぶりは、どうやら現実のもののようである。はたしてこの右肩上がりのオークション相場はこれからも続くのか。カスタマーとしてもファンとしても、興味の尽きないところである。
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