10月1日、2023年MotoGP第14戦日本GP MotoGPクラスの決勝が栃木県のモビリティリゾートもてぎで行われ、中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は11位でフィニッシュし、ポイントを獲得した。
初日から土曜日のスプリントレースまでのセッションを通して、中上は「マシンバランス」と「リヤのグリップ不足」に頭を抱えていた。日本GP以前でも、ホンダ勢の課題となっていたが、今大会でも引き続き悩まされ、原因解明ができていない状況が続いていた。それでも、多くのファンが現地に足を運ぶなかで、中上はなんとかそれに応えようと精を出していた。
雨により赤旗終了の決勝レース、M.マルケスが今季初の表彰台を獲得。優勝はマルティン/MotoGP第14戦日本GP
決勝日を迎えたもてぎは、早朝に雨が降った影響で、ウォームアップ走行の時間には、ややウエットパッチが残るコンディションとなった。走り始めは全ライダーがウエットタイヤを使用していたが、セッションが進むにつれて路面が渇き、ほとんどのライダーがスリックタイヤに履き替えていた。
しかし、中上は決勝を見据えてか終始ウエットタイヤで走行し、最後にはバイクの乗り換え練習なども行っていた。ウォームアップは18番手となったが、土曜日のセッションにおけるマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)のデータを確認しながら、決勝に向けてセッティングを煮詰めていたという。
そして、迎えた決勝は開始直前に雨が降り始め、オープニングラップでは早々にホワイトフラッグが提示される展開となった。全ライダーがスリックタイヤでスタートしたが、1周を終えてほとんどのライダーがレインタイヤを装着したマシンに乗り換えを行う。
中上も同タイミングで乗り換えると、13番手でコースに戻った。7周終了時点で、全ライダーがレインタイヤに履き替えて順位が落ち着いた頃、中上は14番手につけ、前を走るファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)を追う。
ところが、雨足は強くなる一方で、ライダーたちは激しく水飛沫を上げながら周回を重ねていく。中上も後に「コースコンディションも毎回セクターによって変化がありました」と語っていた。
「どこまでリスクを負うか……。リスクを負いたいけど、負いすぎてしまうと転倒に繋がる可能性がありました」
中上の言葉からも、いかに難しいコンディションだったのが伝わってくる。さらに、土曜日までは曇り空となるも、雨に見舞われることはなかった。そのためレース中に「合わせ込みや電子制御のマップも変更を加えながらアジャストする必要があった」という。
そのような状況下でも、中上は自身の走りにマシンを合わせ込んでいき、慎重に走り進めていく。そんななか、ミゲール・オリベイラ(クリプトデータRNF・MotoGPチーム)にマシントラブルが発生。そして、前方を走るブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)とジョアン・ミル(レプソル・ホンダ・チーム)が転倒を喫したことで、中上は11番手にポジションを上げる形となった。
そして13周目、ここでレッドフラッグが提示されてレースは中断となった。約25分の中断の後、中断前の順位にてリスタートのアナウンスが流れるも、サイティングラップで再び赤旗が提示されてそのままレース終了。中上は11位で、2戦連続のポイント獲得となった。
「リスクを負って後方から一気に順位を上げることができたというのは、レース前に自分が決めていたことで、それはうまくいきましたし、そこは自分自身にとってもポイントの高い部分でした。ギリギリの中で、バイク操作に関してはいい走りができたと思います」
「トップ10内には届かなかったですが、少しポジティブな感情で日本GPを終えることができました。インドGPと日本GPを終えて、少し結果はよくなってきていますね。難しいコンディションの中ベストは出せたので、そこに関してはポジティブですね」
雨の影響で荒れた展開となったが、多くの日本のファンが見守るなかで、中上は転倒もなく完走を果たした。そして、苦戦が続くなかでもアジアラウンドの2戦でポイントを獲得し、少し前進も感じられたようだ。しかし、今大会のウイークを通して、中上には「宿題」があるという。
ホンダ勢は苦戦が続いているが、今大会はマルケスが速さを見せていた。予選ではQ2進出、スプリントではシングルフィニッシュ、決勝でも3位表彰台を獲得している。そんなマルケスの走りとデータを元に「バイクをどう短い距離で止めさせられるか」が中上との相違点であり、重要点だったという。
「彼の方が奥まで飛び込んで短い距離で止めることができているので、それが何なのかという所にフォーカスしました」
中上はこのマルケスとの違いを感じ、セッティングにライディングと調整を行い、決勝でも試していたという。そして次戦の第15戦インドネシアでに向けても引き続き「宿題であり、ヒントにしたい」と語った。そんなインドネシアGPに向けて、次のように意気込みを語った。
「昨年テストは良かったのですが、タイヤがガラッと変わってインドネシアはレースウイークでかなり苦戦してしまいました。今年のタイヤ次第ですが、いい時と噛み合わなかった時の両極端のデータがありますし、昨年初開催でみんながそこまで知り尽くしているサーキットではないので、いち早くコースの攻略とセットアップのスピードを上げて、自分のできるライディングテクニックの部分も改善していきたいと思っています」
「連戦が続きますし、コンディションが東南アジアだと雨になる可能性も高いので、しっかり準備を整えられるように、チームとさらにコミュニケーションを取りたいです。チームからもベストなパッケージを与えてもらって、その中でベストの走りで恩返しできるようなやりとりをどんどんしていきたいです」
アジアラウンドに入り、母国GPで多くのファンの声援を受け取った中上は、残り6戦を戦っていくことになる。次戦は第15戦インドネシアGPから3連戦となるが、「宿題」をもとに準備を進める中上が熱い走りを見せてくれることに期待したい。
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みんなのコメント
誰も抜かない。
抜かれても安全運転で現状維持。
口を開けば、言い訳ばかり。
日本の恥。