エントリーユーザーに向けて、今回の[car audio newcomer]では愛媛県のサウンドカーペンターが用意するショップ製作車両を紹介することとした。普段は代車として使われているダイハツ『ミラトコット』はエントリーユーザーにも注目の高音質システムが組まれた。
◆エントリー層も現実的なシステムを組む
ショップ製作の車両で高音質を体感する
プロショップにはオーディオのエントリーユーザーが訪れると新しい発見があるさまざまな仕組みが用意されている。そんなひとつが今回紹介するサウンドカーペンターの代車であるミラトコットだ。
[car audio newcomer]トヨタ RAV4(もちさん)by Warps 後編
ショップにはさまざまな意味でサウンドやシステムのサンプルが用意されている。例えばショップ内に設置されたスピーカーのデモボードもそのひとつだ。さらにもっと実践的で自分のクルマに取り付けた際の想像が膨らみやすいのがデモカーとなる。実際のクルマにスピーカーなどがインストールされ音を聴くことができる環境が整えられているショップのデモカー。しかしショップが力を入れて作った渾身のデモカーはハイエンドなシステムや手の込んだカスタム処理が加えられている場合も多く、エントリーユーザーには少しハードルが高いのは事実だろう。
そこで同ショップが用意しているのがエントリー層にも取っつきやすいシステムを込めたミラトコットだ。実はこのクルマ、普段は代車として用いられているクルマだ。しかしプロショップのクルマなのでしっかりオーディオに手が加えられているのは当然と言えば当然。システムとしてはヘッドユニットにはカロッツェリアのサイバーナビ(AVIC-CZ902)をチョイス、加えてフロントスピーカーにはブラムの2ウェイセパレートモデルである165RS2がインストールされている。サイバーナビとフロントスピーカーでどこまで高音質化ができるのかを確かめるには絶好のサンプルとなるクルマだ。
◆ナビ+2ウェイセパレートスピーカーを使い
最大限高音質化を引き出す取り付けを実施
高音質システムとしては必要最小限のシステム構成とも言えるカーナビ+2ウェイスピーカーの組み合わせとなったミラトコット。しかしプロショップが手がけるクルマだけに工夫が込められている点が見どころとなった。そのひとつがサイバーナビを使うことによるフロント2ウェイをマルチアンプシステムとした点だろう。
詳しくは後編で紹介するが、内蔵の4チャンネルアンプをフロント2ウェイに接続するシステム。ツイーターとミッドバスを別々の内蔵アンプでドライブすることによるメリット、さらにはツイーター/ミッドバスを個別に調節できる自由度の高いシステムとした。
さらにスピーカーの取り付けでも一歩上質な加工が施されている。ドアはアウターバッフル化されている。ショップでは「ダイハツ車のドアが薄く、高音質を求めたらアウターバッフルになった」とのコメント(もちろんインナー取り付けに適したスピーカーを選ぶなどして、最小限の取り付けで高音質を目指す方法も用意されている)。
しかしアウターバッフルはエントリーユーザーにはなかなか手を出しにくい加工なのだが、当初はインナー取り付けしていても将来的にスピーカー取り付けのグレードアップを検討する場合、アウターバッフル化することでどのような音の違いがあるのかを早い時期に試聴体感できるのもメリットだ。実際にその音を聴けば中低域の音の鮮度やクリア感などが確認できる。高音質化のひとつの選択肢を知る上でもこのクルマの取り付けはわかりやすく効果的だ。
◆エントリーユーザーの指標にもなる手軽なシステムのショップデモカーを聴く
さらに車内を見るとAピラーにツイーターがビルトイン取り付けされている。これもオーディオユーザーが好んで採用する取り付けのひとつ。Aピラーを加工してツイーターを美しく埋め込み処理するデザインはいかにもオーディオカーを感じさせるアイキャッチにもなっている。もちろんサウンド面でも高域のヌケの良さや解像度の高いサウンドを届けるという意味でも効果的な取り付けだ。
エントリーユーザーはフロントスピーカーを最初に選ぶ場合も多いだろう。加えて今回のミラトコットのようにサイバーナビとの組み合わせで可能性が広がることが理解でき、さらに最初にスピーカーをインナー取り付けした場合でも、将来的にスピーカーユニットの性能を引き出すためにアウターバッフル化を視野に入れることもあるだろう。その際の“予習”としてもこのようなショップ製作の車両を試しておくのは役立つのだ。
単なる代車では無く、エントリーユーザーが欲しくなる、さらには将来的なグレードアップまでを含めた指標となるクルマとなったサウンドカーペンターのデモカー(代車)であるミラトコット。これからオーディオを本格的にはじめようとしているエントリーユーザーにも利用価値の高いサンプル車両となるだろう。次回の後編ではフロント2ウェイをマルチ接続する意味について紹介していく。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。
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