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【過去最高の中国車】ニオES8へ試乗 2021年から欧州に展開 550psと500kmの純EV

掲載 更新 13
【過去最高の中国車】ニオES8へ試乗 2021年から欧州に展開 550psと500kmの純EV

中国、欧州、北米の4拠点で開発

執筆:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】仕上がり上々 ニオES8とES6 欧州で競合する純EVの大型SUVと比べる 全154枚

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


現在の自動車産業のグローバル化を指し示すものとして、ニオES8ほど適したクルマはないかもしれない。ニオ社は2014年に設立された、中国の新興自動車メーカー。すでにBMWより高い企業評価を受けている。

今回試乗した7シーターのSUVは、世界4か所にニオが構える、コンピテンス・センターと呼ばれる施設で開発された。上海で構想が練られ、スタイリングを担当したのはドイツのミュンヘン。車体設計を進めたのは英国オックスフォードだ。

さらにソフトウエアは、アメリカのシリコンバレーで開発されている。餅は餅屋、といった感じなのだろう。

ES8のサイズは、全長5022mm、全幅1962mm、全高1756mmとかなり大柄。アウディeトロンと比べてもひと回り大きい。

ニオは2021年の9月に、ノルウェーから欧州市場への導入をスタートさせた。他にも上級EVをニオは複数用意しており、ES8はフラッグシップとして、その先鋒を担うことになる。

ES8は、純EV専用に開発されたプラットフォームをベースとする。駆動用バッテリーは100kWhと大容量。車重は2425kgと軽くないが、ボディの96%はアルミニウムで構成され、軽量化も意識している。

駆動用モーターはニオの子会社、XPT社が製造。前後に1基づつ、合計2基が搭載される四輪駆動となる。システム総合での最高出力は550ps、最大トルクは73.6kg-mと不足ない。ちなみにeトロンには、55クワトロで407psと67.4kg-mが与えられている。

航続距離は500kmがうたわれ、こちらもeトロンを凌駕する。急速充電能力は最大で90kWと、ドイツ勢の350kWと比べると遅い。

バッテリー丸ごとの交換も可能

ニオの取り組みとして興味深いのが、ノルウェーの5都市に展開予定のネットワーク・ステーションで、充電が終わったバッテリーに丸ごと交換するというもの。必要な時間は、たった3分だという。充電を待つ必要がない。

ES8には、常に最新のバッテリーが搭載できることも意味する。配達で遅延が発生しなければ。

大きなバッテリーはフロア下に搭載され、重心位置は低い。シャシー性能は納得できるもので、軽くない車重も良くコントロールできている。ボディの動きは漸進的に保たれ、グリップやトラクションが不足する様子もない。

ステアリングホイールに伝わる感触はほぼないが、サイズを考えればスマートにボディが向きを変える。速めのコーナリングでも、不安を感じることもない。

直進性にも優れている様子。大きなボディで正面面積は小さくないが、安定性も良好。郊外の道の運転を楽しむのではなく、高速道路をクルージングするクルマとして、印象に優れている。

乗り心地には鋭い揺れが伴うものの、不快に感じるほどではない。衝撃の吸収性や滑らかさという点では至らないが、適度なハリがあり、なだらかではない路面でも巧みに上下動を抑え込んでいるようだった。

ES8にはエアサスペンションが組まれ、セルフレベリング機能も備わる。加減速時のノーズの上下動などにも、しっかり対応していた。

走行フィーリングはドイツ車的だが、これは偶然ではない。ニオはコンチネンタル社製のサスペンションを選んでいる。アウディeトロンのように。

中国車として過去最高の完成度

ES8の車内空間にはゆとりがあり、シートは3列。定員は6名か7名を指定できる。2列目は特に、頭上空間も足もとまわりも感心するほど広く、3列目に人が乗った状態で310Lの荷室空間が残る。

プレミアム・ブランドへの仲間入りを目指すニオだけに、インテリアも手は抜かれていない。サポート性に優れるシートはナッパレザー張り。ドアパネルなど、レザーは各所へ贅沢に用いられている。

ダッシュボードの位置は高め。メーターパネルには9.8インチのモニター、インフォテインメント用は11.3インチのタッチモニターが用意された。とても鮮明な表示で、対話形式の音声認識機能も驚くほど理解が良いようだ。

ダッシュボードの中央には、丸い小さなモニターがある。ノミと呼ばれる、バーチャル・アシスタント用だ。

地球各所の4拠点を結んで開発されたニオES8。その仕上がりを知るほどに、グローバル化のメリットを実感させられる。

中国車として、ES8が過去最高の完成度を備えていることは間違いないだろう。しかも、ドイツのプレミアム勢に匹敵する製品品質も持ち合わせている。

だが悲しいことに、英国での販売は想定されていない。右ハンドル仕様への変更が複雑だ、ということが理由のようだ。

ニオES8(中国仕様)のスペック

欧州価格:6万ポンド(912万円/予想)
全長:5022mm
全幅:1962mm
全高:1756mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:4.9秒
航続距離:500km(予想)
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:2425kg
パワートレイン:AC非同期モーター(フロント)/AC同期モーター(リア)
バッテリー:100kWhリチウムイオン
最高出力:550ps(システム総合)
最大トルク:73.6kg-m(システム総合)
ギアボックス:−

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みんなのコメント

13件
  • いやこれマジで乗ってみたい。中国車も日本で気軽に買えれば良いのに、と思う。

    しかも内外装ともに、他国のライバル車(ex.ベンツ、BMW、レクサス等)に全く似ていない!!これぞウリジナル、ですよね😏
  • うひゃー 100kWhのBAT.で2.5tの車重ですか・・。BAT.だけで1.2tくらいありそうなので車重の半分はBAT.ですね。で、そのBAT.を交換するということなのでどうな構造になっているのか興味深いです。この車格でバッテリーを除いて1.3t程度の重量なので強度も心配。まぁ買うわけじゃないかいいですけど・・
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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