F1にタイヤを供給するピレリは、現状うまく機能していないフルウエットタイヤを廃して、あらゆるウエットコンディションに対応した”スーパーインターミディエイトタイヤ”の導入を検討しているようだ。
ウエットコンディションで行なわれたベルギーGPのスプリントレースでは、セーフティカー(SC)先導で5周を走行した後、レースが開始されたものの、全車が1周目ないしは2周目にピットインして義務付けられていたウエットタイヤを捨て、インターミディエイトタイヤに履き替えた。
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つまり、実質的にウエットタイヤはSC走行中に路面から排水するためだけに使用され、レースでは使われなかったことになる。
メルセデスのドライバーであり、GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の理事でもあるジョージ・ラッセルは、フルウエットタイヤが必要とされるほどの大雨が降った場合、視界の問題でマシンがレーシングスピードで走れないため、フルウエットタイヤは無意味だと語った。
この議論を受けてピレリは、フルウエットタイヤを廃止しすべてのウエットコンディションに対応する”スーパーインターミディエイト”タイヤを1本用意することで、ドライバーが同じタイヤでセーフティカー走行からレース走行までできるようにするという以前から温めていたアイデアを発表した。
ピレリは今季、タイヤウォーマーなしで使用できるタイヤの開発を進めてきた。スリックタイヤについては導入が却下されたものの、フルウエットタイヤはすでに今季のモナコGPからウォーマーレス化されており、インターミディエイトタイヤも2024年からウォーマーレス化される予定となっている。
その過程で雨用のタイヤ開発が進んでおり、ピレリのF1責任者であるマリオ・イゾラは次のように検討されている内容を語った
「まず2つの問題に分けなければならないと思う」
「ひとつはウエット路面でのパフォーマンス、もうひとつは視界だ。パフォーマンスに関しては、(ウォーマーなしのタイヤを)開発しているときに、以前のウエットタイヤよりもかなり良い結果を見出すことができた」
「まだ十分ではないかもしれないが、一歩前進した。フィオラノとポール・リカールのテストでは、寒いコンディションで旧ウエットタイヤよりも5、6秒速かった」
「その時の主な課題は、タイヤウォーマーなしでウォームアップに苦労するかどうかを理解することだった。重要なのはインターミディエイトとの適切なクロスオーバーを生み出すには、このパフォーマンスではまだ不十分だということだ」
「過去のデータによると、インターミディエイトとウェットのクロスオーバーは(ドライタイヤでのタイムを基準に)115~6%で、これはインターミディエイトとウェットのクロスオーバーを考える上で適切な数値だった」
「収集したデータをもとに、インターミディエイトとの適切なクロスオーバーを実現するためには、ウエットタイヤのパフォーマンス改善に取り組まなければならないということだ。それが最初のポイントだ」
「ふたつ目のポイントは、それがSC走行用のタイヤなのかどうかということだ。視認性については何度も議論してきた。視界は問題だ」
「FIAはチームとともに、タイヤだけでなくディフューザーからも飛散する水しぶきを減らすために、視界を改善する装置を開発している。今のところは劇的に改善できるようなものは見つかっていない」
視界の問題がすぐに解決されるわけではないことを考えれば、雨用タイヤを1スペックにするというアイデアは理にかなっていると言えるだろう。
「今後に向けたアイデアとして、現在のような状況が変わらないのであれば……つまりコース上に大量の水があった場合、視界の問題で走れないためSCや赤旗が出るのならば、私の意見だがインターミディエイトを開発するのが最善の解決策だと考えている」
「スーパーインターミディエイト、インターミディエイトプラスなど、呼び名は何でもいい。よりウエットコンディション寄りのインターミディエイトだ」
「視界を確保できる限界からドライコンディションとのクロスオーバーまで、ひとつの製品でカバーすることができるようにするのだ」
「水しぶきを減らすことができるデバイスを探し続けることで、フルウエットコンディションでの走行を可能にするのであれば、タイヤウォーマーなしで走れる新しいインターミディエイトとフルウエットタイヤを維持し、それを改善する必要がある」
「しかし、もしフルウエットタイヤがSCの後ろでしか使われないのであれば、現時点では使い物にならないタイヤだというのはドライバーたちと同意見だ。F1に必要な製品を開発するために、将来的にどのような方向に進むかを決めなければならない」
イゾラは、”スーパーインターミディエイト”のアイデアは過去に議論されたものであることを認めた上で、FIA、F1、チーム、ドライバーに対し、将来に向けて何を望むかを決めるよう求めた。
「テストの可能性は非常に限られているため、あらゆる方向をカバーすることはできない。だから、方向性を決める必要がある」
「より広いコンディションで機能する別のトレッドパターンを開発したいのか? それなら、我々はそれに集中し、それを実行する。しかし、その場合、現在のウエットタイヤのトレッドパターンを改良することにはならない」
最終的にウエットタイヤの1スペック化が承認されれば、ピレリは多くの開発作業を行なうことになる。2024年の開幕に間に合わせることはできないだろうが、すべての関係者が合意し、ルールが変更されれば、シーズン中に導入することも可能だ。とはいえ、シーズン中の変更には抵抗があるはずだ。
2024年に間に合わなければ、この計画は2025年にずれ込むことになる。2025年以降のタイヤ供給に関しては、ピレリが継続するのか、それとも入札に参加したブリヂストンに変更されるのかはまだ決定されていないのも障害のひとつになるだろう。
しかし、ピレリは以前このアイデアを検討した際にトレッドパターンを作成しており、少なくとも開発のスタート地点には立っている。ただ新しい金型を作るのに2ヵ月はかかるという。
イゾラは、ウェットコンディション用のタイヤが1種類で済むのであれば、サステナビリティの面でもメリットがあると付け加えた。
「私としては、もしそれがうまく機能するのであれば、良いアイデアだと思う」
「現時点では、4セットのインターと3セットのウエットの計7セットを供給している。(アイデアがだ採用されれば)同じトレッドパターンのタイヤが7セット供給され、それを週末中いつでも使うことができる。そしてそれは、サステナビリティの面でもいいトピックになるだろう」
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