レッドブルは、F1イタリアGPのスプリント予選レースで、ルイス・ハミルトン(メルセデス)のパワーユニット(PU)には出力低下の症状が出ていたのではないかと考えている。
ハミルトンは金曜日のノックアウト方式の予選で2番手を確保。スプリント予選レースでは、チームメイトのバルテリ・ボッタスの横、フロントロウからスタートしたが失敗し、一気に5番手まで後退した。
■”わずか2mm”のミスで劣勢のハミルトン「序盤でマクラーレン2台を抜かない限り、優勝の可能性は低い」
ボッタスが首位を快走しマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)を抑え込んだが、ハミルトンはダニエル・リカルドとランド・ノリスのマクラーレン勢に阻まれ続けた。
ハミルトンは4番手ノリスの後方までピタリとマシンをつけたものの、メインストレートで突き放され、第1シケインの飛び込み等でパスすることは叶わなかった。
ハミルトンがマクラーレン勢をオーバーテイクできなかったことに驚きの声が上がり、タイトル争いのライバルであるレッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は、ハミルトンのマシンにはストレートエンドでPUの出力低下が発生していたと考えている。
通常ストレート区間ではエンジン(ICE)やMGU-Hに加え、最大出力160hpのMGU-Kのブーストを活用し最高速を稼ぐ。しかし、ハミルトンのマシンに搭載されているPUは、ストレート終盤でそのバッテリー残量が他車より早くに底をつき、代わってデプロイメント(回生)で発電を始めていたと考えられる。ここにハミルトンは問題を抱えているのではないかとホーナーは疑っている。
「彼らが低燃費走行するときは、デプロイメントをかなり行なっている」とホーナーはSky Sports F1に語った。
「我々はこれを“クリッピング”と呼んでいて、ストレートエンドで(アクセルオフ状態では)テールライトが点滅し、ストレートでのスピードが落ちていったのを見ただろう」
「通常なら、ノリスの0.5秒以内に入っていたルイスはオーバーテイクができただろう。しかし、今回はストレートエンドで勢いを失っていた」
スプリント予選レースを制したボッタスは4基目のPUエレメント投入により最後尾スタートが決定し、決勝レースのポールポジションは2番手のフェルスタッペンの手に。仮にホーナーの指摘が正しければ、5番手から追い上げるハミルトンにとっては厳しい展開になる。
指摘通りであれば、レッドブル・ホンダ勢にとっては追い風になるとホーナーは語った。
「決勝レースで我々が(メルセデスの)前で留まることができるなら、それは良いニュースだ」とホーナーは続けた。
「つまり、彼らはストレートエンドで攻めることができないということだ。回生が始まってしまうからね」
ホーナーは、18周のスプリント予選レースは1周目の第2シケインまでにほぼ決着がついていたと明言し、スタートでポジションを落としたハミルトンが挽回する術はなかった。
「乱気流の中にいたマックスもバルテリと同じペースで走り、ふたりは後続を突き放した」
「もちろん、あのようなレースでリスクを負いすぎる必要はない。だからポイントを得て、決勝レースを前からスタートできるだけで嬉しいよ」
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