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41年の歴史に幕。全日本F3の最後の勝者と王者を分け合ったふたりが来季のステップアップ見据える

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41年の歴史に幕。全日本F3の最後の勝者と王者を分け合ったふたりが来季のステップアップ見据える

 9月29日、岡山国際サーキットで行われた全日本F3選手権第20戦。1979年にスタートした全日本F3選手権は来季から『全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権』に名称が変わることもあり、このレースが全日本F3としてのラストレースとなったが、2019年のタイトルを争った宮田莉朋(カローラ中京 Kuo TOM'S F317)が優勝、チャンピオンを獲ったサッシャ・フェネストラズ(B-Max Racing with motopark F3)が2位となり、シリーズの幕を引いた。

 2019年の全日本F3選手権は、ヨーロッパを中心としたジュニアフォーミュラの再編のなか、さまざまな注目を集める一年となった。2018年はカローラ中京 Kuo TEAM TOM'Sの坪井翔が王座を獲得。チームは全勝を飾ったが、その年にB-MAX Racing Teamが欧州の強豪モトパークとコラボ。2019年は坪井に続き王座獲得の使命を帯びた宮田莉朋と、B-Max Racing with motoparkに加わった欧州でもその将来を嘱望されたサッシャ・フェネストラズを中心にシーズンが進んだ。

全日本F3選手権第20戦岡山:41年の歴史に幕。宮田莉朋が最後のウイナーに輝く

 シーズン途中には、B-Max Racing with motoparkからの指摘による宮田の車両規定違反など、失格騒動などもあり、最終的にタイトルを獲得したのはフェネストラズだった。ただ宮田はこの岡山で連勝を飾り、年間8勝をマーク。フェネストラズも8勝と、年間の勝ち星では並んだ。エナム・アーメド(B-Max Racing with motopark F3)も2勝を記録しているが、実質フェネストラズと宮田のシーズンだったと言っていいだろう。

■タイトルは獲れずも「成長することができた」宮田
 残念ながらタイトルという使命をこなすことができなかった宮田だが、最終戦の後、「昨年はトムスが全勝して、今シーズンは僕に対する期待をもって入ったと思いますが、昨年のようにはうまくいきませんでした」と振り返った。

「しかし全日本F3選手権のレベルも昨年より高くなり、僕自身、簡単にはいかないと思っていましたが、逆にサッシャ選手やエナム選手といった、ヨーロッパでトップ争いをした選手と知り合い、戦うなかで、今季最多勝タイという成績を収めることができました」と王座には繋がらなかったが、得るものは大きかったと振り返った。

「結果的にはチャンピオンが獲れませんでしたが、自分自身その戦いのなかで成長することもできましたし、強く、速くなった自分とチームの皆さんと、3年目でいちばんいいシーズンを送ることができたと思います」

 そして今回のレースは、全日本F3選手権の41年の歴史のなかのラストレース。2020年からシリーズは、ダラーラ320シャシーによる『全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権』に生まれ変わる。

「全日本F3選手権の最後の優勝ドライバーになることができて嬉しく思っています。F3の参戦1年目は、最後の優勝ドライバーになったり、ポールポジションをたくさん獲って……という想像はできていませんでした。チームの皆さんに感謝しています」と宮田。

 一方、チャンピオンに名を記したフェネストラズも「こうして長い歴史をもつ全日本F3選手権の最後のチャンピオンになることができてとても光栄に思っているよ」とこれまでも国内外のトップドライバーたち、F1ドライバーも生み出した選手権の“最後のチャンピオン”としての名誉を喜んだ。

「ヨーロッパでも全日本F3選手権はステップアップカテゴリーとして知られていて、歴史のなかに自分の名前を残せたこと、それも最後のチャンピオンとして記されることは、とても光栄で嬉しく思う」

■「トップカテゴリーで戦いたい」希望を示すふたり
 そんなふたりが見据えるのは、2020年に向けたステップアップだ。「僕のターゲットは日本で長いキャリアを築くことで、シーズン開幕の頃から言っているとおり、来季はGT500、スーパーフォーミュラが目標だ」と語るのはフェネストラズ。

「まだ決まったことは何もないけれど、いろいろな話をしていて、いい感触を得られているよ。今年もいいシーズンを過ごせたし、日本での将来のキャリアに対して、ベストな選択肢を求めていきたいね」

 また、すでにスーパーGT GT500クラスではスポット参戦を果たし、GT300でも優勝を飾った宮田も「来季についてはまだ何も分かりませんが、僕自身としてはステップアップしたいのがいちばんの希望で、スーパーフォーミュラやスーパーGT GT500だったり、トップカテゴリーで戦いたいのが希望です」今年でF3を“卒業”したい考えを示した。

 そして、彼らに負けじと上を見据えるのが、この岡山での2戦で宮田、フェネストラズに続き3位を獲得した阪口晴南(カローラ中京 Kuo TOM'S F317)だ。ホンダのスカラシップで育ってはきたが、今季はトヨタ陣営に加わり、スーパーGTでもルーキーらしからぬ活躍をみせている。

「まだ何も決まっていないですし、どのカテゴリーに参戦するかは分かりませんが、横に座っているふたり(宮田とフェネストラズ)、特に宮田選手はずっと同じレースを戦っていますし、今回と前回の岡山戦での負けをしっかり見つめつつ、悲観的になるわけでもなく、しっかり同じカテゴリーや同じチームになったとき、自分が前にいけるように頑張っていきたいと思います」と阪口は語った。

 FIA-F4や全日本F3、GT300等で長年ライバルとしてしのぎを削ってきた宮田と阪口、そしてヨーロッパの戦いを経てふたりと出会ったフェネストラズ。この全日本F3選手権のラストラウンドで表彰台に上った3人は、奇しくも全員が1999年生まれの20歳だ。全日本F3選手権は、最後まで若手をトップカテゴリーに送り出す登竜門としての舞台だったことを示し続けた。

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