フェラーリは6月のF1スペインGPでフロアをアップデートして以来、高速域でのバウンシングに苦しんできたが、問題の原因を特定し解決できたと考えているようだ。
フェラーリがスペインGPに持ち込んだアップデート版のフロアは、パフォーマンス向上を目的に投入されたものだったが、バルセロナの高速コーナーでマシンがバウンドしてしまい、ドライバビリティが悪化するという事態に陥った。
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そのためフェラーリは、イギリスGPでは旧型フロアに戻すという対策を行ない、夏休み前最後のレースとなったハンガリーGPでは、再び改良版のフロアを投入するなど事態は混迷を極めた。
一時はドツボにはまった感もあったフェラーリだが、アゼルバイジャンGPではシャルル・ルクレールがポールポジションを獲得し、シンガポールGPではカルロス・サインツJr.が予選Q3でクラッシュするまで、好調に週末を進めていた。
チームのシニア・パフォーマンス・エンジニアであるジョック・クレアは、こうした状況は現在のレギュレーションがもたらす課題の一部だと考えている。
問題を特定するプロセスについて説明したクレアは、新しい開発路線に進む前に、風洞と実走行データ間の”異常”を調査する必要があったと説明した。
「完全な自信を持つことはないだろう。しかしこれは、成長する過程でどのような波があり、どのような流れがあるのかをよく表していると思う」とクレアは説明した。
「でも、おそらく(他のチームも)同じような自問自答をしているはずだ。道に迷ったのか? とね。確かにスペインの後、我々は道に迷ったとは思わなかったが、風洞の中で起きていることとコース上で見えていることの間に何らかの異常があった。我々はそれを乗り越える必要があった」
「それを認識してから、我々はそれを理解したと思う。我々はトラックに戻って、次の異常に目を光らせなければならない。それが今のプロセスだからだ」
「開発がうまくいく時もあれば、うまくいかない時もある……というわけではない。開発のプロセスとは、まさに毎週何か新しいモノをテストするということなんだ」
「我々は、そのプロセスがうまくいっていると確信している。全て把握できていると確信している。次の失敗を待つだけだ」
クレアは、現在のレギュレーション下でのフロア開発は実に難しいと説明。様々な状況でマシンを計測する際に、風洞の有効性が低下することがあると語った。
「グラウンド・エフェクトカーが復活して以来、課題が山積している。簡単に言えば、マシンがフロアから遠く離れていたり、フロアが路面との距離に基づいてダウンフォースを生み出すというわけではないのなら、風洞ではかなり正確な計測をすることができる」
「しかし縁石の上で何が起きているのか、マシンが跳ねている時に何が起きているのかということを知ることは、風洞ではできないんだ」
「マシンを上下に弾ませることはできる。しかし当然、その場合にはデータは乱雑に見える。しかしコース上でのデータがどれだけ乱雑に見えても、ドライバーはそのマシンをドライブしなければいけない」
「風洞と実走データの間には、一定の相関関係がある。しかし、100%忠実にすることは難しいのだ」
「常にこういう異常が起きる。グラウンドエフェクト効果により、異常は大きくなる。地面に近づくと、ダウンフォースは強力になるからだ」
「ただその距離がゼロになると、ダウンフォースが全て失われてしまう。ただ5mmに戻ると非常に大きなダウンフォースが発生し、フロアのパフォーマンスがピークになる領域に突入する。誰もが、常にそれに苦労しているんだ」
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