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モーターショーなぜ衰退? 加速するメーカーの出展取り止めはなぜ起こるのか

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モーターショーなぜ衰退? 加速するメーカーの出展取り止めはなぜ起こるのか

■世界中でモーターショー離れが進む理由とは

 2019年は、2年に1度の東京モーターショーが開催される年で、一般公開は10月25日からスタートします。かつては世界三大モーターショーのひとつともいわれていた東京モーターショーですが、いまでは「地盤沈下」といわれるほど、衰退しているといいます。

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 日本だけではなく、世界各国で自動車メーカーの「モーターショー離れ」が叫ばれていますが、自動車メーカーに何が起こっているのでしょうか。

 近年の東京モーターショーでは、自動車メーカーの出展が激減していることが指摘されていて、2019年に参加する海外ブランドは、メルセデス・ベンツ、スマート、ルノー、アルピナだけの予定です。

 2000年代前半までは、フェラーリやランボルギーニ、そしてロールスロイスなどスーパーカーやハイエンドブランドまで含めた、世界中の自動車メーカーがこぞって出展していました。

 世界の主要モーターショーにおいて、衰退しているといわれるのがドイツで開催されているフランクフルトモーターショーです。

 2019年では、日本メーカーの出展がホンダしかありませんでした。トヨタや日産、マツダなどもブースを出していません。

 さらには、フォルクスワーゲングループ(アウディやポルシェなど)やBMWなど地元ドイツのメーカーもブースの規模を縮小している状況。ここ数年は、開催されるたびにモーターショー会場全体の展示面積も狭くなり続けています。

 これまで、アウディは出展車が多すぎたため常設展示場に余裕がなく、中庭に巨大な仮設ブースを立てて出展していましたが、2019年は常設展示場内へ移動。かわりに前回までアウディが使っていた広場はSUVの試乗コースになっていました。

 また別のホールでは、スペースを埋めるために高価なクラシックカーなどを並べて販売するスペースとして展開。フランクフルトモーターショーは世界三大モーターショーのひとつにカウントされるほど高い地位のイベントですが、それでも状況は楽ではないのです。

 アメリカのデトロイトモーターショーも出展者と来場者が減り、次回(2020年)からはこれまでの開催方法をガラリと変え、音楽フェスなども含めた新しいイベントへと変わっていくといいます。

 出展メーカーと来場者数の両面から見て、先進国でモーターショー離れが進んでいるのは間違いありません。では、衰退の理由はどこにあるのでしょうか。

 筆者(工藤貴宏)は、インターネットとデジタル写真の普及が原因と考えています。

 かつて、マスメディアは自身でモーターショー会場へ足を運んで写真を撮影し、会場で新型車の資料を受け取らないと、記事を作ることができませんでした。

 しかしインターネットが普及した昨今は、自動車メーカーがデジタル写真と資料を配信すればマスメディアは会場に行かなくてもそれで記事が作成できます。また、一般消費者はインターネットでモーターショー出展車両の情報を確認できます。

 その結果、会場を訪れる人の数が減り、自動車メーカーも費用対効果を考えると出展を控える状況となってしまいました。

 また、自動車メーカーにとってはインターネットの普及がモーターショー以外にも世界中へ新型車の情報を拡散するチャンスの拡大に繋がったことにより、モーターショーにクルマを飾らなくても、どこかのイベントで新型車やコンセプトカーを並べればそれが拡散されて世界中の人の目に留まるようになったのです。

 すると「高いお金をかけてモーターショーに出展するのは効率が悪い」との判断につながったといえるでしょう。つまり、情報化社会がモーターショー離れを加速させたのです。

■世界的に衰退するなかで、元気が良いのはアジア圏?

 一方で盛り上がっているのは、中国や東南アジアのモーターショーです。世界最大の自動車マーケットとなった中国は年に1度、北京と上海で交互に国際規模のモーターショーが開催されますが、その展示規模と出展社数は文句なしに世界一になっています。

 東南アジアのデトロイトを自称するタイのモーターショーも、日本メーカーはもちろんBMWやメルセデス・ベンツ、ポルシェ、ランボルギーニやアストンマーティン、さらには欧州と北米で合計ふたつのモーターショーだけにしか参加しないはずのボルボまでブースを構えているのだから驚きます。

 また来場者数では、2019年にバンコクモーターショー会場を訪れた人は東京モーターショーの2倍以上となる160万人で、これは中国で開催されるモーターショーをも超える世界最多の来場者数です。

 それら新興国では、クルマはまだあこがれの対象。そのため、かつての日本のようにみんなが実際に会場へ足を運んで、クルマを見に訪れるというスタイルになっているのです。また、バンコクモーターショーでは会場で一般消費者にクルマの販売もおこないます。

 話を東京モーターショーに戻すと、来場者数減少の話が多く話題になります。しかし、これは来場者の立場にとっては必ずしも悪い話ではないと筆者は考えます。

 かつて150万人以上が訪れていた時代は、平日に出かけても人が多すぎて目当てのステージ上のクルマをじっくり見ることはできませんでした。

 ここ数年は、平日であればかなりゆっくりクルマを見ることができます。これはクルマ好きにとっては嬉しいことです。あとは、海外の自動車メーカーの出展が再び増えればいうことないでしょう。

 ところで、フランクフルトモーターショーの会場にあった中古車展示スペースは、数百台もしくはそれ未満しか生産されなかったような貴重なクルマが多くありました。

 見ごたえたっぷりなので日本から出かけたメディアの人間も自分の時間を楽しむかのように堪能していました。

 いま、かつてないほど古いクルマがもてはやされて売買価格があがっています。じつは、モーターショーを盛り上げる方法のひとつは、新車ではなく古いヒストリックカーなのかもしれません。

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