「正直なところ、この結果が可能だとは思っていなかった」
2024年F1第20戦メキシコシティGPの予選終了後、上位3名が出席するFIA国際自動車連盟の記者会見場で、予選2番手のドライバーが座るポジションに腰掛けたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)はそう語り、さらにこう続けた。
2024年F1第20戦メキシコシティGP TV放送&タイムスケジュール
「金曜日は4周しか走ることができたからね。少ない燃料で2周、燃料を多くして2周走っただけだった。だから、土曜日のフリー走行3回目(FP3)はまったくのゼロからのスタートだった。まともな走行データが何もなかったからね。非常に重要なFP3だったけど、クルマのフィーリングが良くなくて、できる限り多くの周回を試みたが、遅れをとっていた。だから予選は厳しいものになるだろうと思っていたんだ」
FP3を終えてガレージから出てきたフェルスタッペンの表情は固く、セキュリティの固いガードに守られながら、ホスピタリティハウスに入っていった。実は、このときフェルスタッペンは普段あまり感じたことがない精神状態に陥っていたという。
「予選で良い結果を残さなければならないというプレッシャーをかなり感じていたんだ」
プレッシャーを感じつつ、しかしフェルスタッペンは冷静だった。FP3の後、エンジニアとともにデータを分析して、クルマのことを少しでも理解し、予選で少しでも競争力を高めるために、予選までの2時間半で何ができるかを懸命に考えた。
「できる限りのことをしようと努め、セットアップでいくつか正しい方向への最終変更を加えんだ。その変更によって、クルマはより運転しやすくなり、フリー走行3回目よりもプッシュできるようになった」
こうして、チームメートのセルジオ・ペレス(レッドブル)がQ1で敗退する中、フェルスタッペンはQ3に進出。しかし、Q3の1回目のタイムアタックでフェルスタッペンはトラックリミット違反を犯し、タイムが抹消された。ここで再び、フェルスタッペンの背中にプレッシャーがのしかかる。
「ラップタイムが抹消されたことで、さらにプレッシャーが増したよ」
しかし、フェルスタッペンはプレッシャーに潰されなかった。プレッシャーを跳ね除け、攻めた。最後のアタックでフェルスタッペンはセクター1からセクター3まで全区間で自己ベストを更新。ドライバーズ選手権で最大のライバルであるランド・ノリス(マクラーレン)を上回り、予選2番手を獲得した。
その結果をレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「金曜日の状況を考えれば、信じられないような結果だ」と称賛した。3年連続チャンピオンの底力を見たメキシコシティGPの予選だった。
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