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ファンティックXEFシリーズを林道で乗り比べ〈抜群の軽さと扱いやすさ〉

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ファンティックXEFシリーズを林道で乗り比べ〈抜群の軽さと扱いやすさ〉



オフロードマシン ゴー・ライド3月号発売【いまだ完抜林道の宝庫! 伊豆林道周遊記】

オフロードマシン/メーカーとして半世紀以上の歴史を持つFANTIC(ファンティック)。その4ストトレールマシン「XEF」シリーズの最新モデルが日本国内で販売開始された。そこで、オフロードマシン総合誌『ゴー・ライド』の副編集長コイが、「XEF125」と「XEF250トレール」の2台の実力を、輸入元であるモータリスト・野口代表と2人でガッツリ林道ツーリングをしながらチェックした。そのインプレをクロストークにてお届けするゾ!!

●まとめ:ゴー・ライド編集部(小川浩康) ●写真:関野温 ●取材協力:モータリスト合同会社 

―― 【モータリスト代表・野口英康氏】つねに走り続けるモータリスト代表(写真右)。オンオフのジャンルを問わず、こよなく2輪を愛する。写真左は愛車のハスクバーナFE250とホンダCRF250Lで林道ツーリングをふだんから楽しむゴー・ライド副編集長コイ。

ファンティック XEFシリーズは林道ツーリングが楽しいトレールマシンだった!!

エンデューロレーサーのようなスリムな車体ながら、舗装路を含めた公道での扱いやすさを重視して開発されたトレールマシン。それがファンティックのXEFシリーズだ。自社製の4ストエンジンを搭載したスリムな車体は軽く仕上げられているのが特徴で、ヨーロッパでは3年連続でトップセールスを記録する大人気マシンとなっているという。今回はそんなXEF125とXEF250トレールの2台で実際に林道ツーリングを走ってみた。

◆ファンティックXEF125

―― 【FANTIC XEF125】■全長2100 全幅865 全高1240 軸距1420 シート高915(各mm) 車重108kg(ガソリン抜き) ■水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ 124.66cc 15ps/9750rpm 11.8Nm/6750rpm 変速機6段 燃料タンク容量7.5L ■タイヤサイズF=90/90-21 R=120/90-18 ●価格:85万8000円

―― しなりが柔らかい乗り味を発揮するクロームモリブデン製フレームは、250と同仕様。写真のブラック×イエローのほかに、クラシックレッド×ホワイト×ブラックをラインナップする。

―― 長年、ミナレリ製として各メーカーにデリバリーされてきたエンジン。ファンティック傘下となっても、高い信頼性はそのままに、XEF125ではインジェクションを装備しユーロ5に対応している。

―― 倒立フォークはφ41mm。フロントブレーキは、リヤブレーキをかけると連動する点に注意が必要(写真左)。リヤサスリンクのボルト位置で車高を下げられる。前後とも硬すぎず、コシのある乗り心地(写真右)。

―― 欧州のユーロ5規制により、XEF125はリヤブレーキをかけるとフロントブレーキもかかるコンバインドブレーキを装備している。しかし、ダートではブレーキターンなどリヤブレーキのみかけたい場合もある。なのでXEF125には、その前後の連動配分を調整できる機能を装備し、オフロードでのマシンコントロールしやすさを確保しているのだ。ヘッドライトカウル内側のシリンダーで調整できる。

◆ファンティック XEF250トレール

―― 【FANTIC XEF250 TRAIL】■全長2100 全幅865 全高1240 軸距1420 シート高915(各mm) 車重122kg(ガソリン抜き) ■水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ 249cc 21.5ps/8750rpm 18.6Nm/6750rpm 変速機6段 燃料タンク容量7.5L ■タイヤサイズF=90/90-21 R=120/90-18 ●価格:95万円

―― レーシーなスタイルだが、トレールマシンのような扱いやすさが特徴。それを表すために「トレール」のサブネームが付けられた。写真はクラシックレッド×ホワイト×ブラック。ブラック×イエローもラインナップ。

―― ファンティック自製の水冷SOHC4バルブエンジン。レーサーXR250Rのような、扱いやすいトレール以上のパワーを発揮する。シリンダー後部にユーロ5対応のキャニスターを装備。

―― 増えたパワーと車重に合わせて、倒立フォークは125よりワンサイズ太いφ43mmを採用(写真左)。リヤサスリンクに125同様のボルト穴を設けることで、車高を30mm下げることができる(写真右)。

◆足着き性チェック

―― ライダーの身長は156cm。シート高は両車ともに915mmだが、125はリヤサスリンクのボルト位置を変更することで30mmほど下がっている。写真を見れば分かるように、この30mmの差は大きく、足の着きやすさもかなり変わる。副編コイも「125の高さは自分にとっていつもの感じなので問題なしです。250は街中での信号待ちや林道のUターンで厳しさがありますが、車体が軽くてグラッとこない分、見た目ほどの怖さはないですよ。あと250のほうがシートとハンドルの位置がよく、ライディングポジションはバッチリです」。ユーロ5ではシート高が900mmを越えるとレーサー扱いとなり、ABS装着義務がなくなる。250トレールは、このメリットを採用しているのだ。

林道で乗り比べ:軽くてスリムな車体は林道で抜群に扱いやすい!!

副編コイ(以下コイ)「XEF250トレール(以下250)の足着き性は、いろいろ短い自分には厳しいけれど、そもそも車体が軽くて、少しでも走っていれば車体が直立してくるから、見た目以上に安心感がありますね。あと、エンジンのレスポンスがいいから、アクセルワークでマシンコントロールしやすく、それも足着き性の厳しさをカバーしてくれます。

XEF125(以下125)は普段乗ってる愛車(ローダウンしたハスクバーナFE250)より足着き性がいいうえ、こちらは250以上に車体が軽いから、まったく問題なしですね。エンジンは250ほどパンチはないけれど、125としては十分以上。あと低速トルクが太いから、街中でも林道でもキビキビ走ってくれました。

ファンティックは以前、キャバレロスクランブラーとラリー500に乗ったからかもしれないけれど、走りのいいスクランブラーメーカーという印象でした。でもXEFシリーズに乗ってみて、どちらも車体を軽くまとめているし、林道でもしっかりグリップ力を発揮してくれるし、ファンティックはオフロード性能を大事にしているんだなって思いました」

―― 軽い車体で存分に振りまわせるXEF125。

野口モータリスト代表(以下野口)「そうなんですよ。キャバレロシリーズは世界的に好評ですが、それもスタイルだけではないキチンとしたオフロード走破性能を持っているからなんです。ファンティックの根底は、オフロードマシンなんです。

ファンティックは’68年に空冷2ストローク50ccのスクランブラーを発売したのですが、6速MTやラジアルフィン(放射状の空冷フィン)を採用していてオフロード走破性が高く、イギリスで大人気になったんです。アメリカではチョッパーが人気になっていましたね。

でも、当時のファンティックは、6日間で争われるISDE(インターナショナルシックスデイズエンデューロ)の前身、ISDT(インターナショナルシックスデイズトライアル)で活躍したかったみたいで、トライアルマシンを開発していくんです。それがトライアルマシンとして初採用となる前後ディスクブレーキやリヤのモノサスペンションの装備となり、’84年/’85年/’87年と3度の世界選手権チャンピオン獲得に繋がりました。”軽くて足(サス)がいい”のがファンティックのマシン作りなんです。その軽くて乗りやすいという武器でエンデューロやラリーにも挑戦したのですが、そこではチャンピオンを獲れなかった。その後、トライアル人気が下がったこともあった、ファンティックは倒産してしまうんです。

でも2000年代に入って、4ストはミナレリ、2ストはガスガスのエンジンを使って、キャバレロシリーズで復活。’17年にキャバレロスクランブラーを発売して人気を博し、’19年にはモトクロスに参戦。ミナレリ社はファンティックの傘下となったため、エンジンも自社製となった…、というのがざっくりとした歴史です。ファンティックのオフロードレースとの関わりは長いし、ずっとオフロードが好きなんですよ」

コイ「XEFシリーズのオフロード性能は、今までの歴史と伝統を受け継いでいるってことなんですね」

野口「そうなんです。125のエンジンはミナレリ時代から各メーカーに搭載されてきた歴史と信頼性の高さがあります。今回は新たにインジェクションを装備し、低回転からパワーがしっかり出るようになりました」

コイ「確かに、低回転からモリっとパワーが出ます。トルクも粘るからエンストしにくかったです。峠道や林道の上りは1速か2速じゃないと無理かなと思ってましたが、3速でもグイグイ走れたのが驚きでした」

野口「カムとエンジンマップがファンティック独自のセッティングで、パワーを出しているんです。ゼロ発進時のトルクに細さはあるけれど、それ以外は不満のない仕上がりになっていると思います」

コイ「発進時の一瞬だけですね、細さを感じたのは。あとはトルクが粘るから、林道でのUターンもエンストしにくくて不安感はなかったです。逆に250はスペック以上にパワフルに感じました。どの回転からでもトルクがゴリゴリ出てくるし」

野口「アクセルに対するレスポンスのよさと軽い車体がマシン挙動のシャープさになっていて、そうした乗り味がパワフルさに感じられるのでしょうね。エンジン自体はキャバレロ・シリーズと同じですが、エンジンマップとリヤスプロケットを変更して、低中速重視のセッティングに振っています」

―― ピシッとした走りで林道が楽しいXEF250トレール。

コイ「キャバレロシリーズも元気よかったですが、XEF250が全域で扱いやすさを感じたのは、その変更のおかげですね。あと、125も250もサスがいいですね。柔らかくはないけど硬さもなく、コシがある感じ。今回の林道はかなりガレた場所もあったけど、衝撃をしっかり吸収してくれました」

野口「舗装路と林道での乗り心地に大きな差がなく、どんな路面でも同じ乗り味を感じられるので、それも乗りやすさになっていると思いますね。250のパワーはスペックでは21.5psですが、それがリヤタイヤから路面にキッチリ伝わっている感じで、国産トレールマシン以上にパワフルに感じられると思います」

―― パワーの出方が急すぎず、マイルドさがあるので、コーナリングでもギクシャクしにくい。取りまわしの軽さが、コーナリングの楽しさとしても感じられる。

コイ「自分のFE250ほどではないですが、CRF250L以上に感じました」

 野口「そう、まさにトレール以上レーサー未満。トレールより断然軽いけれど、レーサーほどのパワフルさはなく、乗っていて急かされない。軽くてマシンコントロールしやすいオットリした乗り味がXEFシリーズの特徴です」

コイ「125も250も、林道でのトコトコから峠やハイスピードまで、自分のペースで遊べますね。足りないと感じる部分が少なくて、苦手なところも少ない。250はシート高を下げたいけれど、走っている時のポジションは125よりも余裕があって気持ちがいい。125は250よりトルクとパワーは少ないけれど、軽い車体のおかげでそれが大きなデメリットになっていない。高速道路を使わないなら、軽さのメリットは大きいですね。それと乗り味にダルいところはないものの、自分のFE250ほどのシャープさもない。でも、それがトレールマシンらしい扱いやすさになっている。軽くて高いオフロード性能を重視したい人にはピッタリはまるマシンだと思いました」

―― 低速トルクが粘るので、マディ路面では足を着きながらトコトコと走破していけるXEF125。もちろん、軽い車体も振られにくさになるので、不安感も減らしてくれる。

◆野口さんのお気に入りポイント:軽さは正義の125

ユーロ5規制に沿っていますが、特別な装備があるわけではありません。それよりも適度にパワフルなエンジンと、何よりも軽い車体にこだわっています。それが峠や林道で扱いきれるパワーになり、意のままに振りまわせる軽い乗り味になっています。最新の電子制御や強大なパワーのマシンは多くありますが、抜群の軽さで誰もが扱いやすいマシンは多くないと思います。ぜひ、この軽さを体感してほしいですね。



◆副編コイのお気に入りポイント:250の粘るトルクの安心感

XEF250トレールのパワーは、愛車CRF250LとFE250のまさに中間。でもトルクの粘りはその2台以上で、これがパワフルだけどマイルドで扱いやすいという安心感になっていました。この安心感は125よりも250が上なので、足着き性を差し引いても、自分は250推しです。家から30分で林道に行けるなら、125の軽さの魅力も増しますね。FE250を所有していなかったら、XEF250トレールを買ったと思います!!

※本記事の内容はオリジナルサイト公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

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