2024年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第1戦決勝レースが鈴鹿サーキットで開催され、野尻智紀(TEAM MUGEN)が予選3番手からスタートダッシュを決めてトップに立つと、そのまま後続を寄せ付けずトップチェッカー。31周で争われたシーズン開幕戦を勝利で飾った。2位は山下健太(KONDO RACING)、3位は山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)とそろって久々の表彰台獲得となった。
予選日と比べると上空には青空が広がり、気温12度、路面温度22度とだいぶ過ごしやすい暖かさとなった。定刻より20分遅れの14時45分にフォーメーションラップがスタート。レッドシグナルのブラックアウトともに抜群のスタートダッシュを決めたのは野尻。ポールシッターの阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)とフロントロウ2番手に並ぶ太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)をとらえて1コーナーにトップで飛び込んでいった。
それに続いたのは4番手スタートの佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)。予選で2列目につけた2台がそろって順位をあげるかたちで今年最初のレースがスタートした。太田はスタートで出遅れ一時7番手まで後退している。
オープニングラップを終えた直後、11番手争いを展開していた国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と小高一斗(KONDO RACING)がASURA S字コーナーで接触。そろってコースアウトし、レースは早々にセーフティカー(SC)が導入される。国本はリヤウイングが外れ、左リヤタイヤにもダメージ。小高もマシンを止め、レース序盤ながら2台が戦列を離れることになった。
5周目を終えるところでSCが隊列を離れ、6周目からレースが再開。SCランでギャップが詰まっていたこともあり、随所でバトルが繰り広げられた。上位争いでは、スタートの出遅れでチームメイトの牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)にもかわされていた太田が、オーバーテイクシステム(OTS)を利用してシケインで接近。いったんは牧野をとらえたものの、今度は牧野がOTSを使って1コーナーで太田をオーバーテイク。チームメイト同士の激しい争いを、ピットでは息をのんで見守る様子が映像で映し出された。太田は牧野を攻略しきれず、逆にOTSを使えない間に背後の福住仁嶺(Kids com Team KCMG)にもシケインでかわされ、8番手に後退してしまった。
野尻は2番手佐藤に対して1秒以上のマージンを築いてトップを快走。3番手以降は阪口、山本、山下、牧野と続く。10周目を終え、上位陣でいち早くタイヤ交換に向かったのは山本と牧野で、翌11周を終えたところで山下、福住、太田がピットイン。この3台は山本がホームストレートに戻ってくる前にコース復帰するが、すでにタイヤに熱が入った山本は福住をデグナーカーブで、太田をヘアピンコーナーでとらえる。ただし山下には届かず、ピット作業を済ませた中でのトップ、“裏1位”には山下がつけて後半スティントに入った。
13周を終えて、トップの野尻がピットイン。タイヤ交換からふたたび走り出すまでにわずかに時間がかかったかに見えたが、山下に対しホームストレート1本分のマージンを保ってコースに復帰する。タイヤが温まっている山下はその差を1秒程度まで縮めたものの、オーバーテイクまでは至らず。野尻が事実上のトップをキープした。野尻に対し2周遅れて佐藤がピットに入ったが、ややタイヤ交換に時間がかかり、野尻と山下に先行される。コースに戻った後もチームメイトの山本、さらにはS字コーナーで太田にもかわされ、結局大きくポジションを落とすことになってしまった。
■岩佐がルーキー勢のトップでフィニッシュ
佐藤がピットに入ったことで見た目上のトップに戻ってきたのは阪口。その後ろには岩佐歩夢(TEAM MUGEN)がつける。
阪口はレースも後半に入った19周終了時点でピットイン。岩佐は最後までタイヤ交換のタイミングを引き延ばし、26周を終えてピットへと向かった。すでにタイヤ交換を済ませた後続とそん色ないタイムを出すラップもあったが、上位で戻ってこられるだけのマージンを広げることはできず、福住の背後、7番手でコース復帰することに。
タイヤが冷えている間に阪口、牧野、松下信治(TGM Grand Prix)に先行されたものの、アウトラップを終えるとフレッシュタイヤの利を活かして一気に追い上げる。1周前に交わされた牧野に近づいていくと、スプーンカーブでアウト側から豪快に牧野をオーバーテイク。そのまま松下にも迫っていった。
岩佐のピットインで見た目上でもトップに戻ってきた野尻は、山下との差を3秒以上に広げて残り5周を走り切り、最後は悠々トップチェッカー。2021、2022年と連覇した実力者が圧巻のレース運びでシーズン初戦を勝利で飾ることとなった。
2位は山下。終盤は山本に接近され、最終ラップはお互いにOTSを使い切りながらの戦いとなったが、最後まで2位のポジションを守り切り、昨年の開幕戦以来となる表彰台を獲得した。3位の山本は怪我からの復帰戦で表彰台獲得。13周目に記録した1分39秒287で全体のファステストラップも獲得している。
4位はピットイン後、チームメイトを逆転した太田。序盤に2番手を走行していた佐藤は5位。以下、福住、阪口、松下、岩佐、牧野というトップ10オーダーとなった。ルーキー勢は、木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)が12位、Jujuが17位、コースアウトするシーンも見られたテオ・プルシェール(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)は18位でSFの初陣を終えている。
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