F1メキシコシティGP決勝のオープニングラップでレッドブルのセルジオ・ペレスがリタイアし、スペイン人ジャーナリストが“不可解な”投稿をしたことで、ペレスの後任にアストンマーチンのフェルナンド・アロンソが起用されるのではないかという噂話が一気に広まった。
チームメイトのマックス・フェルスタッペンに比べて十分な成績を出せていないことで来季以降の契約に関して様々な憶測が飛び交う中、熱狂の母国戦を迎えたペレス。33歳の彼は、メキシコシティGPで良いパフォーマンスを見せることができれば、レッドブルでの将来に関する懸念や噂話が収まり、前戦アメリカGPで見せた復調の兆しが本物であると証明できると思っていたはずだ。
■アロンソ、“GP2エンジン”発言は後悔も……「当時のホンダPUは酷かった」
しかし、「優勝だけを狙っていた」と後に語ったペレスは5番グリッドから首位を狙うべく、ロケットスタートで決勝1周目のターン1を迎えたが、そこでフェラーリのシャルル・ルクレールと接触。弾き飛ばされたペレスのRB19はレースを続行できないほどのダメージを負い、チームはリタイアを選択した。
その後メルセデスのルイス・ハミルトンがフェルスタッペンの後ろでメキシコシティGPを終えたことで、3戦を残して再びドライバーズランキング2位の座が脅かされることとなった(メキシコシティGPを終えた段階で、ペレスとハミルトンは20ポイント差)。
さらに、レッドブルが2023年限りでペレスとの契約を打ち切るかもしれないという話も持ち上がっている。
メキシコシティGPから一夜明け、スペイン人ジャーナリストのアルベルト・ファブレガが何か大きなことが起こるかもしれないという謎めいた投稿をX(旧Twitter)に掲載したのだ。
彼はスペイン語で次のように書き込んだ。
「パドックで聞いた噂を信じたくない。信じたくないね」
ファブレガが、その噂がどんなモノなのか、どれほど信頼できるモノなのか……文脈、説明を一切示さなかったことでゴシップの導火線に火が点いた。結果として彼の投稿は拡散され、1100万回以上閲覧された。
アロンソが今シーズン後半のアストンマーチンの低迷に不満を募らせ、F1から引退するタイミングだと判断したのだろうか? あるいはファブレガのゴシップはペレスの将来と絡んでいるのか? もしくはアロンソが2024年にペレスの後任としてレッドブル入りを果たすのか? ファブレガがスペイン人であることから、アロンソに関連した噂であることはほぼ間違いないだろうと人々は疑った。
噂の確度について考察してみる
アロンソのレッドブル入りという説は、レッドブル・スペインがファブレガに続いて、“静かに”の絵文字を投稿したことで加熱した。
ファブレガはおそらく、元々の投稿がこれほどまでに拡散されるとは予想していなかっただろうし、彼が単に注目を集めるために露骨なゴシップを振りまくジャーナリストではないことは確かだ。
しかし彼の動機がなんであれ、“パンドラの箱”は開いた。ファブレガがその後、事態を沈静化しようと補足の投稿をしても、加熱した噂が静まることはなかった。
「昨日伝えた噂について、ひとつだけ言わせてほしい」と彼は書き込んだ。
「文章のトーンから、私がそれを望んでいないことは理解できるはずだ。ここからはあなたたち/我々が望むだけ推測してくれればいい。それがニュースではなく噂のままであることを願う。以上」
では、ファブレガの投稿を巡る噂の確度について考えてみよう。
まずアロンソがF1を引退したいというのは、控えめに言ってもあり得ない話だ。
アロンソが2022年末にアルピーヌを去ったのは、チームが複数年契約を望まなかったからであり、アロンソはスピードを維持できる限りは引退しないと考えている。
現在42歳のアロンソは相変わらずやる気とハングリー精神に溢れており、アストンマーチンのパフォーマンスにはシーズン当初ほど満足していないのは明らかだが、このプロジェクトを諦める気配はない。
実際、アロンソは表彰台獲得を連発したシーズン序盤の好成績を“ボーナス”と捉え、アストンマーチンを上位チームに押し上げることが長期的なミッションであることを理解している。
「状況はますますサッカーのようになり、最終的な結果だけが重要視されるようになってきたと思う」
アロンソはメキシコシティGPの際、そう語った。
「しかし自分がどこから来たのか、このプロジェクトが何なのかを忘れる訳にはいかない。だから僕は今シーズンをとても誇りに思っている」
アロンソはレッドブルから”敬遠”されている?
もしアロンソがF1でのさらなる活躍に執念を燃やしているのであれば、ペレスの後任としてレッドブルに加入するという噂がより信ぴょう性を増してくるようにも思われる。
しかも、アロンソのマネージャーであるフラビオ・ブリアトーレが、カタールGPの際にレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表と話している様子が目撃されている。そしてその内容がドライバー契約絡みだったという見方もあるのだ。
今季圧倒的な強さで早々にコンストラクターズチャンピオンを決めたレッドブルで、ペレスは期待外れのシーズンを送っている。4月のアゼルバイジャンGP以来優勝はなく、直近5戦での最高成績はハミルトンの失格に助けられたアメリカGPでの4位だ。
ペレスは2024年末まで契約が残っているものの、フェルスタッペンとのパフォーマンス差によって、レッドブルの来季シートが脅かされているという噂がレースを重ねるごとに増えている。
しかし噂が加速する中でも、レッドブル首脳陣は2024年シーズン開幕時にフェルスタッペンのチームメイトとしてグリッドに並ぶのはペレスだと主張してきた。
レッドブルはペレスが期待以上の結果を残すことができなかったことに関して不満はあるかもしれない。しかし実際、速さが保証され、フェルスタッペンに挑むに相応しいマインドセットを持ち、そして何よりも間に割って入ることができる明らかな“候補者”がいないことも関係している。
理論的には、アロンソがこれらの条件を全て満たすかもしれない。しかし、レッドブル首脳陣はアロンソを候補として検討しておらず、パワーユニットパートナーのホンダからも特に好かれていないということも理解されている。
レッドブルは以前から、アロンソをチームに迎え入れることで政治的な問題やフェルスタッペンのパフォーマンスを不安定にしかねないチーム内トラブルを引き起こす危険性があるとしてきた。
レッドブルの関係者は、アロンソはドライバー候補ではなく、ブリアトーレとホーナー代表がカタールGPで交わした話し合いはドライバーとは全く関係のないモノだったと主張した。ある上級スタッフは、アロンソの名前が挙がっていると考えるのは「全くのナンセンス」だと語った。
ペレスの後任最有力は誰?
レッドブルに相応しい、速く安定したドライバーは他にもいる。例えば、マクラーレンのランド・ノリスだ。彼は未だ優勝こそないものの表彰台を積み重ねてきたが、マクラーレンとの契約が2025年末まで残っているため、ペレスの後任候補として一番に挙げられるまでにはなっていない。
そのため、ペレスの後任候補筆頭は、アルファタウリのダニエル・リカルドということになる。
リカルドは怪我からの復帰2戦目となったメキシコシティGPで、戦闘力に勝るマシンに乗るドライバーを相手に、予選4番手、決勝7位と健闘を見せた。ただレッドブルはまだフェルスタッペンに対抗できるほどの準備ができているとは考えていないようだ。
しかし、2024年もペレスの調子が上がらなければ、シーズン中のある時点でリカルドがアルファタウリからレッドブルへ昇格するという可能性がない訳でもない。
ペレスがレッドブルのシートを失った場合、彼はレッドブルファミリーから完全に離脱することになると考えられている。ペレスの契約では、過去に他のドライバーの身に起きた姉妹チーム間のシャッフルは認められていないと考えられている。
現時点でのレッドブル首脳陣の望みは、ペレスが2023年シーズンをより良い形で終え、それを足がかりに2024年シーズンを充実した1年とすることだ。
レッドブルでモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、ペレスのメキシコシティGPでのパフォーマンスについて、次のように語った。
「1周目までは素晴らしいパフォーマンスだったし、レースでも表彰台に登ることができたはずだと確信している」
投稿はアストンマーチン内での動きに関するモノ?
またホーナー代表は、メキシコシティGPでのペレスのパフォーマンスには勇気づけられたとしながらも、ペレスがドライバーズランキング2位の座を確保することが今後の課題だと認めた。
ランキング2位を獲得すればシートを確保できるというほど単純なモノではないが、レッドブルがシーズン終盤戦でペレスの改善を目に見える形で確認したいと考えているのは明らかだ。
ペレスのランキング2位が彼の将来を決めるのか? と尋ねられたホーナー代表は次のように答えた。
「そんな単純なモノではないよ。状況や色々なことを考慮する必要がある。チェコは来年も我々と契約を結んでいるし、2024年もマシンに乗るというのが我々の意向だ」
「チェコが2位でフィニッシュできるよう、できる限りのサポートはするつもりだ。しかし2位フィニッシュできなかったら離脱、という前提条件はないよ」
ホーナー代表の発言で興味深いのが、“Intention(意向)”という単語を使った点だ。F1用語として、Intentionはしばしば「誰が起こしたいこと」と「実際に起こること」を区別して使われるのだ。
今のところ、レッドブルが2024年に向けて別のドライバーを探しているようには見えない。ファブレガの投稿は、おそらく別のことについてのモノだったようだ。
ファブレガとアロンソの繋がりは明らかであり、もしかするとアストンマーチンの将来に疑問符が浮かんだのかもしれない。
チームの凋落、特にランス・ストロールの苦戦を見るにつけ、チームオーナーであり父親でもあるローレンス・ストロールが、息子をワールドチャンピオンに押し上げるチームを作ることができるという自信を失ったのだろうか? ローレンス・ストロールがF1への興味を失ったことで、チームが売却される可能性があるのだろうか?
現時点ではまだ想像の域を出ないが、メキシコシティGPで取り沙汰された噂が、単なる噂に過ぎない可能性もある。
パドックやソーシャルメディアで荒唐無稽な噂話が広まったのは、今回が初めてではない。
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みんなのコメント
ドライバーとしては高齢の部類で、しかもトラブルメーカーのアロンソをわざわざ獲得する理由もないと思いますよ。