15番手からフォーメーションラップに出ていく角田裕毅(アルファタウリ)のマシンにはソフトタイヤが装着されていた。ピレリによれば、このレースの最適なピットストップ戦略はミディアムタイヤでスタートしてハードタイヤに交換して走り切る1ストップだが、ソフトでスタートしてハードに履き替える戦略も有効で、角田以外にもシャルル・ルクレール(フェラーリ)、周冠宇(アルファロメオ)がソフトでスタートしていた。
ソフトはミディアムよりも早めにピットインしなければならず、その分、履き替えたハードタイヤの周回数が増え、レース終盤が厳しくなる。多くのドライバーがミディアムタイヤでスタートしたのは、そのためだった。
角田裕毅、ペレスとの接触で無念のリタイア「入賞を狙えたはずだった」チームは“もらい事故”に落胆/F1第16戦
しかし、角田はアルファタウリがF1第16戦シンガポールGPで投入したアップデートにより、ロングランのペースが上がったことから、敢えてソフトでスタートするという攻めの戦略を採った。
その作戦はスタート直後の1コーナーで13番手スタートのセルジオ・ペレス(レッドブル)を抜いたことで成功したかに思えた。ところが3コーナーを立ち上がって、4コーナーを通過して、右コーナーの5コーナーで、角田の狙いは無惨に砕け散った。
5コーナーでステアリングを右に切ったところで、一度抜いたはずのペレスが、イン側にノーズをねじ込んできたのだ。すでにコーナーに向けてターンインを開始していた角田とノーズをねじ込んできたペレスの2台は接触してしまった。
しかし、角田はそのままレースを続けた。異変を感じたのは、13コーナーを立ち上がったあたり。リヤが滑り出した角田は無線で「パンクしたかも」と伝えた。
「クルマの右側が損傷したんですが、そこにはラジエターがあり、ラジエターから水が漏れていたんです」と言う角田は、漏れた水でリヤタイヤが滑り出したのを、パンクしたと勘違いしたのだった。
しかし、実際にはパンクではなく、ラジエターから水が漏れていたため、レースエンジニアのマティア・スピニは「マシンを安全なところで止めてくれ」と強い口調で指示を出した。
14コーナーを直進して待避場所にマシンを止めた角田は、「ペレスにやられたよ、まったく」と怒りを無線にぶつけていた。
レースディレクターはスタート直後のレーシングアクシデントとして、この接触を不問に付した。しかし、映像を見ると、5コーナーでターンインしていた角田にペレスが突っ込んでいったように見える。角田は言う。
「そうですね。あそこでノーズを入れてくる意味がわからないです」
「スタートはよかったですし、クルマにペースがあっただけに本当に残念です」
これで角田は前戦イタリアGPのフォーメーションラップのトラブルに続いて、またもスタート後、1周もできずにレースを終えてしまった。
「この2戦、1周も走れずに終わっているので、次の日本GPこそ、普通に走りたいですね」(角田)
鈴鹿では戦えそうかと尋ねると、角田はこう続けた。
「クルマのペースはいいので、楽しみです。気持ちを切り替えて、鈴鹿ではしっかりとまとめあげたい」
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みんなのコメント
そこも含め成長してるんですが流れが良くないので日本GPで思いっきり走ってもらいたいです。
速さはあると思うので出来れば違うチームでも良いので来季もレギュラーシートを確保して欲しい。
こういったことを強引にしてる様子を考えるに、恐らくペレスに出ている放出の噂が完全なデマではないという事を意味していると思う。裏ではマルコやレッドブルの新しい経営陣からかなりプレッシャーを掛けられているのだろうなって思う。
しかも、シンガポールはペレスが得意と言われてきた「ストリートサーキット」だからね、ここで待てなきゃ彼が勝てる場所はほぼ無い。
次戦の鈴鹿から、もう一度気を引き締めて角田には頑張って走ってもらいたいですね。