最高峰の鍛造技術を武器にした新素材「フォルテガ」
BBSジャパンが「FL」という新製品に宿したのはアルミニウム鍛造の新素材という「FORTEGA(フォルテガ)」です。これは、どのような技術と、そして思想を基にして生み出されたのでしょうか? フォルテガの生みの親であるBBSジャパンのエンジニア(開発本部 本部長)、村上貴志さんの言葉とともに紐解きます。
【画像】これが新素材で誕生したBBSジャパンのフォルテガ鍛造1ピースホイール「FL」です(24枚)
BBSジャパンは「立ち止まることは後退と同義だ」として、常に技術革新への挑戦を続けています。そのひとつの結果にして、象徴的事例として提示されたのがフォルテガ。アルミ鍛造、超超ジュラルミン鍛造、マグネシウム鍛造と3つの製法を巧みに使いわけてきた彼らが、さらにフォルテガという4本目の柱を立てたのです。
新素材とはいえ、まったく異質な素材をホイールに持ち込んだわけではありません。広義で捉えると「アルミニウム合金を使った鍛造製法の一種」だといいます。BBSジャパンの技術部部長として開発の初期段階から舵をとった村上貴志さんは、フォルテガによる新作ホイール「BBS FL」を前に、「ホイールに使うアルミは合金種なので懐が深い。成分配合により、さまざまな性格、表情を出せる金属だと思います」と、切り出しました。
「高重量化、高出力化がすすむ昨今のモータリゼーションにおいて、安全や信頼耐久性に直結する強度を充分に確保したうえで、高剛性と軽量性能とをバランスさせる。そのため形状を工夫するだけではなく、アルミ合金という素材自体から見直しました。基礎研究開発から数えると10年以上の歳月を要しましたが、だからこそ我々として新たな一歩を踏み出すことができたのだと思います」
こうして生まれたのがBBS FLです。フォルテガという“素材”をまず生み出し、そのうえでフォルテガの強みがもっとも活かされる形状を導き出し、最適な鍛造方法を考え、BEV(バッテリー電気自動車)、SUVに象徴される昨今の自動車トレンドへとマッチングさせたのです。従来のアルミ合金に比べて、その特性を維持しつつ高剛性を保ちながら、約10%も重量を削減しました。これに対してBBSジャパンは「強さとしなやかさ、軽さを両立させた」と謳います。
「運転の楽しさに直結する“軽さの追求”は重要ですが、軽くし過ぎると剛性は置いていかれます。数えきれないほど試作品をつくり、実走テストを重ね、微細な仕様変更を繰り返して、最適解を探しました。軽量性能ばかりではなく、高い静粛性や雑味のない乗り味など、質感までを追い求めたホイールに仕上がったと自負しています」
2025年の東京オートサロンでは発表されたBBS FLは、第一弾として200本(50セット)限定での受注が始まり、2025年4月1日からはいよいよ通常受注へと移行します。村上さん率いるエンジニアの、ひいてはBBSジャパンすべての人々の想いが詰まったフォルテガ(BBS FL)が、いよいよ本格的にBEV、SUVを支え始めます。
BBSジャパン最大の財産は「職人の手触り」
BBS FLに象徴されるフォルテガは、エンジニアたちの探究心と、高い開発能力により生まれたひとつの“素材革命”であり、BBSジャパンだからこそ可能となった技術です。
「鍛造プレス機を筆頭とするインフラ、それを正しく使いこなすノウハウ。それらがあって始めて、フォルテガを現実的に使いこなせることができるのだと思います。開発、生産体制含めて最新の機械を導入するだけで、一朝一夕にできるものではありません」
村上さん率いる技術開発陣営がフォルテガを実用化できたのは、決して彼らだけの力ではなく、何よりも秀でた生産現場があるからだと念を押します。自社で巨大かつ最新鋭の鍛造工場を有し、高い技術力をもって鍛造ホイールを生産できる基礎体力の高さがあるからこそ実用化に踏み切れたのです。現場の凄みを実感するエピソードとして、彼らが昔から培ってきた「職人の手触り」があります。
「いかに数値解析やシミュレーションなどデジタルツールを駆使して、机上で“最適解”を導き出しても、数値だけで論じることのできない“感覚”の判断が欠かせない。我々にしても生産現場にしても、解析から導き出された最適解を鵜呑みにはしません。そこに、わずかにでも“違和感”を感じたら、必ずどこかに理由が潜んでいます。
図面や計算式なんて見ていない生産現場の職人が、目と感触で判断した“違和感”を汲み取って、さらにブラッシュアップを重ねることも頻繁にあります。それは形状変更であったり、鍛造する際の温度や圧力管理など“打ち方”もそうです。そういった職人たちに支えられているからこそ、我々は自信を持ってフォルテガを開発できたし、世に誇れる製品となりました」
生産現場の人々は「アルミは生き物だ」と向き合います。設計開発だけでなく生産現場においてもBBSジャパンは、アルミに対して真剣に向き合い、手触りを大切にしています。鍛造から機械加工を経たのちの中間仕上げでは、職人が1本ずつホイールを手に取り、目と感触で丁寧に状態を見極め、研磨していました。いかに工場のオートメーション化が進んでも、最終判断は人間に委ねられます。
その決め手は、その先にある「職人の手触り」。そうした意味でフォルテガを含めたBBSジャパン製鍛造ホイールは、究極的にアナログを究めて結実させた工業製品だと思えます。
新技術、新製品への、挑戦は続く――
「フォルテガはFLという製品として走り始めましたが、もちろんこれで終わりではありません。我々はフォルテガを完璧に掌握したとは思っていません。自信を持って世に出せるひとつの製品になっただけ。
これからが始まりです。より幅広い車種、サイズへと拡充していくことがひとつ。さらに今回はBEV、SUVを狙った製品づくりでしたが、他のカテゴリーへの挑戦もしたいですね。たとえばフォルテガで究極的なスポーツホイールをつくったらどうなるか――。やりたいことは湯水のように湧き出てきます」
そうした考えかたを包括して村上さんはホイールづくりを「料理と一緒だ」と例えました。フォルテガという優れた素材を手に入れたBBSジャパンが、初陣としてFLというレシピを完成させましたが、これからもレシピ(新製品)は増えていきそうです。FLに関しても、世の中のニーズを踏まえたサイズ拡充や、適合車種拡大などに取り組みながら。
それは村上さん率いるエンジニアたちだけの挑戦ではありません。BBSの鍛造工程は、素材や製品によってやり方が異なります。フォルテガは新素材にして、生産が難しい側面はあるそうです。「尖った材料なのでクセがある」というフォルテガを、スムーズに高品質なホイールへと昇華させていくには、生産現場の技術が欠かせないのでしょう。
「素材、製法だけでなく、デザインも挑戦しました。今回は社内デザイナーが踏ん張ってくれましたが、BBSらしいクロススポークを踏襲しながらも、遊びゴコロのある立体的デザインで、なおかつきっちり性能を補完する理に適った造形を両立できたと思います。モダンながらも、私が昔から追求してきた機能美を表現できました。
もちろん、素材ごとに異なる鍛造、切削、そして塗装工程や、最終仕上げをする職人たちを含めて、我々全員のチカラを持ってフォルテガ(BBS FL)が成り立ったのだと感じています」
日々、自動車が進化し、多様化するなかで、村上さんは「ホイールサプライヤーとしての最適解はなにか?」と常に模索しています。それは未来のBBS像をみずからで創り上げていく、最高にやりがいのある仕事のようです。研究テーマを想像してワクワクしているような笑顔を前に、村上さんはこの難しい研究開発を心から楽しんでいると思えました。
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