低コストながら強度などを確保することに成功
2月9日(土)より11日(月・祝)までインテックス大阪で開催中の「大阪オートメッセ2019」。3ホールのダイハツブースでは、3台の新たなるコペンがメインステージに展示している。
【ムービー】ダイハツ・コペン・セロの筑波コース1000のテスト結果とは?
そのうちの1台「コペンクーペ」は、カタログモデルが電動格納式ハードトップとしている、初代より続くコペン最大の特徴ともいえるルーフ部をあえて固定式とすることで、ファストバックスタイルのクーペとしたもの。
このコペンクーペに込められたこだわりのポイントについて、開発を担当したダイハツ工業の松下和彦さんと和田秀之さんに聞いた。
──コペンクーペのルーフにはCFRP(炭素繊維強化樹脂)が使われているそうですね。これはドライカーボンですか?
松下:いえ、これは「インフュージョン成形」という、先に炭素繊維を型に置いて、その上にフィルムかシリコンを敷いて気密性を保ち、そのうえで真空引きしながら樹脂を含浸させて成形するという方法を使ったものです。わかりやすく言えば、布団を圧縮してパックするのと同じようなやり方ですね。
この方法ですと、ドライカーボンよりかは若干強度は落ちるものの充分以上に高く、加工精度も高く、しかも大きなパネルを作る場合でもドライカーボンのように巨大な釜を必要としませんので、比較的低コストで作ることができます。
──しかもこのルーフ、ガラス部分が開閉できるようになっているんですね。
和田:はい。当初は完全に固定式とすることも考えていたのですが、ガラスハッチとすることで実用性も持たせました。そして何より、カタログモデルにはないファストバックスタイルを持たせたかったんですね。こうすることで、クーペ独自のエレガントなスタイルができあがりました。また、空気抵抗を減らすこともできています。
オプションでカスタマイズパーツも用意
──ディーラーオプションでHKS製のサスペンションキットとスポーツマフラーが設定されていますね。これはクーペ専用ですか?
和田:いえ、これはリトラクタブルハードトップのカタログモデルにも装着できるものになっています。
──HKS製サスペンションキットのセッティングの方向性は?
松下:このサスペンションは単筒式かつ倒立式となっていますが、じつはビルシュタイン製ダンパーを装着するスポーティな「S」グレードはもちろん、KYB製ダンパーを採用する標準グレードよりもさらにソフトで、乗り心地を重視したセッティングにしているんですね。車高もとくにローダウンはしていません。
──ちなみにクーペはハードトップに対しどのくらい軽くなっているのでしょうか?
松下:約40kg軽量化しています。
──40kgとなると、結構大きな違いですね。またクーペ化によって重量バランスやボディ剛性も違ってくると思いますが……。
松下:はい、それでもクーペとハードトップのどちらに装着してもアンバランスにならないようセッティングしています。また、コペンはラダーフレーム式に近いボディ構造で、クーペ化してもボディ剛性への影響は少ないので、その点でもどちらに装着しても問題がないようになっています。
──200台限定販売とのことですが、受注状況はいかがですか?
和田:おかげさまで、現時点で1000台を超えていますので、抽選販売となります。受付期間はこのオートメッセが開催されている11日の18時までですので、ご検討されている方は専用サイト(https://coupe.copen.jp/)からぜひお早めにお申し込み下さい!
──すごいですね! でもそれほどの人気ですと、カタログモデル化も強く望まれそうですが……。
松下:CFRP製ルーフはドライカーボン製ほどではないものの大量生産が難しく、そのため月間40台×5カ月で200台という限定台数になっています。軽さや強度、精度とコスト、量産性のバランスは、インフュージョン成形法が最も高いので、ほかの製法を採用するのも難しいところですね。
──量産性がさらに上がり、将来的にカタログモデル化されることを期待しています。ありがとうございました。
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