■1000km走っても疲れ知らず! 新型アウトバックなら「まだ走れる!」
スバル「レガシィ アウトバック(以下アウトバック)」といえば、ウインタースポーツを楽しむユーザーからも根強く支持されるクロスオーバーSUVです。
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そんなアウトバックの最新モデル(6代目)は2021年秋に登場。そして今回、フルモデルチェンジして初めてのウインターシーズンを迎えたことから、新型アウトバックの実力を探るべく、スバル4WD(AWD)の聖地といえる山形県の月山まで雪道を含めたロングドライブに出かけてみました。
なぜ月山がスバル4WDの聖地かというと、そこは同社(当時は富士重工業)が4WDモデルを展開し始めた1970年代に雪道テストをおこなっていた場所だからです。
新型アウトバックの魅力は、出発前から感じることができました。それはウインタースポーツやキャンプなど荷物が増えがちなレジャーに適した広いラゲッジルームです。
テールゲートを開けた瞬間に目に飛び込んでくるラゲッジルームは、驚くほど床面積が広く、見るからに積載量が多いことが理解できます(後席使用時の荷室フロア長1086mm×ホイールハウス間の横幅1100mm)。
新型アウトバックのラゲッジルーム床上の荷室容量は522Lで、「フォレスター」(同520L)や「レヴォーグ」(同492L)よりも広く確保。
数値上の容量はフォレスターと僅差ですが、新型アウトバックは床面積(奥行きで178mmも上回る)が圧倒的に広いことで、実質的な積載能力は上回ります。
ちなみに床下収納部(サブトランク)まで含めた荷室容量は新型アウトバックもレヴォーグも561Lで共通ですが、これは床下の広さが新型アウトバックの39Lに対してレヴォーグは69Lとひと回り大きいからです。
東京から月山までは400キロ以上の高速道路巡行となりますが、新型アウトバックを走らせて感じたのは疲れにくいことです。
長い移動距離にもかかわらず拍子抜けするほど疲労が少なく、目的地に着いても「まだまだ走れる」という余力がたっぷり残っていました。
その大きな理由が、スバルが誇る先進安全運転支援システム「アイサイト」および「アイサイトX」に組み込まれるACC機能と車線中央維持制御、そして車線変更支援機能です。
このところ採用車種が広がっているACC機能は、高速道路走行時に前を走るクルマに一定の車間距離を空けながら追従し、ドライバーがアクセルを操作することなく車速を自動制御するもの。
しかしその制御の滑らかさはメーカーや車種によって異なり、なかには減速時や前方へ車線変更するクルマが入ったときにギクシャクするものもあります。
新世代アイサイトを搭載した新型アウトバックは、まるで上手なドライバーが運転しているかのようにスムーズな加減速を実現。
さらに車線の中央を走るようにハンドル操作をアシストする車線中央維持制御の自然なアシスト感と合わせ、高速道路巡行でのドライバーの負担を大きく軽減してくれるのです。
この機能は「付いている」だけでなく、「違和感なく安心して使える」かどうかがポイントとなりますが、新型アウトバックの制御の滑らかさは現在発売されているクルマのなかでトップレベルといっていいでしょう。
クルマが適切にサポートしてくれるので、積極的に使う気になり、そして疲労を軽減してくれるのです。
加えて、まだ採用車種が少ない車線変更支援機能も搭載。高速道路で高度な運転支援をおこなうアイサイトXの機能のひとつですが、ドライバーのウインカー操作をトリガーとして、クルマが自ら車線変更をおこなってくれるものです。
「そのくらい自分でやるから必要ない」と思う人もいるかもしれませんが、実際に使ってみるとこれが何とも便利。
都市近郊の混雑した高速道路では思い通りに車線変更できないことも少なくありませんが、交通量の少ない高速道路ではクルマ任せの車線変更が自在にでき、想像以上に実用的なのでついつい頼ってしまいます。これも、長い高速巡行での疲労軽減に大いに役立ちます。
またアイサイトXの先進安全運転機能として、高速道路渋滞時のハンズオフアシストも心強い存在です。
50km/h以下という条件はありますが、ACCによる車速調整をクルマに任せられるだけでなく、手放し運転の実現でハンドル操作からも開放されるので疲労も、渋滞運転の精神的ダメージも大きく軽減。一度使うと手放せなくなる機能です。
それらの先進デバイスは、新型アウトバックのロングツーリング性能として大きな魅力となっていることを実感しました。
■雪国総合性能の高さは新型アウトバックの魅力のひとつ
雪国に差し掛かって、寒冷地でのドライブで実感したのは、乗員へのおもてなし装備のありがたさでした。新型アウトバックは運転席と助手席だけにとどまらず後席左右のシートヒーターやステアリングヒーターも全車に標準装備しています。
しかし、声高に伝えたいのは「ただ付いているわけではない」ということです。
前席シートヒーターは一般的な座面や背もたれの腰部分のみならず、背もたれ上部や肩付近など、一般的には発熱しないエリアまでしっかり温めてくれるので快適性の高いもの。
ステアリングも、発熱エリアがステアリングリム部の3分の2ほどに達するなど、一般的なタイプよりも広い範囲にヒーターが組み込まれているのです。そういった目に見えない配慮からも、ウインタードライブにおける開発陣の配慮を感じました。
ちなみにシートヒーターの温度調整は、前席が3段階、後席は2段階から選べます。
肝心の新型アウトバックの雪道走行は、絶対的な安心感が印象的でした。
スタッドレスタイヤ(ヨコハマ アイスガード7)を履いた新型アウトバックは、雪を跳ね上げながら走る除雪前の路面でも4輪がしっかりと路面を捉えている感覚が強く、それが安心感としてドライバーに伝わってきます。
新型アウトバックに組み合わせている「アクティブトルクスプリットAWD」は、滑ったときに後輪へトルクを送るのではなく、発進する瞬間から高速域まで常に4輪を駆動するシステムなので「反応遅れ」とは無縁。それも雪国で評価が高い理由のひとつであり、実際に運転していると心強さにつながります。
加えて、深い轍や除雪して路肩に盛り上がった雪を乗り越える際なども、大径タイヤや本格SUV並みの213mmの最低地上高のおかげで安心できます。
そのうえで、もしも腕に覚えのあるドライバーなら、走行モードを「S#」かつトラクションコントロール機能をオフにすることで、アクセル操作で積極的にクルマを曲げるようなアクティブな運転を楽しむことも可能。
そんな走りでのコントロール性が良いのも魅力で、新型アウトバックは安心感が高いだけでなく、ドライバーのスキルによっては運転のファン度も高いクルマといっていいでしょう。
※ ※ ※
今回のロングツーリングの移動距離は約1050キロに及ぶものでした。
8割以上が高速道路での走行でしたが、雪道も含めたトータル燃費は車載の燃費計で13.2km/L。
これは、カタログに記載されているWLTCモード燃費の「高速道路モード」である14.7km/hにこそ届かないものの、総合値である13.0km/hを超える実燃費を記録しています。
新型アウトバックに搭載される1.8リッター水平対向ターボエンジンは燃費も重視して開発されたこともあり、ガソリンエンジン搭載の大型ステーションワゴンとしては十分に優れた燃費といって良いでしょう。
途中のガソリンスタンドで満タン給油すると(ターボエンジンながらレギュラーガソリン指定)、800キロを超える航続可能距離を示したことにも驚きました。ちなみにタンク容量は63Lです。
そんな足の長さは、ロングツーリングのみならず、日常においてもガソリンスタンドへ行く回数を減らせるといったメリットを実感できるのではないでしょうか。
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