Gordon Murray T.50
ゴードン・マレー T.50
マクラーレンF1の衝撃、再び! ゴードン・マレーの最新作「T.50」が積むV12の詳細判明!【前編】
いよいよ2020年8月4日に世界初公開
ゴードン・マレー オートモーティブ(GMA)は英国時間2020年8月4日17時(日本時間8月5日1時)、新型スーパースポーツ「T.50」を世界へ初披露する。ワールドプレミアに先立ち、T.50に搭載するV12エンジンについての情報を公開した。
ゴードン・マレーがロードカーの世界に戻ってくる。マクラーレンF1の衝撃から30年弱。自身の設計キャリアは50年。彼が2020年のテクノロジーを使ってスーパースポーツを作るなら、果たしてどんなクルマになるだろう。その妄想がいよいよ現実の姿となって我々の前に現れようとしている。
「V12以外の選択肢は絶対にありえない」
T.50は低くタイトで軽いボディにモータースポーツ由来の空力性能を与え、マニュアルトランスミッション、そして自然吸気のV12エンジンを積む。いわばゴードン・マレーの教義から1mmも外れることのないスーパーカーだ。
ゴードン・マレー曰く「運転という体験の素晴らしさの半分以上は、エンジンが担っている」。だから、なにはなくとも世界で最も優れた自然吸気V12エンジンを作ろうという目標を最初に彼は掲げた。
「ずば抜けて秀でたエンジンというのは、明確なキャラクターを備えているものだ。レスポンス鋭く、素晴らしく鳴き、強大なトルクを叩き出しながらどこまでも吹け上がる。むろん自然吸気でなくてはならない。つまりT.50に積むエンジンはV12以外、決してありえなかった」
名門コスワースとの共同開発
T.50の心臓を作るにあたり、彼が門戸を叩いたのはレースエンジンの名門ビルダー、コスワース。心に思い描いていたのはフェラーリ 250 GTOが積んだ3.3リッターV12ユニットだ。できる限り排気量が小さく、個性的で、あふれるようなパワーを生む。そんなエンジンが欲しかった。
マレーの指示は至極明瞭であったという。エンジン自体の重量は、可能な限り軽くあるべし。そして、これまでのロードカーに搭載したどんなエンジンよりもレスポンスが速くなければならぬ、と。ターゲットは伝説の名車、マクラーレンF1である。
3.9リッターの自然吸気+48V ISG
高回転まで美しく回ることも条件とした。目標はマレーがライトカー・カンパニーで開発した公道用フォーミュラ「ロケット」。かのエンジンはレブリミット1万1500rpmまで回った。
さらに、豊かな個性ととびきり良い音、そして美しさも求めた。つまり、カバーもなくベルトの類もない、クリーンな見栄えのエンジンを目指したのである。
1トンを切る車体に相応しい相手として、コスワース側が提案したのが3.9リッターのユニットだった。ブロックとシリンダーヘッドはアルミ、チタン製のコンロッドとバルブを備えたバンク角65度のV12。そこに48Vのインテグレーテッドスターター兼ジェネレーターを組み合わせた。
いずれ伝説となるはずのクルマ
プロフェッサー・マレーのキャリアはエンジン設計からスタートした。T.50の心臓部にかける彼の情熱が並々ならぬものだったのもむべなるかな。そこにはF1レースと、マクラーレンF1で彼が得た知見のすべてを注ぎ込んだ。マレーは言う。
「非常に軽いコンポーネンツ、優れたパッケージング、そしてすこぶる鋭いレスポンス。この全ては20年のF1経験から得た知見です。また、駆動にベルトは一切用いていません。モータースポーツの頂点であるF1同様、ギヤ駆動方式を採用しているのもそれが理由です」
コスワースのマネージング ディレクター、ブルース・ウッドも次のように述べている。
「T.50のエンジンにゴードンが定めた基準は、我々が手掛けてきたどのエンジンよりも厳しいものでした。あらゆる面でこれまでの限界を押し広げたといえるでしょう。ゴードンのマクラーレンF1同様、いずれ伝説となるであろうクルマの開発に携われたことは我々コスワースの人間にとって、心震える出来事でした」
「このプログラムは、まさにコスワースをさらなる高みへと導いたのです。時のみぞ知るところではありますが、このGMA V12は歴史上のアイコンとして刻まれるエンジンになるような気がしてなりません」
(後編に続く)
【エンジン諸元】
GMA T.50
型式:コスワース GMA
種類:V型12気筒自然吸気
Vアングル:65度
排気量:3994cc
ボア×ストローク:81.5mm×63.8mm
圧縮比:14:1
最高出力:663ps/1万1500rpm
最大トルク:467Nm/9000rpm
レブリミット:1万2100rpm
エキゾーストシステム:インコネル及びチタン
オイル供給方式:ドライサンプ
冷却システム:水冷/ツインアルミニウムラジエーター(フロント)
オイル冷却システム:シングルアルミニウムラジエーター(リヤ)
スターター/オルタネーター:48V インテグレーテッドスターター/ジェネレーター(ギヤ駆動)
エンジンブロック:アルミニウム
シリンダーヘッド:アルミニウム
コンロッド:チタン
バルブ:チタン
エンジン単体重量:178kg
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みんなのコメント
当然の如く効率を求めるタイプのエンジニアとは一線を画していると認識します。
彼ほどの天才であれば数字を追い求めて電動化へ突っ走る光景を想像しておりました
コスワースの目立った活躍が無い昨今
楽しみなプロジェクトです。