F1を7度制した世界チャンピオンの跳ね馬への移籍は、“F1の地殻変動”を意味する。
2月1日、驚くべき噂がモータースポーツ界に衝撃波を広げた。F1の生ける伝説であり世界的スーパースターであるルイス・ハミルトンが、数多の成功を生んだメルセデスとの12年の契約を終わらせて、2025年スクーデリア・フェラーリに加わるというのだ。そして数時間後、その噂は事実であることがわかった。フェラーリがXでこれを伝え、メルセデスが追認。そしてカルロス・サインツJr.(その席をハミルトンが埋める)が2025年にフェラーリを後にすると公表した。メルセデスを去ることについて、ハミルトンは「人生でいちばん難しい決断だった」と評した。
F1世界選手権で7回チャンピオンの座についたハミルトンは、1月に39歳になった。これまで何度もフェラーリ移籍の噂が流れたが、事実に基づくというよりネタ枯れの時期の遊びのようなものだった。というのも、ハミルトン自身、長い間チーム代表の億万長者であるトト・ヴォルフとの固い絆があるメルセデスで、最後まで走り続けるつもりだと公言してきたからだ。
だが今回、噂は真実になった。ルイス・ハミルトンとフェラーリの組み合わせは、モータースポーツ界の2大ビッグネームのタッグを意味する。誇り高きイタリアブランドが、若くはないスーパースターに賭けるのだ。結果がどうあろうと、この移籍があらゆる意味でF1の景色を変え、モータースポーツ界をかつてないほど揺さぶるのは間違いない。説明しよう。
8番目のタイトル?
ハミルトンがピークを過ぎていて、チャンピオンの座に戻る可能性が急速に低くなりつつあることは秘密でも何でもない。実際この2年は勝利を手にしておらず、ハミルトンのキャリアで最も長い無冠期間となっている。
だからこそ、今回の転籍は、フェラーリへの売り込み文句にハミルトン自身、感じるところがあった(逆に、昨シーズン後にメルセデスが示したものに気乗りしなかった)ことを意味するのかもしれない。移籍によってハミルトンは、子どもだった自分をF2、F3で優勝に導いてくれたフレデリック・バスール(現フェラーリのゼネラルマネージャーでありチーム代表)の元へと還っていくことになる。最後にもう一度チャンピオンになるためにバスールと組むとしたら、ハミルトンのドライバー人生は物語のような結末を迎えることになる。
もちろん、いくつも疑問点はある。最大の疑問は、ハミルトンがフェラーリの悪評高い戦略家たちと噛み合うかどうか、そしてチャールズ・ルクレールらチームメイトとうまくやっていけるかどうか。現在フェラーリの顔であるルクレールは契約を更新したばかりだ。ハミルトンは過去にチームメイトと衝突してきた。2016年のニコ・ロズベルグとの対立は有名だし、昨シーズンはジョージ・ラッセルとぶつかった。ルクレールファンは、2025年の“ドラマ”に備えて覚悟した方がいい。
そして最後に、ティフォシ(フェラーリの勝利のみを願うため、容赦ないことで悪名高いファン)がいる。彼らは長い間ハミルトンにブーイングを浴びせ、イタリアのレースでは彼を最大のように扱ってきた。スポーツ界で最も熱狂的なファン集団である彼らは、ハミルトンをどう受け止めるのか。
ドライバーたちの動き
ドライバーたちがチームを移ったり、ポストを捕りに行ったりするF1の駆け引きは、通常夏休み中に起きる。だが、2月1日にハミルトンのニュースが流れたことから、F1史上最もドラマに満ちた波乱の季節が今始まると言っていいだろう。来シーズンのグリッドに向け、裏取引や命懸けの戦術が繰り広げられることになる。Netflixの『Formula 1: 栄光のグランプリ』でレース以上に人間ドラマを楽しむタイプのファンにとっては、今シーズンはたまらないものになるだろう。
フェラーリのカルロス・サインツJr.がフリーエージェントになるなら、レッドブルはようやくセルジオ・ペレスと手を切る動きに出るだろうか? 抜け目ない42歳のフェルナンド・アロンソは、ハミルトンが抜けるメルセデスを狙うだろうか? それともメルセデスは、F2で旋風を起こしたジュニアチームのアンドレア・キミ・アントネッリの育成に賭けるのか?
グリッドの後ろにもドラマはある。人気の高いダニエル・リカルドはレッドブルに復帰できるのか? ウィリアムズの逸材であるアレクサンダー・アルボンが、メルセデスやレッドブルの候補として急浮上することがあり得るか? さらには引退を表明したものの復帰の可能性を否定しないセバスチャン・ベッテルがダークホースとして躍り出る可能性はあるのか?
こうした疑問や、深まるさらに多くの疑問への答えは、これから明らかになっていくだろう。2024年のシーズンが始まるまでまだ1カ月以上あるのだから。
盛り上がるドラマ
エンターテイメントの観点から言えば、ハミルトンのフェラーリへの移籍は、モータースポーツへの関心を掻き立てることだろう。そして、モータースポーツ界はこれを必要としている。『Formula 1: 栄光のグランプリ』が始まって数年、レースの行方が見えてしまうF1はピークを過ぎたと考える評論家もいる。視聴率が停滞するアメリカでは特に。さらに先ごろ、伝説のレース一家アンドレッティが11番目のチームとしてF1グリッドに参入するのを拒否したことで、ファンはF1の長期ビジョンに首を傾げている。
詰まるところ、F1はスポーツであると同時にショーでもある。トラックの外でのドラマがレースを盛り上げる。ハミルトンの移籍でこれからの数年、ショーとしてのおもしろさは増すはずだ。むろん、2024年のタイトルを手にするのは、マックス・フェルスタッペンかもしれない。だが、目を離せない展開は他にもたくさん起きる。まずは、ハミルトンが今シーズンを、メルセデスのヴォルフやラッセルとどう過ごすのか? マラネッロ(フェラーリの本拠地)での最後のシーズン、サインツJr.はルクレールを悩ませるか? こうした出来事は、F1の新シーズンが始まろうとする今、絶好の活性剤になっていくだろう。
さあ、シートベルトを締めていこう。ハミルトンのドラマが盛り上がっていく2024年シーズンは、早くも激しいレース展開を見せ始めている。
By Gregory Leporati
From GQ.COM
Translated by Akiko Kusaoi
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みんなのコメント
まとめられれば良いのですが、期待と不安が半々・・・。